日本語の歴史: 青信号はなぜアオなのか[新装版]

著者 :
  • 笠間書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784305707017

作品紹介・あらすじ

役に立つ日本語史入門。
身近な疑問を着実に育て、日本語運用のメカニズムに迫る。
数々の新見を平明に提示した、日本語史研究の新しい波(ヌーヴェルヴァーグ)。
名著の新装版!

【日本語は、個々の日本語話者のウチにある。日本語話者の一人一人が、日本語を、もっと使い勝手がよくなるように変化させてきたし、現在も変化させている。日本語を話すことによって、自分自身も変化の進行に参加している。
 日本語史の目的は、現に話されている日本語を、日本語話者の集団によってコントロールされているダイナミックな体系として把握し、日本語運用のメカニズムを、そして日本語に生じる変化のメカニズムを理解することにある。
 日本語がひとりでに変化するはずはない。日本語話者が日本語を変化させているのだという事実を明確に認識することが、日本語の歴史への入り口である。】

感想・レビュー・書評

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  • 辛辣で面白い。アカデミックな考察を随筆のように展開していく。旧版は2001年刊行。

    【書誌情報】
    『日本語の歴史――青信号はなぜアオなのか[新装版]』
    装幀:芹澤泰偉
    写真:原 弘
    著者:小松英雄(1929-)
    ISBN 978-4-305-70701-7 C0081
    四六判・並製・カバー装・268頁
    定価:本体1,900円(税別)
    http://kasamashoin.jp/2013/07/post_2672.html

    【簡易目次】
    Contets [i-iii]
    はしがき(2001年9月 小松英雄) [001-007]
    凡例 [008]

    0 イントロダクション――日本語史の知識はどのように役立つか 010
    1 日本語語彙の構成 031
    2 借用語間のバランス 063
    3 言語変化を説明する――怪しげな説明から合理的説明へ 118
    4 音便形の形成から廃用まで 139
    5 日本語の色名 167
    6 書記テクストと対話する 210
    7 係り結びの機能 235

    索引 [253-256]



    【目次】
    Contets [i-iii]
    はしがき(2001年9月 小松英雄) [001-007]
    凡例 [008]

    0 イントロダクション――日本語史の知識はどのように役立つか 010
    0.0 素人論からの脱却 010
    0.1 時間軸上の現代日本語 014
    0.2 有用性という視点 016
    0.3 変化の予測 019
    0.4 安易な予測 022
    0.5 日本語史のルツボとしての現代日本語 024
    0.6 政治史/文化史/文学史に密着した国語史の限界 026

    1 日本語語彙の構成 031
    1.0 文字づかいの裏にあるもの 031
    1.1 みっつのグループ 032
    1.2 活写語 037
    1.3 活写語の機能 038
    1.4 活写語に残った[p] 042
    1.5 活写語の柔軟性 043
    1.6 カタカナ語 045
    1.7 語彙の変動に連動する変化 048
    1.8 複合名詞の語構成 050
    1.9 2音節名詞の語構成(1) 052
    1.10 2音節名詞の語構成(2) 056
    1.11 単音節名詞から多音節名詞へ 057
    1.12 単音節語のまま残った名詞 060
     

    2 借用語間のバランス 063
    2.0 カタカナ語使用の是非 063
    2.1 二重言語・日本語 065
    2.2 現代語における漢語のジレンマ 067
    2.3 古代中国語からの借用 072
    2.4 借用語の語形 074
    2.5 漢語以前 075
    2.6 語音結合則、語源の解明 077
    2.7 『源氏物語』の漢語 078
    2.8 大徳、消息、博士 081
    2.9 類似したふたつの語形の共存 083
    2.10 ハカセとハクシ 086
    2.11 ビビンバという語形 088
    2.12 借用語の語形 091
    2.13 漢語の語形 093
    2.14 語彙の集団差、個人差 094
    2.15 漢文の時代か英語の時代へ 097
    2.16 雇用のソーシツ 099
    2.17 外来語からカタカナ語へ 102
    2.18 漢語の漢字ばなれ 104
    2.19 デッドロック 106
    2.20 2/2のモデル 108
    2.21 ハショリ型、ツギハギ型 110
    2.22 ロックする、チェックする 114

    3 言語変化を説明する――怪しげな説明から合理的説明へ 118
    3.0 言語変化 118
    3.1 唇音退化 119
    3.2 唇音退化ついての疑問 122
    3.3 発音労力の軽減、発音のナマケ 124
    3.4 怪しげな説明 126
    3.5 専門用語のトリック 129
    3.6 母と狒々〔ひひ〕 129
    3.7 ファファ、ファワ、ファファ、ハハ 133


    4 音便形の形成から廃用まで 139
    4.0 俗説を駆逐して真実を探る 139
    4.1 音便の枠付け 140
    4.2 音便という名称 142
    4.3 予備的検討 144
    4.4 スラーリング【slurring】が新しい語形を生む 146
    4.5 音便形の形成 149
    4.6 音便形の機能 151
    4.7 音便形の整備 154
    4.8 日本語史からみた音便形形成の意義 155
    4.9 文体指標の多様化 159
    4.10 言語現象を包括的に把握する 162
    4.11 オナイドシという語形 165

    5 日本語の色名 167
    5.0 ふとした疑問から 167
    5.1 青信号の色はアオではない? 168
    5.2 ふたつの原則 169
    5.3 規範と記述 170
    5.4 辞書の説明 172
    2.5 現代語のアオ 175
    5.6 日本語の色名 178
    5.7 色名の進化過程 179
    5.8 『土佐日記』のアヲ 182
    5.9 アヲウナハラ、アヲブチ 183
    5.10 ミドリ 187
    5.11 ミドリコ 190
    5.12 海のミドリ、空のミドリ 191
    5.13 現代日本語の色名 192
    5.14 キからキイロへ 195
    5.15 形容詞キーロイの形成 199
    5.16 チャイロ、チャイロイなど 200
    5.17 紺青 202


    6 書記テクストと対話する 210
    6.0 書記テクストの声に耳を傾ける 210
    6.1 クレノアヰ 213
    6.2 国語辞典、古語辞典の説明 215
    6.3 カラアヰ、クレノアヰ、クレナヰ 216
    6.4 クレナヰとクレノアヰ 220
    6.5 書記テクストの取り扱い 223
    6.6 証明の手順 226
    6.7 語形の縮約と語構成の透明度 229
    6.8 カラクレナヰ 231


    7 係り結びの機能 235
    7.0 掛かり結びを古典文法から救い出す 235
    7.1 センテンスを中断する 236
    7.2 係助詞ゾの機能 239
    7.3 係助詞ナムの機能 242
    7.4 ディスコースにおける係助詞ゾ、ナムの機能 245
    7.5 係助詞コソの機能 248


    索引 [253-256]

  • 学生時代に読んだ記憶があったのに、改めて読んだら違ってた。あれー?(笑)

    赤、青、白、黒がそれぞれ、明かし、淡し、著し、暗しからきている、明暗と濃淡の言葉であるという所から、ワクワク。
    緑もまあ青の一種じゃん、というザックリした帰結ではなく。
    緑と青の使われ方の違いを、ちゃんと文献に基づいて説いてくれています。

    言葉は移り変わるものだけど、どう移り変わって今の姿になったかは、曖昧にしてはいけないと言われているようでグサっとくる。
    係り結びについても説明有り。

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著者プロフィール

出生 1929年、東京。
筑波大学名誉教授。文学博士。

著書
日本声調史論考(風間書房・1971)
国語史学基礎論(笠間書院・1973:増訂版 1986:簡装版 2006)
いろはうた—日本語史へのいざない(中公新書 558・1979:講談社学術文庫・2009)
日本語の世界7〔日本語の音韻〕(中央公論社・1981)
仮名文の原理(笠間書院・1988)
やまとうた—古今和歌集の言語ゲーム(講談社・1994)
仮名文の構文原理(笠間書院・1997:増補版 2003:増補版新装版 2012)
日本語書記史原論(笠間書院・1998:補訂版 2000:新装版 2006)
日本語はなぜ変化するか—母語としての日本語の歴史(笠間書院・1999:新装版 2013)
古典和歌解読—和歌表現はどのように深化したか(笠間書院・2000:増補版 2012)
日本語の歴史—青信号はなぜアオなのか(笠間書院・2001:新装版 2013)
みそひと文字の抒情詩—古今和歌集の和歌表現を解きほぐす(笠間書院・2004:新装版 2012)
古典再入門—『土左日記』を入りぐちにして(笠間書院・2006)
丁寧に読む古典(笠間書院・2008)
伊勢物語の表現を掘り起こす—《あづまくだり》の起承転結(笠間書院・2010)
平安古筆を読み解く—散らし書きの再発見(二玄社・2011)
日本語を動的にとらえる—ことばは使い手が進化させる(笠間書院・2014)
土左日記を読みなおす—屈折した表現の理解のために(笠間書院・2018)

解説執筆
小川剛生(おがわ・たけお 慶應義塾大学文学部教授)

「2020年 『新版 徒然草抜書 表現解析の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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