- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309022499
感想・レビュー・書評
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序文から驚かされた。
著者は、かの犬養毅首相の孫娘である道子さんとその弟さんに原書を日本語で読み聞かせしていたのだ!(昨年犬養道子さんの著書を数冊拝読したが本当にインディペンデントウーマンで芯の強い方だった…!密かに憧れていたからこれにはなおビックリ)
しかもそれが著者と『プーさん』との初対面だったとは…!著者やまだ幼かった道子さんにとって、それは夢のような原体験だったんだ。
前回読んだ『プーさん』の翻訳秘話を知りたくて、日本に初めて『プーさん』を紹介した石井桃子氏のエッセイ集を入手。石井氏はあの『ピーター・ラビット』や『ミッフィー』シリーズも手がけられており、まさに児童文学翻訳の立役者と言える。
原体験が読み聞かせだっただけに、彼女のエッセイは聞き(読み)心地が良かった!
わが国で『プーさん』が刊行されたのは1940年のこと。
開戦へとまっしぐらになる中であの心温まる原体験、「『プーさん』との思い出を必死に守ろうとする気持ちがまとわりついていた」という一文が、並々ならぬ覚悟を思わせた。
『ピーター・ラビット』の原作者ビアトリクス・ポターの足跡を辿る旅も石井氏なりの視点が垣間見れて面白い。
自身ピーターの大ファンで企画展にも足を運んでいたが、原作者についてはあまり気に留めずにいた。でもあれだけ愛らしくて自然に寄り添ったイラストや話を生み出せたのは、当時の閉鎖的な社会・家庭環境の中で自己表現の場を求めていたからだという。石井氏の見解は、現代を生きる自分にも見事に突き刺さった。
何ならその伸び伸びとした感性は石井氏自身も持ち合わせていて、そのまま翻訳された文面に顕れている気がしてならない。
彼女は翻訳業の他にも、自宅の一室を子供の図書室として開放する。
その一環か、児童本の出版状況・児童文学の現状・児童図書館の活動を視察すべく欧米を巡っていた。
時期的には恐らく1950年代と、まだ日本が色々と持ち直していない時期。「図書館のない国々へはいることは、暗い部屋へはいっていくようだ」という言葉を受けて石井氏も、「この暗くて寒い部屋をあかるくしなければ」と意欲を燃やされている。
「あなた自身、語りかけるものをもっている時、子どもは耳をかたむけるものです」
児童本は子供達を養い伸ばすものでなくてはならないが、むやみに学習や成績に結びつけたがる選書は大人のエゴであるという(視察を経た)著者の持論がまたもや突き刺さる。
想像力を掻き立て、生命力を漲らせ、人生に根を下ろす本。それこそが暗い部屋を照らす灯明になる。
「子どもは、けっきょく、いいものは、わかるんです」 -
河出からこのシリーズが出ているのを知らなかった。軽装版ではあるがきれいな本。本文に色があるのはノンちゃん雲にのるをふまえてなのかな。読めてよかった!!子どもの本に育ててもらった私としては宝物に出会った気持ち。また偉大な先人に感謝しよう。石井桃子氏のエッセイを読んだのも初めてだが知識としてしか知らなかった子どもの本の担い手たち、アン・キャロル。ムーアとかイェラ・リップマンとかリリアン・スミスとか、ビッグネームばかり!!この人たちと石井さんがどんなふうにかかわってどんなふうに会話をしたかの一端を知ることができてうれしい。生きた姿で想像できる。ピーターラビットの翻訳にとても苦心されたとは、奥が深い。
私にとってくまのプーさんとドリトル先生は子どもの頃から今にいたるまで「2大読めない子どもの本」なのだが、なぜだろう。70歳くらいまでにもういちどトライしてみようと思う。 -
子どもの頃、図書館っ子だった私は、本を借りるとき、いつも真剣に、時間をかけて選んだ。何せ借りられる冊数は決まっているし、早く次の本も読みたい。まずタイトルは大切。おもしろそうな本は、どこかそういう匂いがする。そして、おもしろい本は同じ人が書いていることが多いことに気づいた。そのうちの一人が石井桃子さんだった。こんなに沢山の本に関わっておられたのかと改めて驚く。昔の自分から感謝を込めて星5つ。
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児童文学を追う一冊。彼女が照らしてくれた道の尊さ。本を愛せる今がある。感謝。
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前半は石井さんの訳したプーやピーターラビット、その他ご自身が名作と思われている児童文学に関するエッセイ、後半は留学中の、主にアメリカの児童図書館に関する話。一番興味深かったのは、アメリカの児童文学における図書館や図書館員、出版社の関わりを何度も繰り返して語られているところ。それ以上に彼らの働きぶりや人柄の描写が温かくユーモアがあって、これらの随筆が書かれたのは、今から5,60年も前だけれど、今でも楽しく読めるお話ばかりだった。ドリトル先生や、読んだことのないファージョン、ジェイコブズの民話など、無性に読みたくなってくる...
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石井桃子さんの、児童文学と児童図書館の話をあつめたエッセイ集。
プー、ピーターラビット、ドリトル先生、ピーターパン、マーティン・ピピン。
英米やドイツの図書館や出版界の話。
はぁもう幸せだわー。
当時の事情が興味深いとか文章が好きとか視点が素敵とかいろいろ魅力はあるけれど、とにかくこの本を読むことが幸せ。
プーの作者、ミルンについて「私はミルンをもっとよく知り、彼の生きているうちに、「ありがとう」と言うべきではなかったか。」と書かれていた。
私は桃子さんにそう思ってる。
戦後まだ10年くらいのころの外遊の話がたくさんでてくるので期待していたら、ついに!
ドイツの国際児童図書館の話がでてきたものだから嬉しくてたまらない。
イェラ・レップマンの『子どもの本は世界の架け橋』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4772190376の時のだ!
このシリーズは装丁がおだやかで昔風でかわいい。
今回はプーっぽくおはなにハチがまざってる。 -
うつくしい日本語で
うつくしい思い出が
つづられていく
石井さんが
生きてこられた時代は
戦争があった時代でもある
そんな時でも
志をしっかり持って
きちんと生きてこられた
人たちがいたことが
静かに 確かに
伝わってくる
「ドリトル先生」を訳された
井伏さんのエピソードが
とても興味深く
とてもほほえましく
おもいました -
石井桃子さんは、恥ずかしながら存じ上げておらず、図書館の新書コーナーでちらりとみた「プーと私」という言葉に惹かれ、読みました。
大変面白く、実に勉強になった。
とくにドリトル先生に関する話はとても惹かれた。
子どもができたら、必ず図書館に連れていきたいと、かねがね思っていたので、勉強になった。
日本の図書館も、さあ、昔がどうだったのかはしらないが、もっと飛躍するべきである。子どもたちのために存在するべきである、と思った。 -
最初、くまのプーさん関連の本かと思ったら、そうではなかった。
著者の翻訳にまつわる話、アメリカの図書館(特に児童図書館)の話、児童文学に関わる話。
どれも深い内容で勉強になった。
特に印象深かったのは、アメリカの公共図書館が進んでいること。
そして、専門の職員が、すばらしい働きをしていること。
そして、優れた児童書が出版されている(らしい)こと。
日本もがんばってほしい。
次は尾崎真理子「ひみつの王国」(新潮文庫)ですよ!
色々な人が現れてクラクラするコト間違いなし!!
次は尾崎真理子「ひみつの王国」(新潮文庫)ですよ!
色々な人が現れてクラクラするコト間違いなし!!
コメント有難うございます。
クラクラ…!ですか!石井桃子さんの評伝ということもあって気になり...
コメント有難うございます。
クラクラ…!ですか!石井桃子さんの評伝ということもあって気になりますねo(^-^)o 折を見て読んでみます♬ 本のご紹介をしていただきとても嬉しいです^ ^
にゃ!
にゃ!