みそひと文字の抒情詩 新装版: 古今和歌集の和歌表現を解きほぐす

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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784305705983

作品紹介・あらすじ

歌聖と仰がれた藤原定家すら『古今和歌集』の和歌が理解できていなかった。
したがってその流れを継承する現今の注釈者にも和歌表現の基本が理解されていないということである。

『古今和歌集』から複線構造による多重表現になっている作品を中心に十二首を選び、徹底した表現解析を試みる。
〈みそひと文字〉という31個の仮名連鎖の枠のなかで、どのような「言の葉」をどのように操作し、「ひとの心」の繊細な動きを表現しているかを解明する。

旧著『やまとうた』を隅々まで書き改め、さらに新たな一章を加えた書。奥深く秘められた和歌の〈心〉にアプローチする方法を、分かりやすく提示する。同時刊行する『仮名文の構文原理[増補版]新装版』に提示した新しい考えを裏づけた書である。

【アプローチとは、問題の核心に少しでも近づきたいという意欲を満たすために策定する方略である。ことばで表現された〈心〉の奥底を見届けたいという情熱や憧れが、さまざまのアプローチを工夫させる。
 理解できない和歌を力ずくで攻略しても、真実をねじ伏せることはできない。
 『古今和歌集』の現行の注釈書を見ると、真実に少しでも近づきたいとか、ことばで表現された〈心〉の奥底に迫りたいとかいう情熱をまったく感じさせない。樹を見て森を見ずどころか、目の前に見ている葉がどんな枝にどんなふうに付いているにかさえも関心を示さない。好きかってに攻め立てて、理解できたと思い込んでいる。
 悪しき伝統に支えられた惰性的研究姿勢を捨てて、和歌の作者と日本語で親しく対話することから再出発しようではないかというのが、筆者のまじめなよびかけであり、本書はみずから実践したそのようなアプローチからもたらされた、ささやかな成果の提示である。】......イントロダクションより

著者プロフィール

出生 1929年、東京。
筑波大学名誉教授。文学博士。

著書
日本声調史論考(風間書房・1971)
国語史学基礎論(笠間書院・1973:増訂版 1986:簡装版 2006)
いろはうた—日本語史へのいざない(中公新書 558・1979:講談社学術文庫・2009)
日本語の世界7〔日本語の音韻〕(中央公論社・1981)
仮名文の原理(笠間書院・1988)
やまとうた—古今和歌集の言語ゲーム(講談社・1994)
仮名文の構文原理(笠間書院・1997:増補版 2003:増補版新装版 2012)
日本語書記史原論(笠間書院・1998:補訂版 2000:新装版 2006)
日本語はなぜ変化するか—母語としての日本語の歴史(笠間書院・1999:新装版 2013)
古典和歌解読—和歌表現はどのように深化したか(笠間書院・2000:増補版 2012)
日本語の歴史—青信号はなぜアオなのか(笠間書院・2001:新装版 2013)
みそひと文字の抒情詩—古今和歌集の和歌表現を解きほぐす(笠間書院・2004:新装版 2012)
古典再入門—『土左日記』を入りぐちにして(笠間書院・2006)
丁寧に読む古典(笠間書院・2008)
伊勢物語の表現を掘り起こす—《あづまくだり》の起承転結(笠間書院・2010)
平安古筆を読み解く—散らし書きの再発見(二玄社・2011)
日本語を動的にとらえる—ことばは使い手が進化させる(笠間書院・2014)
土左日記を読みなおす—屈折した表現の理解のために(笠間書院・2018)

解説執筆
小川剛生(おがわ・たけお 慶應義塾大学文学部教授)

「2020年 『新版 徒然草抜書 表現解析の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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