だいちょうことばめぐり

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 224
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309028736

感想・レビュー・書評

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  • 情報学研究者|ドミニク・チェンさんの選書 3〜5(2021年7月21日)|BIGLOBEニュース
    https://news.biglobe.ne.jp/trend/0721/stk_210721_3607607013.html

    【第132回】間室道子の本棚 『だいちょうことばめぐり』朝吹真理子・著 花代・写真/河出書房新社 | 特集・記事 | 代官山T-SITE | 蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設
    https://store.tsite.jp/daikanyama/blog/humanities/18946-1739110303.html

    作家・いしいしんじが魅了された、朝吹真理子のエッセイ。|特集|Culture|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン)
    https://madamefigaro.jp/culture/feature/210423-livre-01.html

    だいちょうことばめぐり :朝吹 真理子,花代 | 河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/sp/isbn/9784309028736/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      文章と写真の美しさが呼応する随筆集。朝吹真理子さんの『だいちょうことばめぐり』家庭画報.com|“素敵な人”のディレクトリ
      https://...
      文章と写真の美しさが呼応する随筆集。朝吹真理子さんの『だいちょうことばめぐり』家庭画報.com|“素敵な人”のディレクトリ
      https://www.kateigaho.com/migaku/104407/
      2021/07/22
  • 育ちの良さ、家柄の良さがものすごく出ているんだけど時にチャーミングなのがいい。雲母を舐めすぎて、舌が二股になっているというエピソードにびっくりしながらも好きと思った。

  • 言葉のひとつひとつが品があり、しかし時々お茶目で読んでいて静謐な想いを巡らす。個人的に歌舞伎などまったく興味はないが、読んでいてぼんやりと想像する。演目とかわからないし、触れてないし、彼女と生きてる世界が違うと思うけど共有できる。

  • 作者のもう一作のエッセイ「抽斗のなかの海」と、合わせて図書館で借りた。

    どれだけ徳を積めば生まれ育ちの丁寧な暮らしができるのだろう、というのが第一印象。
    幼少から歌舞伎座に通い、大学生で着物を卸し、詩人と歌を詠み、三島で蛍を見て鰻の白焼きを食べる。
    少なくとも自分の周りには、こんな文化的な生活をしてきた人はいなかった。笑
    自分にないエピソードばかりだから、面白い。
    そして、学生時代のルーズソックスの話や、カラオケで頼んだカサカサのたこ焼きのエピソードが、逆に珍しいことのように見えてしまう。

    子供の頃のことを本当に細かなところまでよく覚えているなと、上手なエッセイを読んでいていつも思う。
    子供時代の五感の記憶をここまで文章で表現できるのは、やはり作家の才能なんだろう。そして、タバコの煙、点心の湯気、時間。"たゆたう"ものを見逃さない作者の目を通してみる世界は、自分の見てる世界とはどれほど別物なのだろうと思う。

    本書の中では著者の夫や、家族友人、子供の頃の家政婦さん、様々な人が現れる。僕は、著者の母にまつわるエッセイが好きだ。「ジムノペディ」「蛍」が特に印象に残った。

  • 読み始めて2つ目の『紙の雪』で、銀座のおでん屋で『白木のカウンターのむこうで板前さんが数人、うつむき気味にじっと立っていて、そのぼう立ちがライブ中のクラフトワークみたいだと思う』でぐっと心を掴まれた。
    歌舞伎にも造詣が深くて、特に石川五右衛門に関するものは興味が湧いた。(『天津甘栗とIxicavagoyemon(上・下)』)
    お手伝いさんとの記憶や、結婚祝いにと渡されたものことなどを書いた『川波さん』。記憶を呼び起こして書くっていいなと改めて思った。
    食べ物や食事を絵使うエピソードも多く、その描写もいい。『Cream Tea』に出てきた名前『紗季子さん』にピンと来るものがあり、答え合わせをしたところ、やっぱりフードエッセイストの平野紗季子さんだった。

  • 読了 20211124

  • 1984年生まれの作者の「思い出話」なのだが歌舞伎の外題に引っ掛けて様々に広がりとても面白かった。

    東京の山の手のお嬢様奥様の暮らしがほの見えて田舎者は驚いたり感心したりであった。

  • 『和歌のなかの春は、めじろやうぐいすが春を告げたり、梅の香りがただよったり、雪が解けて水かさがましたりしてとてもきれいだ。それでも、実際に生きて感じる春は、ざわざわとしていて、少し居心地が悪い。芽吹いたり、光が強くなったり、花が咲いたりしてせわしない。花粉症もちにとっては目や肌のかゆい季節でもある。春は体の外も内騒々しくてむずがゆくて落ち着かない』―『水温む』

    共感できる訳でもないのに、つい並べられた言葉の調子に惹かれて手を出してしまう。自分にとってそんな文章を紡ぎ出すのが朝吹真理子。極端に硬質な言葉を並べた文章からなる小説に対しては、芥川賞の選考において川上弘美が記した「読む快楽を十分に感じながら読みつつ、わたしはいくつかの表現に首をかしげました」という評が自分自身の気持ちを代弁してくれているとの印象を持ちつつ、そもそもこの作家は何かを標準的な世界の理屈で考察していないのだと考えれば、その既存の価値観に係留しない連想を甘美な思考の麻痺を誘う媚薬として飲み込むこともできる。そもそも起承転結を敢えてはぐらかした言葉の連なりによる曖昧さは、咀嚼されることを拒むことを宣言している。朝吹真理子の連想は、妄想のはるか先をゆく世界の理屈に繋がっているのだと思う。そしてその同時異相的な朝吹真理子の世界は本書でもやんわりとした語り口ではあるものの同様に開陳されている。

    高名な親族に連なるこの芥川賞作家は、例えて言えば一条ゆかりの「有閑倶楽部」のお嬢様、剣菱悠理、を想起してしまうような生まれ育ち。この『ほんとうに、つらつらと、頭にめぐってきたなんてことないことばかり書いた』というエッセイ風の連載でもその稀有な家庭環境の在り様や交友関係の広さが垣間見え、ともすれば鼻持ちならない印象を生みかねないところだが、言ってしまえば少し極端な感受性の持ち主である作家の記す言葉に実のところあざとさはないと受け止める。ただ、小説ほどに硬質ではないものの、まっすぐに記された言葉の響きはやはり硬く、加えて連載の要件である歌舞伎の演目への連想が容易に繋がらなかったり、作家にとっての当たり前が当たり前でなかったりして、読むものを選んだ文章と感じなくもない。それでも、作家が、非言語的な内なる感情を何とか言葉に置き換えようとして文章を紡ぎ出している様子がうかがえ、実は至極素直な人なのかとの印象を抱く。もっとも、もし同級生に居たなら遠くから眺めているだけで充分で仲良くなりたいとは思わないかも知れないけれど。

  • 一つ一つのエピソードに品があった。
    着物のエピソードが素敵で私も着物が着たくなった。

  • 2021 4/26

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著者プロフィール

1984年、東京生れ。2009年、「流跡」でデビュー。2010年、同作でドゥマゴ文学賞を最年少受賞。2011年、「きことわ」で芥川賞を受賞。

「2022年 『細野晴臣 夢十夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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