建築史の基礎概念―ルネサンスから新古典主義まで (SD選書 240)

  • 鹿島出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784306052406

作品紹介・あらすじ

建築史・意匠論の概念確立をめざした建築空間論の古典。空間構成、量塊と表面の造形、光・色の視覚的イメージ、そして意匠の社会的効果という基本要素を設定し、ヨーロッパ建築史を探求する。

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  • 出版社/著者からの内容紹介
     この本は、建築史および建築意匠論の、基本概念の確立という、壮大な目標を目指して書かれたものである。そうした目標を目指した試みは、勿論他にいくつもあったかもしれない。しかし、これ程に包括的で、厳密な理論を目指したものは、この先にも、後にもない。その意味で、この本は建築史および建築意匠論の古典のひとつとみなして良いだろう。 著者パウル・フランクルは、十九世紀後半から二十世紀始めにかけての、輝かしいドイツ美術史学の流れの最後に位置している。ヤーコブ・ブルクハルトやアロイス・リーグル等の打ち立てた偉大な成果の上に立ちながら、彼は絵画、彫刻といった他の美術分野とは異る、建築芸術独自の特質を明らかにするという大きな主題に挑戦をした。歴史学が、哲学的考察の上に立つ、厳格な理論的枠組みの上に構築されねばならないと信じていた点において、フランクルは、正統なドイツ美術史学の継承者であった。しかし一方、「目的意図」、すなわちウィトルウィウスの言う「用」(commoditas)を離れて、建築を論ずることはできないと直感している点において、彼は、古代からの建築学の伝統に連なるものであり、同時にまた、「空間」を建築の本質であると理解し、ゲシュタルト心理学をその方法に組み入れた点においては、興りつつあるモダニズムの流れの内にいる者でもあった。 フランクルが目指した地点は、建築芸術においては、まことに正統で実際的なものであった。しかし、そうであるが故に、その地点は、誰もが直接到達することを避けてきた、困難な地平にあるとも言える。明らかに、この本も、多くの不完全で、未熟な部分を抱えこんでいる。 それだけではない。主観的で印象的な言説を楽しむ今日の建築批評の潮流からすれば、幾何学的な形態の記述から出発するその論は、あまりにも煩瑣で、退屈するものと受けとられるだろう。あるいはその反対に、厳密な資料考証にのみ価値を置く研究者からすれば、その説明は、強引で客観性を欠く、とみられるかもしれない。しかし、このような二極への分解を克服し、建築の健全なる全体性を回復せんと願っている者にとっては、この本は、間違いなく、常に、ひとつの光明を与え続けるものだろう。(監訳者序文より)


    内容(「BOOK」データベースより)
    建築史・意匠論の概念確立をめざした建築空間論の古典。空間構成、量塊と表面の造形、光・色の視覚的イメージ、そして意匠の社会的効果という基本要素を設定し、ヨーロッパ建築史を探求する。

    目次
    問題と方法―序説―
    第一章 空間形態
     宗教建築
      第一段階
       (1)同等の付属中心を持つ単純な群
       (2)リズミカルな付属中心を持つ単純な群
       (3)同等の付属中心を持つ第二次秩序の群
       (4)リズミカルな付属中心を持つ第二次秩序の群
       (5)組み合わされた群
       (6)単純な列
       (7)リズミカルな列
       (8)同等の付属中心をもつ列
       (9)リズミカルな付属中心を持つ列
       (10)群と列の組み合わせ
       (11)空間の付加
      第二段階
       (1)長軸型教会堂におけるルネットと交叉ヴォールト
       (2)長軸型教会堂における相互に結合された礼拝堂群
       (3)長軸型教会堂におけるギャラリーとブリッジ
       (4)長軸型教会堂におけるバルコニー
       (5)他の形による相互貫入
       (6)付属中心群と袖廊の縮小
       (7)リズムの消失
       (8)基本形態
       (9)中心型教会堂におけるルネット
       (10)中心型教会堂における周歩廊
       (11)中心型教会堂におけるコレッティとブリッジ
       (12)中心型教会堂における長軸方向の強調
       (13)分節されていないホール
       (14)複雑な構成の幾何学
       (15)「予期せぬ」ヴォールト
       (16)プロテスタントの長軸型教会堂
       (17)プロテスタントの中心型教会堂
       (18)空間の分割
      第三段階
       (1)凸状の空間
       (2)凸状の空間部分
       (3)ヴォールトの諸形態
       (4)「予期せぬ」ヴォールト
       (5)閉じた空間の上部の開放
       (6)一定の天井高
       (7)ホール式教会堂
       (8)空間形態の相互貫入
       (9)プロテスタントの教会堂
       (10)微積分学にもとづく諸形態
      第四段階
     世俗建築
      一、階段
       第一段階
       第二段階
       第三段階
       第四段階
      二、廊下
       第一段階
       第二段階
       第三段階
       第四段階
    第二章 物体形態
      第一段階
       (1)オーダー
       (2)柱列のリズミカルな間隔配分
       (3)分節化された壁
       (4)柱列と分節化された壁の組合せ
       (5)枠組
       (6)格間
       (7)力強さの発生源
      第二段階
       (1)支持体の権威失墜
       (2)融合と分裂
       (3)枠組
       (4)格間
       (5)〉力の伝達物
      第三段階
      第四段階
    第三章 可視形態
      第一段階
       (1)調和
       (2)明瞭さ
       (3)正面性
       (4)単一の像
      第二段階
       (1)対比
       (2)明瞭さの欠如
       (3)斜め方向の見え方
       (4)多数の像
      第三段階
       (1)無数の像
       (2)ひとつの視点
      第四段階
    第四章 目的意図
      第一段階
       (1)栄光への渇望
       (2)芸術的関心に対する宗教的関心の従属
       (3)宗教建築における目的の同等性
       (4)世俗建築における目的の同等性
       (5)求心的に把えられた目的
      第二段階
       (1)イエズス会
       (2)宗教的関心に対する芸術的関心の従属
       (3)プロテスタンティズム
       (4)カトリックの世俗建築
       (5)プロテスタントの世俗建築
       (6)遠心的に考えられた目的
      第三段階
       (1)世俗建築
       (2)カトリックの教会堂
       (3)プロテスタントの教会堂
      第四段階
    第五章 四段階に共通する特徴と相異なる特徴
     一、四段階の定義
     二、四段階の区別 
     三、四段階の連続性
     四、伝統と独創性

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