柔らかい土をふんで

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 51
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309011790

感想・レビュー・書評

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  • とにかく圧巻の文体、その長さ。

  • 2009/5/11購入

  • この一編を読み、まだ小説を書く気力が残っている作家志望者は、それだけで才能があるといえる。

  • 世界が単一のことしか物語らず、何かを見ても必ず何かを思い出す時。人は狂ってしまっているのかもしれません。でも、それが小説なら。なんと官能的なんでしょう。

  • 繰り返し繰り返し語られる物語がある。時代がかった大袈裟な作りのドレスの脱ぎ難さ、湿ったコンクリートの床のアンモニアとレモンが混じった臭い、濃い桃色に赤と白の縞のある靴下止めに締め付けられて熱くなり、赤くなった太股の付け根の痒み、しゃがんでいると汗ばんでぬるぬるするひかがみ。
    モーツァルトのピアノソナタのバリエーションのように繰り返すたびに微妙にかたちを変えて、しかし執拗に語られるそれらの事柄が読み手の記憶の底に沈んでいき、再び姿を現わしたときには、あたかも読み手自身の幼少期の体験が記憶の井戸の底から浚われ、晒されて、不意に表出したかのような錯覚をおぼえる。この人は本当に、ただ一つの物語をのみ語り続けてきたのだなあ、最初っから。

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著者プロフィール

金井美恵子
小説家。一九四七年、群馬県高崎市生まれ。六七年、「愛の生活」でデビュー、同作品で現代詩手帖賞受賞。著書に『岸辺のない海』、『プラトン的恋愛』(泉鏡花賞)、『文章教室』、『タマや』(女流文学賞)、『カストロの尻』(芸術選奨文部大臣賞)、『映画、柔らかい肌』、『愉しみはTVの彼方に』、『鼎談集 金井姉妹のマッド・ティーパーティーへようこそ』(共著)など多数。

「2023年 『迷い猫あずかってます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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