ひょうすべの国――植民人喰い条約

著者 :
  • 河出書房新社
3.21
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309025209

感想・レビュー・書評

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  • 2021/1/17購入

  • またかよ。二度も書いたものがエラーで消されたよ!ホント使えねえなブクログ。

  • 文学

  • 不規則な連作短編集。一応主人公は埴輪詩歌(本名:埴輪あゆむ)という女性だけれど、本作は「だいにっほん」三部作の前日譚にあたり、彼女は同シリーズの埴輪いぶきの母という設定らしい。実は「だいにっほん」のシリーズを1冊も読んでいないので、ところどころわからない用語や設定(おもに火星人関係)があったけれど、わからずともそれなりに読めました。

    全体的には相変わらずの笙野頼子的ディストピア、『水晶内制度』に詳細な、女性だけの国ウラミズモも登場。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)反対という政治的なメッセージ部分は、きっと気にしたほうがよいのだろうけど私が読みたいのはあくまで「笙野頼子の小説」なので、物語の部分をできるだけ意識して読んだ。一部の金持ち政治家にとってだけ都合の良い法案が通っちゃうと日本は滅びますよーこんな風に、という来てほしくない未来予想図。

    「ひょうすべ」の正式名(?)は「NPOひょうげんがすべて」表現の自由を逆手に取り、一部の人間にとってだけ都合の良い表現を自由に(そう例えばロリエロなど)する組織だ。その他「知と感性の野党労働者党」略して「知感野労(ちかんやろう)」など、お馴染みの笙野的表現、「野党リベラルフェミニズム、手をつなごう男とだけ」を略すと「ヤリテ」婆となるのなどこじつけすぎてもつい笑ってしまう。

    単純に独立した短編として読んでも面白かったのは、年代順だと最初に書かれた「ひょうすべの菓子」。小学生の詩歌が、ネットの友達とオフ会で怪談を語り合うかたちで「ひょうすべ」の恐ろしさ理不尽さが描かれている。これくらい抽象化してあると物語として読み易い。

    ※収録
    こんにちは、これが、ひょうすべ、です/ひょうすべの約束/おばあちゃんのシラバス/人喰いの国/埴輪家の遺産/ひょうすべの菓子/ひょうすべの嫁/姫と戦争と「庭の雀」

  • 170208図

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著者プロフィール

笙野頼子(しょうの よりこ)
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。
81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。
著書に『ひょうすべの国―植民人喰い条約』『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』『ウラミズモ奴隷選挙』『会いに行って 静流藤娘紀行』『猫沼』『笙野頼子発禁小説集』『女肉男食 ジェンダーの怖い話』など多数。11年から16年まで立教大学大学院特任教授。

「2024年 『解禁随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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