人生の収穫

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309020648

感想・レビュー・書評

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  • 人生の収穫はなにか?

    その一つは経験の先に
    得る知識ではないかと
    思います。

    温かい経験はそれその
    ものが収穫ですが、

    忘れたいような経験も
    貴重な知識を授けます。

    読書もまた立派な経験。
    遊ぶことも休むことも
    そう。

    大悪はいけないけれど
    小さな悪も知っておく
    ほうがいい。

    その知識で世界をより
    良くしていけたら、

    その知識を次の世代に
    受け渡していけたら、

    その実感を得られたら、

    自分の人生に何かしら
    意義を感じられるもの
    なのかもしれません。

  • 氏の言葉は、身体を包むように温かく、じゃまにならないやさしさに満ちていると感じました。

    収穫とは、成功した面だけではない。と私は感じている。不幸なできごとも、後で考えると、生きた実感として、幸運や幸福よりも強い時がある。
    ほんとうに一文にならなくても、知識は「人生の収穫」だとしみじみ思える。
    「人生の収穫」と言えるものを得るためには、多くの場合世間の常識にいささか刃向かっても、自分独自の価値観をもった方がよさそうだ。

    気になった言葉は次です。

    ・人生には一日として同じ日がない。会う人も一人として同じ人がいない。そう思うと強欲になるのだ。今日を大切にしたいと思う。
    ・要は自分流に不器用に生きることである。自分流でなく、他人流に生きようとする人が多すぎるから、ストレスが起きる。
    ・パウロは愛というものは、相手を変えさせようとすることではなく、辛抱強く相手をそのままの姿で庇い続けることだと書いている。
    ・時間が早く経つと感じるのは、幸福な証拠、とおもうようになった。
    ・ブッシュはテロ後、「自由は犠牲と代償を伴うのだ」とはっきりいっている。
    ・要は人間は、自分の得意で好きなことをするのが成功と幸福につながる。そのためには、まず自分の得意なものを発見すること、次にそれを一生かかってし続けること。
    ・「うまい話」などこの世ではありえない。
    ・人脈というものは、もしかすると、人脈を使いさえしなければ必ずできるものなのかもしれない。
    ・私の実感によると、人生の面白さは、そのために払った犠牲や危険と、かなり正確に比例している。冒険しないで面白い人生はない、と言ってもいい。
    ・ふと考えてみれば、カトリックの精神構造の中には、「逆らいをためらわない」という気風がある。自分が思考するとき、神は意識しなければならないが、判断を世間の常識に合わせる必要がないことが、時には「逆らい」と映るのである。
    ・私はすべての生活は過酷だと思っている。そのあって当然の過酷を正視し、過酷に耐えるのが人生だと、一度認識すれば、すべてのことが楽になる。
    ・「したいことをするのが自由ではない。人間としてすべきことをするのが自由なのです」
    ・人は自分が手にしていないものの価値だけ理解する。皮肉なものである。
    ・人の心を満たすもっとも簡単な方法は、「なにほどか、自分の存在が社会に役立っている」という実感を持たせることである
    ・自分が不愉快なら、不愉快な声をだしてもいい、ということは少しもない。むしろ、自分の内心がどのようであろうと、平静と礼儀とを失わないように取り繕えるのが大人というものだ。
    ・ありがたいことに、キリスト教は、心からでなくとも、理性だけでもいいから愛を実行せよと教えてくれた。心と行動は違っても仕方がない。せめて、心と行動とは裏腹でいいから、相手に優しくせよ、教えてくれたのである。
    ・しかし時とすると、善意ほど恐ろしいものはない。悪意は拒否できるが、善意は拒否する理由がないからだ。
    ・人間はたやすく集団で理性を失える性格をもっているのだ、それが万人に共通の弱点なのだから、自分だけが例外でないと覚悟すべきである。
    ・疑ってもなお、用心しつつ、助けるべき人は助けることができるのだ。理由なく信じることはいいことではない。それは愚かなことである。
    ・人から嫌われた場合、その人の視野から消えてあげるのが、一番穏やかな方法なのである。

    目次は以下の通りです。

    まえがき

    第1章 人生には一日として同じ日がない
    第2章 「適当」という人生の至芸
    第3章 人生は「回り道」が面白い
    第4章 冒険しないで面白い人生はない
    第5章 人生には何でもあり
    第6章 老いてこそ輝く人生

  • 私の名前はこの人から母がとってつけたそうです。母が好きな作家さん。初めてこの人の本を読みました。純粋に良かったです!

  • 老いるとは?

    →他人流に生きるからストレスが溜まるため、自分流に不器用に生きる必要がある
    自分の得意なことを発見し、それを一生かかってし続ける
    人生の面白さはそのために払った犠牲や危険と比例している

  • Amazonの内容説明
    「自分流に不器用に生き、失敗を楽しむ才覚を身につけ、老年だからこそ冒険し、どんなことでも面白がる―世間の常識にとらわれない独創的な老後の生き方。」

    ゆとり世代の私には「お前には分からへんやろな!あはは!」と曽野さんにバカにされたような気にも多少なりましたが、このちょっとキツい感じがピリリと心に響いて良かったです。

    グローバルな話題が多く、超日本人の私には「ついてけへん」ってこともありましたが、少し勉強になりました。

    世界は広い。もっといっぱい自分の正直になって、好きなことも嫌いなこともやってしまおう。そうしてわたしは形作られてゆく。

  • 昨年出された本にも通じますが、曽野さんらしい本音の1冊だと思います。

  • バックボーンは違っても現代風潮に対する警告には共感できる点が多い。適当という至芸、回り道が面白い、冒険しなくちゃ、人権・自由のはき違え、損なことを選べる高貴さ。

  • 出だしの一文が素晴らしい。
    11私の人生は収穫だらけだった。

    全体的に、今まで感じてたモヤっとしてたものを言葉できちんと説明してくれた本だと感じた。
    やっぱり、年長者の話はいいものだ。

    48要らないものは整理して空間が残っているようにしたい・・・
    今の自分が正にそう。
    洋服とかバンバン整理してる。
    49椅子、テーブル、床は物置き場に非ず
    たしかに。

    51要は人間は、自分の得意で好きなことをするのが成功と幸福につながる。まずは自分の得意なものを発見する事。
    次にそれを一生かかってし続ける事。
    この2つの行程に必要なのは、持続力といささかの勇気だけである・・・・。
    ⇒胸に響きました。いささかの勇気。これが、むずかしい。自分との闘い。

    54小説を書く場合の心得。連載は、読者が筋を知ってくれているだろうと思うのは甘い。最初の一、二行は説明が必要。

    65子供が生まれたら女性はいったん、退職して、少なくとも十年か十二年くらいはべったりとうちにいてやる方が自然で無理が無い
    ⇒全く同感。だから、会社勤めの共働きを強制してくる相手は、ナンセンス。だって、食とか人のぬくもりを伝える事は大事でしょ。

    114わたしの実感によると、人生の面白さはそのために払った犠牲や危険とかなり正確に比例している。冒険しないで面白い人生はない、と言ってもいい。
    なんとなく、わかる気がした・・・

    128ディベートで勝ったら気持ちがいいとしたら、ずいぶん精神の幼い人だと思う。
    ⇒納得。今の上司が正にそう。何か言って、気に食わないことがあると、相手が誰であろうと、モグラ叩きのように、潰しにかかる・・・ああはなりたくない、と思う毎日。

    133道徳とは、単なるお説教ではないのだ。人間関係を最低限あまりこんがらかせずにやっていくための謙虚な知恵なのである。・・・不倫も浮気も致し方ない場合はたしかにあるだが、・・・自分の行動を周囲に是認してもらおうと思うのは卑怯だと感じていた。・・・つまり不倫や浮気は反社会的で誰からも理解されない悪いことだ、とはっきり認めたうえでやるべきことなのだ・・・
    ⇒全くその通り。善い悪いと言えなくとも、反社会的行為。人として許されようとするその態度が全く生きるに値しない。周りをも不幸に関わらせている事を自覚し、「そんな人間なんだ、自分って。」と心に深く刻み込んで生きてください。
    また、他人のものを欲しがる人は、幸せになれません。残念ですね。

    136働きたくない者は、食べてはならない・・新約聖書のパウロ「テサロニケの信徒への第二の手紙」3-10に書かれている。

    178退屈な人は権力欲の強い人、と有名人に近づきたがる人 だけである。
    ⇒たしかに。納得。

    205人は最期の瞬間までその人らしい日常性を保つのが最高なのである。
    ⇒そうなのかもな・・・。実は、突然死も悪くないのかもね。

  •   もう何冊目だろう、この曽野綾子さんの本を読むのは。重くなくさりとて軽くもないのだが、なぜかすらすらと読めるのがいい。もっともこの人が若い頃の小説ではなくて、ほとんど最近のエッセーのようなものだけだが・・・・。
      いつも感心に思うのは、ちょいと古い話をも取り出してきて新しい話題と組み合わせて一篇を書き上げていること。よくもまあそんな出来事やちょいとしたことを覚えていたことよと感嘆すらしてしまう。もともとが物書きの習性なのだろうかと思っても見たりするが、それにしてもたいしたものだと思う。なんせもう80歳を過ぎた大バアチャンなのにと。
      この本の中でもまた取り上げてあるのが、冒険があるから人生は面白いというテーマ。この人は人道活動のために極貧のアフリカから南米まで全世界を飛び回ってきて、結局はそれが人生に潤いをもたらしたというまさにポジティブ、アグレッシブな人だと云っていい。老年の域においてそうだから尊敬にも値すると云って過言ではない。
      自分など、やれエジプトだ東南アジアだとかいうと、衛生面が気になって直ぐに尻込みするし、サンクトペテルブルクに行ってマリインスキー劇場に足を運んでみたいなどと思ってはいるが、西欧と違ってやはり敷居が高く感じる。英語は通じるのか、気軽に入れるレストランはあるのか、物騒なのではないか・・・などと。振り返ってみれば、ドイツやスイスでホテルも確保しないままうろつく旅をしたのが多少の冒険だったかも知れない。これからは益々冒険が億劫になるのも確かだろう。鉄馬でツーリングするのがせいぜいのところ。まあ情けない話だけどね。

  • 曾根さんの素直に感じたことが書かれている感じがしました。率直な意見や日々で考えたことを記している様子に、とても共感できました。ふとした瞬間での気づきこそ大切にしなくちゃいけないもの、かもしれませんね。なんだかドタバタしている自分や世の中への提言ですね。

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著者プロフィール

1931年東京生まれ。聖心女子大学卒。93年恩賜賞・日本芸術院賞受賞。2003年文化功労者に。2012年菊池寛賞受賞。著書に『人生の収穫』『「群れない」生き方』『人間の道理』『老いの道楽』等多数。

「2022年 『未完の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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