- Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309205502
作品紹介・あらすじ
半世紀近くの研究と講義の成果を盛り込んで、ダンテとその作品の魅力を平明かつ詳細に解き明かす画期的名著。『神曲』の名訳者が導く、地獄・煉獄・天国をめぐる旅。
感想・レビュー・書評
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講義録としてもよく工夫されていて読み易い上に、神曲そのものの解説に加え、筆者の翻訳や教育に対する考え方やイタリアの想い出などが盛り込まれた講義そのものもわかりやすく、とても参考になる良書であった。ただし、本の中でも書かれているように原典に当たることは大切で、出来れば神曲そのものを横に置きながら同時に読み進めるのが良いのではないかと思う。そういう私はかつて読んだはず、とこの本のみを読み進めた結果、ほぼ忘れていたことに気づく悪い生徒でした(苦笑)。思っていた以上に現実社会を反映した内容だったのだなぁ。
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『神曲』完全版の訳註と同じところが多々あるから、最初は比較することに余念がなかった。しかし、二つの刊行本を並べて読むことをしているうちに、何度かつまづき諦めることをしていた難所で燈がさした。平川祐弘先生の忌憚ない率直なお言葉。噛みしめれば噛みしめるほど胸に、フリーズした頭に響いた。その先へと読み進める歓びと、ダンテの現実の姿が見えるとき、何故ウェルギリウスが消えてしまうのかと悲嘆に暮れた心に、必然を考えはじめ感情が理性に変わった。
最終の一行は、私だけの感覚を抱けたと思う。大切に今の未だ未熟な自分に刻みたい。
いずれまた時が経てば必ず読み返すことだろう。『神曲』も本書も。 -
ダンテの『神曲』を理解するために読んだ。著者は東大紛争時代に教壇に立っていた方なのだが、当時の話も盛り込んであり、それが良い息抜きになった。