- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784305709561
作品紹介・あらすじ
和歌を詠んだり楽器を奏でたり、恋愛に一喜一憂したりと、優雅な毎日を送っているように見える平安時代の貴族たち。
しかし実際は、セルフプロデュースやコミュニケーションのスキルがないと生き残れない過酷な世界で、様々な戦略を駆使してサバイバルを図っていた。
実務能力より見た目とセンスの男社会、教養を武器に女主人をサポートしたエージェント=女房、天皇の縁戚になるという一大プロジェクトにまつわる悲喜こもごも、乱れ飛ぶ愛情と呪詛……。
そこには、ジェンダーやルッキズム、シスターフッドといった現代にも通ずる問題も。
本書では古典文学だけでなく女性学などにも詳しい著者が、そんな弱肉強食な世界に翻弄されながらも意外とアグレッシブに生きた人たちの軌跡を、史実と文学作品をもとに解説。
歴史や古典文学への理解を深めるとともに、現代にも通じる人の生き様や心の動きを浮かび上がらせる。
※表紙画像は仮画像です。
【目 次】
はじめに
第1章 女にしてみたいほどいい男
第2章 差し向けられたエージェントとしての女性たち1
第3章 差し向けられたエージェントとしての女性たち2
第4章 差し向けられたエージェントとしての女性たち3
第5章 男性の寵愛を奪い合う女たちは恋愛脳か
第6章 妻・母として以外での女性の自己実現はあったか
第7章 平安時代にもシスターフッド= 女性同士の連帯はあったか
第8章 同性愛は純愛か異性の代わりか
第9章 どうしようもないときに頼る呪術や信仰
第10章 勝ち組の頂点周りの栄光と挫折
第11章 負け組の不遇と意外なしぶとさ
第12章 〝色好み〟の功績
おわりに
主な参考文献
感想・レビュー・書評
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階級社会の中での地位上昇を突破するために、
平安貴族に必要だったのは、知性と教養のスキル!
第1章 女にしてみたいほどいい男
第2章 差し向けられたエージェントとしての女性たち・学問
第3章 差し向けられたエージェントとしての女性たち・音楽
第4章 差し向けられたエージェントとしての女性たち・和歌
第5章 男性の寵愛を奪い合う女たちは恋愛脳か
第6章 妻・母として以外での女性の自己実現はあったか
第7章 平安時代にもシスターフッド= 女性同士の連帯はあったか
第8章 同性愛は純愛か異性の代わりか
第9章 どうしようもないときに頼る呪術や信仰
第10章 勝ち組の頂点周りの栄光と挫折
第11章 負け組の不遇と意外なしぶとさ
第12章 〝色好み〟の功績
主な参考文献有り。
平安時代の宮廷社会と現代の日本社会。
どちらも格差を乗り越えるために、スキルは必要だ。
では、平安貴族、特に女性たちはどのようにして生き抜いて
いったのか?多くの文学作品から、その術を分かり易く解説。
入内した女性が天皇から寵愛を得るためには、知性が必要だった。
それを助け、支えるために集められた、女性たち。
漢詩・漢文の歴史書や文書、琴・琵琶・笛の音楽、そして和歌。
それらは女性が宮廷社会で自立し、認められるためのスキル。
結婚していてもスキルがあれば、宮中に出仕できること。
知識人としての仕事。
その他に現代にもある、中世的な美男やファッションセンス、
恋に恋する乙女たち、シスターフッド、同性愛など、
原文に続いて現代語訳があり、分かり易く解説しているので、
興味深く読むことが出来ました。
乳母子は生涯の友なのか・・・『落窪物語』読もうかな。-
とても興味深い、著作です。
魅力的な女性がたくさん登場してきそうですね。
平安の頃の僧侶というのは、お勉強のできる男子が出世できる、数少ない...とても興味深い、著作です。
魅力的な女性がたくさん登場してきそうですね。
平安の頃の僧侶というのは、お勉強のできる男子が出世できる、数少ない手段の一つだったと読んだことがあります。
いつの世も、人間は狭き門を争って喧々諤々していたのでしょうね。2022/09/06 -
宮廷サロンの女房の即位応答はスキルあってこそ。
男性陣も和歌のスキルが出世に繋がることがあるし、
現代社会のPCスキルと似た要素があって...宮廷サロンの女房の即位応答はスキルあってこそ。
男性陣も和歌のスキルが出世に繋がることがあるし、
現代社会のPCスキルと似た要素があって、
面白かったです。まるで大人の受験戦争の如し。2022/09/06
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全般に読みやすく、一気読みできます。内容は藤原道長を中心とした摂関時代の宮廷事情と当時に書かれていた物語からみた平安貴族のサバイバル事情がドッキングされています。隠微な権力闘争の内幕話にも知らなかった史実はありましたが、それよりも物語の紹介が楽しい。タイトルだけは知っている作品も要領よく教えてくれます。斬新だったのは「石清水物語」の存在。BL小説の始源がここにありました。驚きと共にさもありなんです。
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平安時代は現代と似ている??
古文は中高生の頃好きだった。
講師の先生が良い人で、非常に楽しく学んでいた(今はだいぶ忘れてしまったけれど)。
本書は古文が苦手な人でも大丈夫(ちゃんと訳がある)!
出世するには身分が大事、しかしそれ以外にも学力がものを言う貴族社会。
出世だけが幸せではないけど、給料アップはしたい。
そんなミニ野心の参考になる、かも。
第1章からガツンとくる。
中性的な男性が良きこと、なのは平安貴族の価値観。
日焼け、髭黒はちょっとねぇ、なのだ。
「女にて見たてまつらまほし」は最高の褒め言葉。
女にしてみたいほど美しい、という意味である。
…これ、よく赤ちゃんに言うよなぁ…女の子みたいに綺麗な顔ねぇ、なんて。
現代でも例えば男性芸能人が柔和でつるんとした顔が好まれるのも、平安の名残……?
第2章は、寵愛を得るには知性がいる、という話。
家柄容姿がいいのは当たり前、付加価値として文化的に優れていることが必要だそうだ。
『枕草子』の「香炉峰の雪」は必ず教科書に出てくるけれど、確かにこれだけ優れていたらマウントをとりたくもなろう。
男のすなる学問、といえども、対抗する知性がなければ仕事も恋もままならない…うーん、ダブルスタンダード!
一夫多妻制の平安時代、男性の寵愛を得られなければ女性の立場がない…が、たまにはやり返す妻もいて。
いまでも「サレ妻」ものが人気だが、最後はスカッとしたいもの。
香炉の灰を夫にバサーっとかける、なんて話は当時の女性たちも大喜びだったろう。
平安貴族女性の立場は不安定だ。
だが知と美で戦う姿は今も変わらない。
どっちも持ってなかったら…そこは努力でカバーしよう。
何もせずに待っていても現状は変わらない。
平安時代より、きっとできることは多いはず。
古きから自分らしさを学び、未来に向けて自分らしさを磨いていこう。 -
初心者向けの解説本をあらかた読んでしまった人向けとのことだけど、一条天皇と定子・彰子(清少納言と紫式部)絡みはまんが日本の歴史で、落窪物語を山内直実の漫画でしか知らない状態でも割と楽しめた。
文章もあまり堅苦しくなく、というか天皇の寵愛を得たいという旨を「天皇の夜をジャックしたい」とか結構くだけた感じだった。
いちばん興味深く納得できたのは、落窪物語で説明された平安時代のシスターフッドで、身分差があればこそ強い絆で結ばれていたというくだり。
絶対的な身分差があるから、男の寵や自分の立場をめぐって争うことがない(実姉妹だと身分が同等だから得たいものが被ってしまいライバルとなる)というのはなるほどだった。目からうろこ。 -
(借.新宿区立図書館)
「文学作品から見た」という副題がふさわしい。歴史学の史料もある程度は利用しているが、源氏物語などに描かれた貴族像(その作品の著者から見た姿)であることに留意が必要。時代小説とか大河ドラマからその時代をとらえようとしているのと同様なので読者としては気をつけなければいけない。ただ、そういう視点も必要なことなので、そう理解した上で読むべき本。 -
芦野公平さんの素敵なイラストの表紙。
軽過ぎず、重すぎ、私には読みやすい本でした。
題名の
差し向けられたエージェントとしての女性たち
学問で勝つ
音楽で抜きん出る
和歌の力でのしあがる
平安時代にもシスターフッド
女性同士の連帯はあったか
負け組の不遇と意外なしぶとさ
題名にクスクスです。
中高の古典の授業の前に、こんな話しをしてくれていたらなぁ~。
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【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/697159