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- Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
- / ISBN・EAN: 9784305707277
作品紹介・あらすじ
『源氏物語』。それは、日本の文学が遭遇した、画期的かつ最大級の文学史上の一コマであった。『源氏物語』という驚嘆すべき新しい創造の試みは、いかになされたのか。本書は、寓意や准拠といった観点を軸に、史書、説話、漢詩文、仏典など、様々な外部テクストを本文と対比して、作品世界に分け入り、中世的視界から『源氏物語』の内部世界を照射し、その内実を明らかにする。刺激に満ち溢れる『源氏物語』論。
【テクストに翻弄された中世以前の読者は、本文とのインタラクティブを、すべて作者の手の中に帰着して、解消する。伝承に依拠して出発し、匿名の語り手を装う物語において、本質的な意味で、ここにはじめて〈作者〉が誕生する。読者もまた、生まれ変わらずにはいられない。まるで経典に対するように、本文に注釈を施したり、作者は何が言いたいのかと、問いかけたりするのである。挙げ句の果てに、ストーリーテラーの罪を背負って苦しみ、源氏供養を求める亡者「紫式部」までも仮構する…。作者、語り手、読者。今日ではあたりまえの構造認定が、こうして自然に達成される。】…はじめにより