文法的詩学

著者 :
  • 笠間書院
0.00
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 14
感想 : 0
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784305706744

作品紹介・あらすじ

「物語を読む、うたに心を託す」ために必要な言語理論を案出する書。

「時枝、佐久間、三上、松下、三矢、そして折口、山田、大野、小松光三、あるいはチョムスキー......絢爛たる文法学説の近代に抗して、機能語群(助動辞、助辞)の連関構造を発見するまでの道程を、全22章(プラス終章、附一、附二)によって歩き通す」

物語や詩歌を読むことと、言語学のさまざまな学説たちとのあいだで本書は生まれた。
古典語界の言語を当時の現代語として探究する。

【 「物語を読む、うたに心を託す」という、私の研究の道のりのなかばで、物語を解読するために、また、うたに遊弋するために、必要な言語理論を案出したい。
 教室では、既成の文法―学校文法を代表とする―を利用しながら、そして、それらが欠陥品であることを、だれもが知っていて、それらへの修復につぐ修復をみんなで試みながら、なんとか凌ぎ凌ぎして、物語やうたを読み、かつ味わい続ける。
 それに飽き足らなかった自分だと思う。いつしか、文法理論の藪へ迷い込んで、「おまえは何をしているのか」と、友人たちの訝しみの視線が、背なかに突き刺さる歳月、それでも言語じたいへの関心(夢想のような)を抱き続けてきた
 物語にしろ、うたにしろ、無数の文の集合であり、言い換えれば、テクストであって、それらが自然言語の在り方だとすると、文学だけの視野では足りないような気がする。言語活動じたいは、文学をはるかに超える規模での、人間的行為の中心部近くにある、複雑な精神の集積からなる。......はじめにより】

著者プロフィール

1942年(昭和17)、東京都文京区の生まれ。疎開先は奈良市内。その後、都杉並区に移る。東京大学文学部国文学科を卒業する。『物語文学成立史』(東京大学出版会、1987)、『源氏物語論』(岩波書店、2000、角川源義賞)、『平安物語叙述論』(東京大学出版会、2001)が物語三部作。詩作品書『地名は地面へ帰れ』(永井出版企画、1972)、詩集『乱暴な大洪水』(思潮社、1976)以下、詩作と研究・評論とが半ばする。1992〜93年、ニューヨークに滞在する。『湾岸戦争論』(河出書房新社、1994)、『言葉と戦争』(大月書店、2007、日本詩人クラブ詩界賞)、『非戦へ』(編集室水平線、2018)が戦争三部作。『水素よ、炉心露出の詩』(大月書店、2013)は副題「三月十一日のために」。2011.3.11のあと、『日本文学源流史』(青土社)、『〈うた〉起源考』(同、毎日出版文化賞)、『物語史の起動』(同)の三部作、『文法的詩学』(笠間書院)ほか古典文法論に打ち込む。沖縄文学論の『甦る詩学』(まろうど社)は伊波普猷賞。最近の詩集では『よく聞きなさい、すぐにここを出るのです。』(思潮社、2022)が読売文学賞、日本芸術院賞。『物語論』(講談社学術文庫、2022)、『日本近代詩語』(文化科学高等研究院出版局、2023)、『〈うた〉の空間、詩の時間』(三弥井書店、2023)は新しい。

「2024年 『増補新版 言葉と戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤井貞和の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×