心の調べ

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 33
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309017747

作品紹介・あらすじ

名曲「春の海」の作者はたぐいまれな名随筆家でもあった。「耳の人」宮城の魅力を伝える珠玉のエッセイを、入手しにくい本を中心に編んだ決定版コレクション。内田百〓(けん)との対談「倫敦塔を撫でる」も収録。

感想・レビュー・書評

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  •  大正・昭和の資料映像を見たとき遥か遠い世界とは思っても、心の底をさぐればどこかに記憶の残りかすのようなものがあるような気がするが、そのころの音の世界となると、これはもう想像を絶する別世界であろう。その音の世界を類まれなる検校である宮城道雄が、ていねいに、まことにていねいに再現してくれたのが、本書に収められたエッセイである。
     人の声、足音、鳥のさえずり、吹き付ける風、軒をつたう雨、川のせせらぎ、波の音、‥‥、本書に収められたエッセイはその一つひとつの音についての著者の想いが、静かに、静かに、語りかけてくる。
     宮城道雄という稀代の検校だからこそ、音だけの世界とはかくも彩り豊かなものなのであるということを伝えることができたのだろう。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4309017746
    ── 宮城 道雄《心の調べ 20060825 河出書房新社》
     

  • 「春の海」の作曲者として有名な宮城検校の随筆。聴覚にすぐれた人の独特の感性が光る。また、とても真面目な人柄が伝わってくる。親友の内田百閒先生とのユーモアあふれる校友録が素晴らしい。

  • 宮城道雄のエッセイ。優しい語り口でとても心地よかった。この本を読んでから、日常で感じることが変わった気がする。

    宮城道雄は盲目になり、芸に没頭できる人生が歩めて幸せだし人生が三度あっても足りないぐらい勉強したいことがたくさんある、と語っていたのに列車から転落して亡くなったとかやりきれない。

    処女作「水の変態」を聴きたくなった。

  • 心が洗われる様な、どこか静謐な、綺麗な文章でした。宮城さんのチャーミングな人柄も垣間見えて、偉大な作曲家を身近に感じる事が出来ました。

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著者プロフィール

宮城道雄(みやぎ みちお 1894‐1956)
名曲《春の海》の作曲者として知られる宮城道雄は、明治27年(1894)4月7日、神戸三宮居留地内で生まれた。8歳で失明の宣告を受けて以後、自らの道を箏曲地歌に定め、やがて西洋音楽の要素を邦楽に導入することによって、新しい音楽世界を開拓。自己の音楽理念に関する叙述も数多く著した。また、親友の随筆家、内田百閒のすすめで、昭和10年(1935)に最初の随筆集『雨の念仏』を出版して以来、生前に7タイトルの随筆集を出版。音楽家の単なる手すさびの域を越え、文学として一つの世界を確立し、川端康成ら各界から高い評価を得た。演奏家としても一世を風靡したが、昭和31年6月25日、《越天楽変奏曲》を関西交響楽団と共演するため大阪へ向かう途次、刈谷駅付近で急行「銀河」より転落、62歳で死去。

「2022年 『宮城道雄著作全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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