あなたがはいというから

著者 :
  • 河出書房新社
3.24
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本棚登録 : 116
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309029399

感想・レビュー・書評

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  • 大学時代に恋人だった瞳子と亮が、37年ぶりに再会し、お互いに今も変わらぬ思いに気づく。

    だが、小説家になった亮と医者の妻としての瞳子は、それぞれ家庭に問題を抱えていて…。

    瞳子の[急いでいるつもりでもたやすく若者に追い越されて、自分の一歩が前よりずっと狭くなっているのだとわかり、せつなくなった。
    ずいぶん遠くへ来たつもりでいたのに、ちっとも前へ進んでいない気がした。]
    この気持ちが還暦だと改めて感じているようで切なくなった。

    単純な大人の恋愛というより瞳子にとっては、医学を目指すことができずに文学を愛し、そして亮を愛したことを否定できずにもがいているようにも思えた。

    医者は、人の命を救うけど小説では救えないと思っている。それでも一冊の本を手にして、ちゃんと笑えて、ちゃんと涙が出るって確認したい…それは生きていることを確かめたいから。

    ラストで亮は小説家であったと解らせてくれた。

  • 題名に惹かれて借りた本!
    思いがけない物語に最後は涙なしでは
    読むことができなかった、、、。

    本好きな私にとっては瞳子の言っている
    ことが分かるような気がする。
    物語の終わりはきれいだけど、
    現実の世界はそうもいかない。
    きれいな世界がみたくて本を読む。

    1番大事なのは『こころ』

    昔の恋を懐かしむのは今に満足して
    いないから、、、。
    でも昔のことはきれいで、、、。

    色々と奥が深い内容の本だった♡

  • 数年前に参加した同窓会。
    長い年月が経ってもひとたび話し始めると当時好きだった音楽や本、ドラマの話で盛り上がりあの頃の自分の感情が蘇る。
    そこに元カレがいたりすれば尚の事。

    本作は37年ぶりに同窓会で再会した瞳子と亮が主人公。
    かつて恋人同士だった二人、今も変わらぬ互いへの思い。これは大人の胸キュン物かと期待して読み進めると、とんでもない修羅場の連続に胸キュンは吹き飛ぶ。

    人は嘘を付く。
    誰かを守る為に付く嘘もあれば、自分のエゴで誰かを傷つけ追い詰める嘘も。

    様々な嘘と文学を織り込んだ大人の恋愛小説。切なさが残る読後。

  • そうよ。
    還暦からでも遅くないのよ
    人生は!

  • 還暦とはいえ、学生時代の仲間との会話が多く、あまり年齢を感じなかった。
    文系感たっぷり。
    若い頃の恋愛は色褪せないのかなー
    お互いに不本意な結婚をらしてるから、綺麗な思い出が動き出すのか。

  • 伏線が、うまくはりめぐらされていた。
    還暦の恋なのだから、あえてピュアな感じでいて欲しかったなと思う。
    主人公を守るために書いた小説…彼女ははいといってくれるだろうか。
    恋はふたりだけが、理解しあえれば、それだけでいい。
    それ以上のねがいなどあるものか。

  • 四月は少しつめたくて、と くらべると、
    ちょっと冗長でモノガタリっぽさが強いように感じた。
    文系が抱く医学や科学への劣等感めいたものはよく表現されていたと思うけど、脇役の中で、光る人がいなかったかも。

  • かつて魂でむすびついていた恋人たち。
    些細なことが彼らを引き離し、40年が経った。
    再会しお互いの目の中を覗き込んだ瞬間、時を超え、あのころの気持ちのままにいることに気が付いてしまったふたり。
    しかし、もうあの頃の自由な学生同士ではないのだ。

    ベタだけど切ない。
    シニアの恋は病や死にいつ引き裂かれるかわからないのよね。

  • 私立病院長の娘として何不自由なく育った瞳子と、脱サラして作家になった亮。大学時代に恋人同士だった2人が還暦を迎える頃に再会し……というお話。W不倫のめくるめく愛憎劇が展開されるのかと思いきや、物語は静かに、だが意外な方向に進む。単純な恋愛話に見せかけて、実はもっと深いことを語っている……気がする。誰もが主人公なのだから。自分の人生においては。

  • 37年ぶりに出会った大学同級生で元恋人同士の瞳子と亮。全く別々の人生を歩んできた二人だったが、今でも互いを好きである気持ちに気づく。しかし再び友人となるにはそれぞれの家庭が抱える傷が大きすぎた。作家の亮が書く現実のような小説、病院長婦人の瞳子が悩む小説のような現実。現実と小説の違いは何か。「小説が何のためにあるのか。それは人が自分以外の誰かになるためなのよ。」「手に負えない現実におじけづいている瞳子に、それを物語として解釈することで、現実に立ち向かえと教えてくれる。」 瞳子と亮、生まれ変わって再び巡り合ったら迷いなく一緒になって幸せになりますよう。

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著者プロフィール

1960年、神戸市生まれ。2012年『おしかくさま』で第49回文藝賞を受賞。他の著書に、小説『断貧サロン』『四月は少しつめたくて』、エッセイ『競馬の国のアリス』『お洋服はうれしい』などがある。

「2016年 『世界一ありふれた答え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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