走ル

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 271
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309018584

感想・レビュー・書評

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  • 貴重な自転車小説。
    ビアンキのロードバイクに乗って目的もなく北へ走り続ける主人公。自分もこんなふうに自転車で走りたくなる。疾走感がたまらない。
    ツール・ド・フランス等、自転車レース好きな人にもおすすめ。

  • 第139回芥川賞候補作品。

    2008年7月27日(日)読了。

    2008−67。

  • 勢いで読ませるというのもテクニックですね。
    遠くに行ったときしか味わえないあの高揚感みたいなもんを、文章でこんだけ表現できるのはすごいな。
    内容としては、若いっていいねってかんじでした。

  • 学校をサボって、気の向くままに自転車でひたすら北に向かって走ル話。
    常識では思っても、行動には移さないでしょう、という行動をとった主人公は、とうとう本州最北端へ。
    勇気があるのか、現実から逃げているのか。
    自転車のスピードと同じく、読むのもスピードを上げてしまいました。

  • タイトル通りに、最初から最後まで走って終わる話。朝練の途中で衝突に思い立って、学校サボって東京から北海道まで自転車で行っちゃいます・・。ハチクロの竹本クン思い出しましたけど、途中で様々な人間の交流があるわけでもなく、ただ携帯で友人とメールしながら走る。親や友人の淡白さも含め、そのへんが、イマドキっぽい。友人と電話することは避け、メールでも、みんなには風邪で休むと言い、普段会わない鈴木さんにしか本当のことを言わない。そのあたりの気持ちは、なんとなくわかります。特に明確な目標はなく、その日その日で、帰るかどうか迷っているんですけれど、なんとなく、そのテキトーさもわかるような・・。それにしても羽田圭介、どこへいく。青春路線なのか。

  • 自宅でふと見つけて掘り起こした自転車。陸上部の朝練を途中で抜けて走り出したら止まらない。どこまでも走っていきたい。彼女や昔の同級生とのかかわり方がイマっぽい(淡白すぎるけど)走りに対しての描写に引き込まれるけど、止まらないわりに熱くなるものはない。「ハチクロ」の竹本君ばりの青春はない。ただ自分も走りたくはなった。著者は「不思議の国の〜」の人だったのか。

  • 男の子だなぁ。主人公が感じた陽射しの暑さ、空気の匂い、風の心地よさ、腕に伝わる振動。そんな五感に感じる全てのものが懐かしく甦った。いちばん良く分かったのはその心かもしれないが。何も持たなかった高校時代は時間だけがたっぷりあった。その瞬間の気分だけで何でもできた。その世界は狭く浅かったけど。主人公には最後まで走り続けて欲しいと願ったが、結局最後は、またつまらない日常と、人間関係の中に帰ってしまった。過去の自分と同じように。しかし、元の生活に戻り何も変わらない毎日をおくっているように見えても、確実に何かが変わっているのだなぁ。たぶん間違いなく以前より少しだけつまらない人間になっている。そんなことを繰り返しながら、少年は大人になっていくのだろう。そして、いずれそのうち、背負ったモノが重すぎて、細いタイヤのロードレーサーでは走れなくなってしまう。あ〜あ。悲しいな。気持ちだけはいつでも、どこへでも、気の向くままに走って行きたいと思っているのに。

  • 夏休み明けのテストが終わり、物置で何気に見付けた貰い物の中古のロードレーサー【ビアンキ】。
    ここからビアンキとの旅の始まり。
    東京から北に向かって走っているだけのお話。
    タイトル通り「走ル」。
    '08.05.12読書完了

  • なんか無駄に体力が余ってる男の子という感じが、この年になると、とても羨ましい。只走ってるだけで、ドラマも無く淡々と話が続くのだが、これが結構清々しく、結局恋人に会いに電車に乗って帰るという結末も好きかも。主人公の親の距離の取り方が、絶妙な気がする。これは主人公が男の子だから、私のようなバアサンに受けたんだろうなあ。女の子ならこうはいかない。

  •  突っ走る! 感情に身をまかせ走る。 暴走! そういうのは昔、もっぱらバイク(オート)や車族のものだった。 しかし、エコロジー、メタボリックが重要視される21世紀において、激走するのは、自転車だ。 『走ル』。 タイトルからして、ズバリ直球の一冊は、陸上部の高校生が朝練習を抜け出し、自転車を走らせる軽快な物語。 計画性なんてまるでない。飲み物の買い出しが面倒になり、もうちょっと先、もっと先と、久しぶりに乗ったロードレーサーを走らせる。 神田だ。秋葉原だ。国道4号線だ。荒川だ。埼玉県だ。…。  自転車に乗って遠出をすると、行きは勢いで気持ちよく走れるのだが、帰りは同じだけ戻らなくてはいけない。ちょっと億劫になる。 それなら、このまま前へ前へと進んだら、どうなるだろう。 けど、だいたいの人は、学校や仕事や用事があるから、そもそもそんなに長く自転車乗っていると疲れるから、ちゃんと同じ道(少しはコースを変えるかもしれないけれど)を帰ってくる。 この『走ル』の主人公は、そんなことにしばられない。 いや、高校の陸上部の朝練をやっていたのだから、本来なら、その日、学校に行かなくちゃならないし、その前に朝練に戻らなくてはいけないし、家にも帰らなくてはいけないし、彼女にだって会わなくてはいけない。 けど、戻らない。 自由に。遠くへ。 ならば、これは『オン・ザ・ロード』のような旅の物語なのか。 旅先で見知らぬ人とのふれあい、といったものが無いことは共通しているが、持ち物が違う。 それは、携帯電話。 ふだん高校に通っているときと変わらず、主人公は彼女と携帯メールを交わす。内容も友達がどうしたドーナツがどうした。どうでもよいこと。 しかし、変化はある。もう一人、携帯メールを交わす相手がいる。 それは、小学校時代の同級生。ちょっと気になっていた女の子・鈴木さん。 だんだん、そちらのメールのやりとりが楽しくなってくる…。 体は旅しながらも、心は今いるところになく、二人の女の子のところにある。 これも通信技術が進歩した輝ける(?)21世紀のスタイルなのか。そうなのか? [本の串刺し 突っ走る その1]

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著者プロフィール

1985年生まれ。2003年『黒冷水』で文藝賞を受賞しデビュー。「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞。『メタモルフォシス』『隠し事』『成功者K』『ポルシェ太郎』『滅私』他多数。

「2022年 『成功者K』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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