趣味で腹いっぱい

  • 河出書房新社
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309027784

感想・レビュー・書評

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  • 銀行員の小太郎と結婚し、専業主婦の鞠子。
    地方に転勤になったのを機にいろんな趣味に手を出す。
    絵手紙から始まり、家庭菜園、俳句・・・
    愛妻家の小太郎も巻き込んで、だんだんと趣味の方がメインになっていく。
    今どきはいるのかな~昔だったら絶対考えられないかも。
    妻の趣味に合わせて別の土地に引っ越すなんて。
    諍いもなくほんわかした内容だったから良しです。

  • この夫婦、一般的でないように感じる。
    で、どうしてそう思うのか考えてみると、二人の価値観が違うのに、そんな考え方もあるのかぁと相手の考えをすんなり受け入れるところだと思う。
    相手のいいなりになるのではなく、反発するのでもなく。なので、趣味がどんどん進んでいくけれど、始終おだやかなまま。
    かっこよく自立するのもいいが、美しく他立するのもいいかもしれない。

  • すごく心地良い作品でした。
    心に響く言葉がたくさんあります。

    私はまさに、常々自分の中に小太郎と鞠子が住んでいて働くことへの義務感と働かなくてもよい権利がせめぎ合っております。
    働くことで得られる達成感や責任感も好きだし、自己満足だけの趣味も好き。

    両方のいいとこ取りでバランスを保ちながら生きていくっていうの、いいな〜
    豊かやな〜

  • きちんと対話しあいながら生活を営む夫婦のゆるふわでほんのりとした世界観の小説、としても読めるけど、ストーリー仕立てでありながら(←小説だから当たり前だけど)、実のところ有用性について(ジェンダーも絡ませながら)読者に問うような、実験的な小説だと感じた。

    とはいえ説教臭さは全くなく。
    その上心穏やか〜な読後感も味わえるのに、気づいたら自分の先入観を見事に揺るがされている、というちょっと不思議な読書体験。
    ナオコーラ氏の本は『ベランダ園芸で考えたこと』と『反人生』を読んだことがあり、どちらも印象的な読書体験だったが、今回もそうだった。
    そしてそれらと共通して偏在していると私が感じたのは、”役に立つ” ということへの問い。
    それは、”ただ生きていていい”みたいなメッセージだとも感じた。
    仕事をしなくても、子どもを産まなくても、役に立たなくても、生きてていいじゃん。と。

    仕事をせず、趣味に生きる鞠子に
    読者から「共感できない」「甘えてる」「イライラする」といった感想が生まれるのは「働かざる者食うべからず」という共通認識がある社会ではまあ、当然のことなのかもしれない。
    ただ、そこで終わらせないで、「なんで鞠子にイラつくんだろう」とふと考え始めたとき、ナオコーラ氏が問いかけている”何か”に対する思考が始まる気がする。

  • 社会の流れを全く知らない訳でもないんだろうけど、鞠子の発言が傲慢に感じてしまい3度くらい本を投げてしまった笑

    なんでこんなイライラしてるんだろうと考えたら、働かないことに甘えという自覚がありつつも自分の趣味のためなら何をしてもいいという人間としてそこは保っててほしいな、、、というの理性の部分が吹っ飛んでるからなのかな、、?私のエゴなんだけど。

    あえてこういうキャラクター設定にしたのかな?
    殺伐とした世の中でこういう考え方もありっちゃありなんだろうけど相手あっての生活。
    鞠子は友達にはなれないな〜

  • はじめてのナオコーラさん。
    『本が語ること、語らせること』で知って手に取りました。
    仕事と趣味か主題ですけれど、違う価値観の二人が暮らしていく様から、
    価値観を押し付けたり理解できないと拒否したりせずに、人それぞれだと尊重することの大切さを改めて感じさせてくれるお話でした。

  • これを読んで議論するための本ではないんだろうな
    あくまで小説というスタンス。

    小説にしたらふわふわゆるゆる展開で面白みがないし、
    社会風刺的に読むにも。なんか気にしすぎ感が。

    子供持つ持たない、専業主婦働く主婦とかいちいち考えてないし私からすると
    書くこと自体が意識しているということで、隔たりを生むことになるなぁと。

    どっちも正解。ミンナ正しいとか、いちいち言う必要ないんじゃないかな。と常日頃から感じます。

    いちいち語るまでもない、好きに生きなはれ。
    誰の人生だよ。と思うことが最近多いです。

  • 山崎ナオコーラ、最高!!!!

  • 趣味というと、「無心になってハマれるもの」だと思うのだけれど、わたし(特に大人になってからのわたし)には、趣味がなくて、なんだかさみしい気がしていた。


    趣味という単語にそんな思いがありつつ、ナオコーラさんの本だということで読み始めたのだけれど、すごいタイミングで出会ったな!とびっくりした。半日で、一気に読んだ。

    ここ最近、自分がどんなふうに働きたいかについて考えることが多かったので。

    趣味と反対側にある、仕事について、大切なメッセージを与えてくれる本だと思った。

  • 銀行員としてお金を稼いでいる夫・小太郎と、趣味を積極的に作り仕事はアルバイト(最初のうちだけ)の妻の鞠子、のお話。
    後に小太郎は小説を書くことでお金を稼ぐようになるけれど、父親からの教え「働くざるもの食うべからず」が中々抜けない。私は小太郎の気持ちと鞠子の気持ち半々でわかる。趣味のためにカメラを買ってと言える鞠子を図々しいと感じつつも羨ましいと思ったりもする。
    でも、仕事をしてお金を稼いで趣味も楽しむことを知っている。たくさん稼げる仕事じゃないし時々辞めてぇな!とか叫ぶし、趣味はにわかで移り気多めで熱心ではないけれど。鞠子も「趣味は自己満足」と言ってたし。そんなスタンスの私が読んでもイライラせず、たっぷりある休日の雰囲気にぴったりな一冊だったと思える本でした。お互いの気持ちを尊重して一緒に生きていられるのはいいね。あ、ナオコーラさんやっと初読み!

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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