モレル谷の奇蹟

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 68
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309206738

感想・レビュー・書評

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  • 「タタール人の砂漠」の著者であるブッツァーティの遺作となった作品なんですが、父の蔵書の中で見つけたノートにある16世紀から20世紀初頭に至る聖女リータの描写を頼りにモレル谷の祠を訪ねた著者が、番人デッラ・サンタから聞いた話と39枚の奉納画を一冊にまとめたという設定の絵本。なんか面倒くさそうな現実と虚構が混じりあって夢うつつの世界を彷徨ってるみたいなんですがこの著者は画家としても活躍されてたようで、ポップアートを彷彿させる絵はみてるだけでも楽しめます。4つ目の海獣コロンブレに始まり、豪雨をもたらす空飛ぶクジラ、UFOの襲来に、化け猫の出現等、事件記事っぽく文章も添えられていて著者が新聞記者だったことも偲ばれたり。中でも火山猫は面白く、噴火により973匹の猫が降ってきたとかっw
    悪魔とか修道士が女の子にセクハラやパワハラする絵なんかもあり猟奇的にみえますが、こんなんはみんな悪魔の仕業とかで片付けちゃうのかな? いろんな願望も具現化されて救済へと導いてるような。あとがきに解説がありますがイタリアンはキザで小難しく書いてあるのでいまいち訳分からない。PGRと書いてある絵は閲覧年齢制限かと思ったら「ご加護を」ってことらしいです。

  • 海獣、化猫にUFOや悪魔に幽霊、吸血鬼やロボットに宇宙人まで!ワンダーウーマンばり聖女リータが16世紀から20世紀前半にかけて起こる難事件を奇跡の解決に導きます。最後の解説にて実は展覧会にも出版もされていないもう1点の奉納画が存在することを知りました。著者の病状が悪化した際に担当した医師に献じられたものらしい。解説を読んで本当に涙しました。是非とも未読の方は解説必読で読んで欲しいです。何度も読み返すであろう素晴らしい作品でした!

  • ふむ

  • ブッツァーティの愛したベッルーノ.その土地と聖女リータへの思いを奉納画という形で描き,39枚の絵に小さな物語を添えて差し出した物.自由な発想と心の芯奥を覗くような絵だったり何か性的なトラウマを感じたり果ては宇宙人?まで登場して面白い.
    ノアの箱舟ならぬ「空飛ぶクジラ」が好きだ.

  • 聖女の奇蹟に対する奉納画集なのだけど、それの元になったという祠から何から架空のものであるというけったいな作品。
    日常使用する想像力をぽんと飛び越えていて、呆気に取られるけれどもどこか心地良くもある。
    火山から狂猫が噴出するとかね!
    絵も文も非常にユニーク。

  • ブッツァーティ!ますますハマりそうです。
    解説がとても良かった、彼の死生観が今の私の心情にとてもしっくりくるので。
    イタリア文学は肌に合う〜(´౪`)

  • この作家のものは全て読むことにしているので、書店で新刊を発見した時は小躍りして購入。絵画作品はさすがに独特な魅力があり書物所有欲を満たしてくれる。様々なパロディーも嬉しい。ブッツァーティファンは必携です。

  • 優れた画家としても知られるブッツァーティの、遺作となった画文集。「聖女リータの奇蹟に感謝して捧げられた奉納画」という設定で創られた、虚実ないまぜのシュールなナンセンス世界!

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。翻訳家。東京外国語大学卒業。東京大学大学院修士課程修了。ヴェネツィア大学文学部卒業。イタリア文学専攻。

「2020年 『生の館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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