逢えない夜を、数えてみても

著者 :
  • 河出書房新社
3.06
  • (3)
  • (12)
  • (22)
  • (9)
  • (3)
本棚登録 : 151
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309022345

作品紹介・あらすじ

崩れゆくものこそ、美しく愛おしい――。窓を叩く激しい雨、哀切なピアノのメロディ、そしてかすかな恋の予感。それは破滅への序曲なのか? ピアノ調律師と自動車整備工の平穏な恋は、一人の男の出現によって、思わぬ局面を迎える。甘やかで残酷な、二つの愛のはざまに揺れる、女・三十歳の選択。極上の恋愛小説!

<本文抜粋>
〈苦味は感覚の必需品である。苦味とか哀しみとか痛みとか、それらは生きていく上で欠かせないものなのだ〉

〈幸福なんてものの概念をいちいち探ったりしない。それが、最も健全な状態なのかもしれない〉

〈「好き」の分量が多いほうが、いつだってみっともない行動をする。みっともない分だけ相手はしらけていく〉

〈あの人は今、何をしているのだろう。答えを知ったところで、それは薬にもなるし毒にもなる〉

〈単なる偶然を、つい運命などという大げさな言葉に置きかえてしまう。これだから恋愛は嫌だ。一番嫌いな女に自分自身がなってしまう〉

〈別れるとは、どんな状態を指すのだろう。逢わない、連絡をとらない、相手の温もりをあてにしない。胸がどんより重くなった〉

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 6歳年下の大樹と付き合うピアノ調律師の彩音。
    大樹との時間に幸せを感じてはいたが、ある男性との出会いで、彩音の気持ちが揺れ動いてしまう。…

    ある程度のところで、だろうなと気づきます。
    その中で、彩音の母、大樹の母の描写が少なく、それぞれが独特の立ち位置にいるはずなのにインパクトが弱く残念でした。

    彩音の気持ちの揺れ動く様の表現に、これいいなと思うものが多数ありました。
    自分がまだ若く、恋愛中であれば、グッと来ていたのかも。

    最後が少し駆け足すぎた気がします。
    彩音の選択は、大樹のママ二世を作る気がしますが、どうでしょうか?

  • こんなエンディングで終わるのか〜。
    最後の最後は、ミステリーの要素さえ、感じられる。子供は親の呪縛から逃れられないの?それでも、こんなエンディングか〜

  • 主人公 彩音はピアノの調律師 彩音が運転していた車のトラブルがきっかけで自動車整備工場の大樹と知り合い恋人関係になります。

    一見二人は上手くやっている様に見えるけれど大樹と母親の関係にとまどう彩音。

    そして彩音は中年男性 渡辺に惹かれ関係を持つようになります。

    終始文章の中に流れる虚無感、倦怠感などが結構心地よく読みやすい作品ですが結末のオチは良くあるパターンです。

    最後の最後に二人が出した結論は私には納得出来る形ではなかったし、あの結論で二人が今後幸せになれるのか疑問が残りました。

  • 世間一般の言い方をすれば"浮気"なんだけど、ただその一言では表現できない渇望や情熱がそこにあって、それが一番正しくて永遠にあるべきものに感じた、243ページまでは。
    最後の5ページで空き缶が踏み潰されたみたいに温い不穏が形を無くした
    歪んだまま絵にされた二人みたいだった

  • 幸せをつかみたい。

  • うーーーーーん。なんとも切ないというか、やるせないというか、登場人物が誰一人として幸せな結末を迎えていないところに非常に後味の悪さを感じるお話でした。
    途中からなんとなく展開が読めますが、そこでまさかのラスト。大樹はあれか。心神喪失した女が性癖なのか?

  • 崩れゆくものこそ、美しく愛おしい----。
    窓を叩く激しい雨、哀切なピアノのメロディ、そしてかすかな恋の予感。それは破滅への序曲なのか?
    ピアノ調律師と自動車整備工の平穏な恋は、一人の男の出現によって、思わぬ局面を迎える。
    甘やかで残酷な、二つの愛のはざまに揺れる、女・三十歳の選択。
    (アマゾンより引用)

    結構展開が読めたな…

  • 気になる人ができてしまったら、それはもうどうしようもできないのだろうな。一緒に住んでいる男がいたとしても。
    そこで突っ走るか、立ち止まることができるのか、先のことを考えられるかどうか、自分に正直に生きるほうを選ぶかどうかの違いだろうか。
    こんなになっても元に戻る? ありえないわ。

  • 香りを楽しむ珈琲店で、アロマ入りのネイルオイルを塗る女。
    パートナーの親が倒れたというのに、若い女を口説く中年男。
    タクシーを一晩中待たせて情事にふける男と女。
    そんなこんなで、登場人物全員に嫌悪感しかない。
    ラストも唐突。何コレ、って感じ。

    あと、不自然な蘊蓄やお店の名前が無理矢理な感じで挿入されてて、そのたびに居心地の悪い気分になった。「私、こんなオシャレなこと知ってるのよ」的な。そういうの、田中康夫で終わってるし。もうはやんないよ。

  • 話の途中から父親だろうなとは思っていたけど刺されたのは予想外だったしそのまま結婚したのも予想外。大樹も父親もたいして惹かれるタイプではないしいい男でもないのになと思う。

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年、神奈川県生まれ。玉川大学文学部英米文学科卒業。ファッション、グルメ、映画、車などの最新情報を盛り込んだエッセイや小説で注目される。2014年に刊行した『産む、産まない、産めない』は、妊娠と出産をテーマにした短編小説集として大きな話題を集めた。ほかの著書に、『みちたりた痛み』『肉体派』『中年前夜』『マラソン・ウーマン』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』『鎌倉の家』などがある。また、読書会「ヨモウカフェ」を主催している。

「2019年 『産まなくても、産めなくても』 で使われていた紹介文から引用しています。」

甘糟りり子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×