- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309022345
作品紹介・あらすじ
崩れゆくものこそ、美しく愛おしい――。窓を叩く激しい雨、哀切なピアノのメロディ、そしてかすかな恋の予感。それは破滅への序曲なのか? ピアノ調律師と自動車整備工の平穏な恋は、一人の男の出現によって、思わぬ局面を迎える。甘やかで残酷な、二つの愛のはざまに揺れる、女・三十歳の選択。極上の恋愛小説!
<本文抜粋>
〈苦味は感覚の必需品である。苦味とか哀しみとか痛みとか、それらは生きていく上で欠かせないものなのだ〉
〈幸福なんてものの概念をいちいち探ったりしない。それが、最も健全な状態なのかもしれない〉
〈「好き」の分量が多いほうが、いつだってみっともない行動をする。みっともない分だけ相手はしらけていく〉
〈あの人は今、何をしているのだろう。答えを知ったところで、それは薬にもなるし毒にもなる〉
〈単なる偶然を、つい運命などという大げさな言葉に置きかえてしまう。これだから恋愛は嫌だ。一番嫌いな女に自分自身がなってしまう〉
〈別れるとは、どんな状態を指すのだろう。逢わない、連絡をとらない、相手の温もりをあてにしない。胸がどんより重くなった〉
感想・レビュー・書評
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こんなエンディングで終わるのか〜。
最後の最後は、ミステリーの要素さえ、感じられる。子供は親の呪縛から逃れられないの?それでも、こんなエンディングか〜 -
主人公 彩音はピアノの調律師 彩音が運転していた車のトラブルがきっかけで自動車整備工場の大樹と知り合い恋人関係になります。
一見二人は上手くやっている様に見えるけれど大樹と母親の関係にとまどう彩音。
そして彩音は中年男性 渡辺に惹かれ関係を持つようになります。
終始文章の中に流れる虚無感、倦怠感などが結構心地よく読みやすい作品ですが結末のオチは良くあるパターンです。
最後の最後に二人が出した結論は私には納得出来る形ではなかったし、あの結論で二人が今後幸せになれるのか疑問が残りました。 -
幸せをつかみたい。
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うーーーーーん。なんとも切ないというか、やるせないというか、登場人物が誰一人として幸せな結末を迎えていないところに非常に後味の悪さを感じるお話でした。
途中からなんとなく展開が読めますが、そこでまさかのラスト。大樹はあれか。心神喪失した女が性癖なのか? -
気になる人ができてしまったら、それはもうどうしようもできないのだろうな。一緒に住んでいる男がいたとしても。
そこで突っ走るか、立ち止まることができるのか、先のことを考えられるかどうか、自分に正直に生きるほうを選ぶかどうかの違いだろうか。
こんなになっても元に戻る? ありえないわ。 -
話の途中から父親だろうなとは思っていたけど刺されたのは予想外だったしそのまま結婚したのも予想外。大樹も父親もたいして惹かれるタイプではないしいい男でもないのになと思う。