教育

著者 :
  • 河出書房新社
2.93
  • (25)
  • (64)
  • (118)
  • (63)
  • (36)
本棚登録 : 1955
感想 : 147
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309030142

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 伸るか反るか、野球でいうと、バッドを長く持ってフルスイングするような内容で、予定調和のほっこりストーリーにあまり興味がない自分としては、最後まで面白く読めた。
    テイストとしては村上春樹が大好きな中学生が書いたようなものであるが、随所に盛り込まれた意味不明なエピソードもちゃんと面白く、なんだかよくわからないが、次回作もよんでみようかという気分になっている。
    これまたよくわからないが、もし映画化するなら、今は亡きスタンリーキューブリックあたりに撮って欲しい。

  • 一日三回以上オーガズムに達すると成績が上がりやすいとされている学校が舞台。

    ・・・なるほど。(いや、なんじゃそりゃ)

    現代の学校批判?教育へのアンチテーゼ?かな。
    これで成績上がりやすくなるんだよと言われたら疑問ももたずにやるのか?与えられたことに素直に従う子が本当に“優秀ないい子”なのか?と問われている気がした。

    「ねえ、先生の言うことに従っていれば大丈夫とは限らないよ。ちょっとは自分で考えないと、勇人が壊れちゃう」

    自分の頭で考えなきゃ壊れていく。それは私自身も毎日すごく感じていることで。
    与えられたものを淡々とこなしていくのって危険だと思う。
    主人公がだんだんとズレていく様も、あ〜壊れ始めちゃったよ・・・と。
    真夏が忠告してくれていたのに。

    主人公、フェミニスト感を出しているように見えて、いや全然フェミニストじゃないぞと思い直す。
    というか、女性蔑視とかジェンダーを思わせる描写が多い。それもさらにこの学校への嫌悪感を増幅させる。
    真夏が書いた脚本の劇は特に・・・忙しく立ち働く女とただテレビを見る男。
    この劇の台本も結局先生が書き換えさせたというから、おそらくここにも教育へのアンチがあるのかな。

    ※ところどころで挿入されている話(お化け屋敷とか遊園地とかでのエピソード)が不気味で怖い。。。遠野さんホラーとかも上手そうだなぁ。。


    「成績を上げることだけに集中してきた私は、それ以外の生活を考えたことがなかった。万が一ここにいられなくなったら、そのときはどうすればいいのだろう」

  • 平成生まれの俊英・遠野遥、かく語りき | GQ JAPAN(2022年6月17日)
    https://www.gqjapan.jp/culture/article/20220617-haruka-tono-intv

    【作家・遠野遥インタビュー】学校からポルノビデオが支給される⁉ 新作『教育』で見せた新たな一面 | Pen Online(2022.01.25)
    https://www.pen-online.jp/amphtml/article/009761.html

    芥川賞受賞後第一作、遠野遥さん「教育」インタビュー 伝えたいこと、あってもなくても|好書好日(2022.01.15)
    https://book.asahi.com/article/14520858

    教育 :遠野 遥 | 河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/sp/isbn/9784309030142/

  • 教育の本質を考えさせる作品でした。
    抑圧された学校で、1日3回オーガズムに達したら
    成績が上がるという教育のもと進級を目指す男の
    話です。倫理観を度返視した設定で面白かったです。

  • ❇︎
    芥川賞受賞第一作
    帯を見て手に取りました。

    設定もルールも内容も規格外。

    好みが分かれる小説と言いたいところだけど、
    どこが好きかと問われると正直答えられない。

    結末に期待して楽しみに読み進めたら、
    無事読み終えれたという結果が残った。

    暗闇の中、彷徨い歩いたけれど
    何も見つけられなかった疲労感。

    何度読み返せばメッセージに気づけるか自問
    するけれど、きっとその深淵には到底想像は
    及ばないと遣る瀬無さが残る。


  • 図書館本

    装丁が気になって。
    芥川賞作家さんでした。父親が、BUCK-TICKのボーカル櫻井さん。

    内容などリサーチせずいきなり読んで驚きました。一日三回以上オーガズムに達すると成績が上がりやすいとされている学校。
    なんという設定か!
    雰囲気が村田沙耶香さんに似ているけど、それより青い、成熟してない感じ。
    倫理観の違う現代で、スマートに過ごす主人公の話。大きな結論もなく、大きな納得もない。
    ただ、さらりと読みやすい文体と、さらりとした内容が、ねっとりとした設定のなかで展開していく。
    すっかりしないまま読了。

  • 今まで読んだ本の中で一番嫌な気持ちになった本。
    物語としては、一風変わった学園の中で1日3回のオーガズムに達することを推奨された生活。全てが管理されており、先生、成績が全ての世界。
    与えられたものに対して何の違和感も覚えず、のめり込む主人公のからっぽな感じが不気味。
    そしてこの生活に違和感をもった者が崩れていくという主人公との対比が悲しい。
    手の届く距離に失ってはいけない大切なものがあったはずなのに自分がなくなることでこんなにも切なくなってしまうのかと思った。

  • 教育=洗脳。自分で考えることを放棄して、命じられていることを淡々と行っていく。疑問を持つと苦しくなり落ちこぼれていく。この世界のわけのわからない設定が面白かった。

  • 経験をせずに30歳を超えると魔法使いになるって漫画を読んだことがあるけどその逆パターンをめちゃくちゃシリアスに描いたディストピア小説!

    クセ!クセ!クセ!全てにクセがありすぎて白目剥きながら読んでた!何がなんだかよくわかってないけど一気読めてしまったのはなんか白目剥くくらいの面白さを感じたからなんやろうな〜

    テストを受けるシーンになった時、そういうパターンのやつ?!なんかってびっくりこいてそっから白目剥いた!

  • 学園もののディストピア小説。一日に三度オーガズムに達すると成績が上がる、と洗脳をかけられ学校全体で性交渉が推奨されているどこかのとんでもない学校が舞台。漫画のレトルトパウチ!を思い出した。
    しかもその「成績」というのも、謎の個室で繰り広げられる感覚を研ぎ澄まして"視えないものを視る"ための集中力を鍛えるような摩訶不思議なテストのことで、ドライオーガズムに通ずるものがあるのかな。
    題材が題材なので性描写は多いけれど、いずれのシーンでもそこに情愛などは感じられず、そこにあるのは嬉戯の延長あるいは義務めいた淡々としたセックス。私がここの学生だとしたらどうなってたかな、とつい考えずにはいられない。翻訳部の小宮さんとまでは言わずとも、きっと真夏よりは適合できちゃえる気がして、ちょっと怖い。

全147件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1991年生まれ。2019年『改良』で第56回文藝賞を受賞しデビュー。2020年『破局』で第163回芥川龍之介賞を受賞。他の著書に『教育』がある。

「2023年 『浮遊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠野遥の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×