出セイカツ記 : 衣食住という不安からの逃避行

  • 河出書房新社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309030746

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  • ” マリオよ、あなただったらこのクソゲーを、いったいどのようにクリアするのですか。”

    ただでさえ不安な日々、そこにコロナ禍というピンチまで重なって、生きることが最大限に脅かされている。そんな日々から、一体どうやって脱走したらいいのだろう。

    著者はフリーランスの文筆家だけど、別の境遇の人だって、きっと身に覚えのある不安が本書にはいくつも出てくるはず。

    人生には逃げ方、ずらし方でいろんなバリエーションがある。わたしの人生、まだつんでない。

  • ワイルドに国に頼らず自活するような内容ではなく、衣食住を失ったらどうしようという根拠の無い不安と戦うために、色々な事を試みるエッセイです。
    実際今暮らしていけているのは、たまたま仕事が有って住む所があるだけで、自分ごとき何かのタイミングでホームレスになっても不思議ではない。と思って生きていたので物凄くよくわかります。極端とは思いますが、結構身につまされる部分もあります。今ってそう思っている若者沢山いると思いますので、とてもタイムリーな話題とも言えます。

  • 2022年刊。表示の印象から軽い内容を想像していたが、意外な感触。誰もに多少なりとも有りそうな感覚から、発想が斜め横に展開して実験する。しかも結構な時間と手間を掛けて。原動力は「不安」と「生への欲求」。人間の脳自体に不安に強く関わるノルアドレナリン神経が存在するのだから、人間が人間たる所以、欲求や渇望自体が元々組み込まれている感じ。思い付いても殆どの人が実行しない、或いは思いもしない実験の数々が不思議で興味深い。文体も真剣なのかふざけているのか、混在のリズムが楽しい。

  • 面白いな~こんな考えの人がいて楽しい!

  • 衣食住の不安から逃避行のチャレンジをするというエッセイ。面白い試み。でも後半は少しだらけてしまい、読むペースが遅くなった。ま、気楽に行きよう!というのが伝わった。楽しく気軽に読めるかも。

  • 出セイカツ記
    衣食住という不安からの逃避行

    著者:ワクサカソウヘイ
    発行:2022年10月30日
    河出書房新社
    初出:ウェブメディア「DOZiNE」の連載「エクソダス・フロム・イショクジュー/衣食住からの脱走」(2019年4月~2021年12月)

    人は常に衣食住を失う不安につきまとわれている。現代生活において、それは仕事とお金を失うこととほぼ同義である。そんな不安からエクソダスすべく、いろいろ試し、その都度やや哲学的(観念的なことも含め)に考えた体験記。例えば、「食」からの不安から解放される試みとして3日間の絶食をする。その結果、不思議な体験ができたりすることが判明。「衣」はその日に着たものを捨てていき、所有衣類をゼロにする。「住」は木に登る(これは意味不明だった)。仕事とお金については、ただの石ころを拾って売ったり、スッポンを釣って売ろうとしたり。そんなことを試しつつ、その都度考察していくのだが、著者は、たぶん知識はそれなりに豊富なんだろうが、考察力がいかにも浅薄で自己満足で終わり、結論に説得力がまるでなくて伝わってこない。最後は1年間、ベッドの中で過ごして何もしない(仕事も遊びも)という試みだが、それはウェブに連載している時期とどう見ても重なるのでインチキまるわかり。全体として本(ウェブ)を書くための単なるネタとして考え、やっているに過ぎないという印象も丸出しだ。

    それで、結論としては、一言でいうと人間は不安があるからこそ生きていけるのだ、みたいなことだった。これまたありきたり。

    書評などを読むと一定の評価を得ている本みたいだけど、その理由がまるで分からない。図書館の順番もなかなか回ってこなかった。そこまでして読む価値などまったくない本だが、下記の部分だけは別。読んで得した。

    たった一つの、面白いリポート。プロモーションやマーケティングの分野において、とても勉強になる。著者は友人に誘われて地方の河川に小石を拾いに行った。そして、週末のイベントでそれを一つ100円で売ってみることにした。全く売れなかった。売上ゼロ。見向きもされなかった。隣でジュースを売っている女性から声を掛けられた。彼女の店は好調だった。液体は強い、儲かると言われた。週末のイベント出店だけで生活している、とも。

    著者は考え、次の機会では小石を並べたほかに、「お酒あります」という札も立てておいた。すると、1杯500円の酒が売れた。飲むと客は小石を見始め、話を聞き始める。なんもない、拾ったただの石だと答えるのだが、なんと一つ買ってくれた。次の客も、同じだった。結局、お酒は売れ、小石も売れた。

    マーチャンダイジングだ。

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著者プロフィール

1983年生まれ。作家・脚本家。主な著書に『中学生はコーヒー牛乳でテンション上がる』『夜の墓場で反省会」『今日もひとり、ディズニーランドで』などがある。

「2022年 『出セイカツ記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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