崩壊ホームレス: ある崖っぷちの人生

  • 河出書房新社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309204871

作品紹介・あらすじ

パンクスでジャンキー、元囚人、どうしようもなくぶっ壊れてるけど、愛すべきホームレス、スチュアート。路上で彼と出会った著者がその過酷で壮絶な人生に秘められた真実を探る魂のノンフィクション、イギリスでベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • ケンブリッジのある「カオティック」なホームレス/ジャンキーの人生を、ホームレス支援ボランティアでもある著者が、答えの得られない「なぜ」をくりかえし問いながら再構築しようとした伝記。スチュアート・ショーターの伝記といっていいんだろうな。
    最初はただのよくいるホームレス(といっても知り合いはいないんだけど)にしか見えないスチュアートが、だんだん章を重ね、年月を遡っていくにつれて、本当に気の毒になってくる。なんであんたはこうなの、なんで自分の人生を何とかしようとしないの、というもどかしい想いは――それは著者で聞き手であるアレクサンダー・マスターズの想いでもあるのだけど――やがてひとつの悲しい理解に達する。本人にはどうしようもない人生の巡り合わせというものも、確かにあるんだ、と。私がスチュアートの人生をたとえば15歳まで生きたとしたら、残りの人生は私も彼が辿ったのと同じ道を行くのだろうと。どう足掻こうと。
    そうした人生のスタート期におけるどうしようもない不平等さを少しでも埋め合わせるために社会があるのだろうと思うけど、なかなか機能しているようには見えない。 スチュアートとアレクサンダーが共有した時間、互いの余りにも違う生活背景におそらくは互いに戸惑ったり反発したりしながらも、互いに誠実でいようとし、信頼を深めていく様、真摯な姿勢が行間から感じられる。スチュアートの死が明らかに自殺でなくてよかった……と思う。
    ただ、翻訳がひどい。これほどひどい訳に出くわすのは、専門書以外では珍しい。もう少し日本語に堪能になってから外国語に取り組んでほしいものです。

  • あるイギリス人ホームレスの話。
    中々理解するのが難しいクレイジーな世界かもしれません。

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • ノンフィクション、ルポタージュ、伝記…そうカテゴライズするには、あまりにもドラマチックな"カオティック"スチュアートの一生。彼に密着することで、イギリスのホームレスの実情も描かれています。

    読み進むにつれて、謎解きのように明らかになっていく、彼の生い立ち。メチャクチャだけど、魅力的。悲しいような、ユーモラスなような、フィクションではないかと思えるような彼の一生。
    最後の瞬間、彼は、幸せだったのか、不幸せだったのか。

    ノンフィクションでありながら、深夜にうっかり見てしまった映画のような、不思議な読後感のある一冊です。

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