- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309023434
作品紹介・あらすじ
「とにかく、これをつくったとき、僕は、なにかあからさまなものをつくりたかった」(あとがきより)「わたしたちは無傷な別人である」民主党への政権交代が起こった2009年の衆議院選挙の投票日前日を舞台にした「現在地」不吉な雲と「村」が破壊するという噂――「東日本大震災以降」に物語の力で抗した「地面と床」そう遠くない未来の日本を舞台にした死者と生者の物語
感想・レビュー・書評
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文学
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常にチェックはしているがまだ演劇を観たことがない。観たい。観たいなぁ。読んでいる限りでは常に現在の不安。実験的。
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50頁ほどの戯曲が3つ収録されている。
戯曲を読み慣れていない上、舞台というのはほとんど見たことが無いので、実際の舞台ではどのように演じられるのかあまり正確にトレースはできていないのだろうけども、短いながらなかなか興味深い作品集だと感じた。やはり普通の小説とは文脈が全く異なっていて、舞台特有の演出などの指示が記されているので、特にそこが面白かった。
例えば表題作である「現在地」では、演者もまた演技が終わったら(自分の出番ではないときには)観客側の人間になるという指示があって、これはつまり、他の一般の観客たちにも、あなたも今そこに座っているけれども、本当は舞台を形作るひとりなのですよ、という印象を与えようとしている…んだろうか。
後半2作は(本人があとがきで記すように)かなり明確に大震災のことを意識して書かれている。この戯曲群は50頁程度で1時間半〜2時間の上演時間で、読んでいるペースとは違ってかなりゆっくりしているので実際の舞台で見に行った場合(リアルタイムでそれを見た場合)、震災について強く何かを感じるように書かれていると感じた。