炸裂志

著者 :
  • 河出書房新社
4.40
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本棚登録 : 123
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309207216

感想・レビュー・書評

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  • やっと手にした閻連科作品は新しく訪れた県立図書館でお借りした一冊です。

    本当は閻連科の他の作品から手にしたかったのですが、蔵書にあったのが本書のみ。

    ということでお借りして、読み終えるのに1度期間の延長を...^^;

    他の本を読みながらとはいえ、訳者あとがきまで含めると471Pにも及ぶぶっ厚い二段組作品、少々時間がかかったのは仕方ない( ˇωˇ )

    読後評価としては迷わず☆5つ♪

    さすがです。

    いやぁ~読みたいと思いながらなかなか手が出せなかった閻連科、こりゃ他の作品も絶対に読んじゃうと思います(*-ω-)ウンウン

    詳しくは記しませんが個人的には「付記」と記された第1章から一気に引き込まれちゃいました!!

    こんな書き出しをフィクションとして描ける才能にただただひれ伏すしかありません。

    さて、大満足の1冊を読み終えましたが、今週末に返却期限となる他2冊、頑張って読むぞ~٩( •̀ω•́ )ﻭ
    (間に合うかな^^;)



    <あらすじ>
    本書は、中国の架空の都市「炸裂」の発展史を描いた長編小説です。 作家の閻連科は、市長の依頼で炸裂市の歴史を書くことになりますが、その過程で炸裂市の裏側に隠された様々な事件や人間関係に触れていきます。

    炸裂はもともと貧しい農村でしたが、改革開放の波に乗って急速に都市化しました。 その過程で、炸裂の市長となった孔明亮とその家族、そして炸裂の住民たちが様々な出来事に巻き込まれていきます。

    小説は、孔明亮が著名な作家である閻連科に依頼して炸裂市の歴史を書かせるところから始まります。 閻連科は、孔明亮の提供した資料やインタビューをもとに、炸裂市の成立から現在までの変遷を記録していきます。 しかし、閻連科は炸裂市の表面的な発展だけでなく、その裏側に隠された様々な事件や人間関係にも迫っていきます。

    小説は、孔明亮の父・孔老爺が炸裂村の村長だった頃から始まります。 孔老爺は、炸裂村の対立する派閥である朱家の朱老爺と争っていました。 ある日、孔老爺は朱老爺に罠にはめられて死にます。 孔明亮は、父の仇を討つことを誓います。

    孔明亮は、炸裂村の村長になり、炸裂村を炸裂市に昇格させます。 孔明亮は、炸裂市の発展のために、様々な政策や事業を推進します。 しかし、その中には、環境破壊や人権侵害、腐敗や暴力などの問題も含まれていました。 孔明亮は、自分の権力と利益を守るために、手段を選ばずに行動します。 その結果、孔明亮は、朱家の朱穎や程菁、孔明耀などとの複雑な関係に巻き込まれていきます。

    小説は、孔明亮が炸裂市の歴史を書かせた理由や、閻連科が炸裂市の真実を暴こうとした結末に向かって進みます。 小説は、中国の現代社会の矛盾や腐敗を鋭く批判した作品として、発禁になったこともあります。

    この小説は、中国のノーベル文学賞候補とも言われる作家・閻連科の代表作の一つです。



    作家・閻連科は、炸裂市の歴史、売春婦と盗賊の年代記を綴り始める。発禁にも関わらず問題作を世に問うノーベル賞候補作家の大作。

    著者について

    [閻連科]
    1958年、中国河南省の貧しい農村に生まれる。20歳で解放軍に入隊。在軍中に河南大学と芸術学院を卒業。2004年に軍を離れ、作家生活に専念。『堅硬如水』で魯迅文学賞、『受活』で老舎文学賞を受賞。現代中国を代表する反体制派の作家。

    [泉京鹿]
    1971年東京生まれ。北京大学留学。翻訳家。訳書に、余華『兄弟』(2008)、郭敬明『悲しみは逆流して河になる』(11)、王躍文『紫禁城の月:大清相国清の宰相陳廷敬』(16)など多数。

  • 圧倒的ボリューム、怒濤の二段組み・480ページ。だが貪るように読める、読める、読める、これぞまさに閻連科マジック。2012年の「中国の作家から村上春樹への返信」の最後の方で言及されている「長編小説」がこの『炸裂志』だったのだそう。荒唐無稽な出来事のオンパレード(神実主義というらしい)で核心に迫る作者の力量が見事。「自然編」はもう確信犯。回収されていない伏線もあるような気がしますがまあ仕方ない。最後はホロリ。『愉楽』が好きだという人は絶対気に入ると思います。しかし相変わらず男と女の間には・・・だなぁ。

    ---

    個人的にはp412で朱穎が粉香に語る「この世の男の中で一番あしらいやすいのが・・・」で盛大にフイタ。そしてその直後のダメ押しの一文で腹筋崩壊、死にかける。もうほんとやめてwww

  • 『新華字典』第12版が発行 - 文学通信|多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出す出版社
    https://bungaku-report.com/blog/2020/08/12-10.html

    閻連科:中国のタブーを描き続けるノーベル文学賞候補が選ぶ意外な5冊 | カルチャー | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
    https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2020/08/5-109_1.php

    炸裂志 :閻 連科,泉 京鹿|河出書房新社
    http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207216/

  • マジックリアリズムはマルケスみたいだけれど、フォークナーみたいにリアルはあるなぁと思った。ワタシが気に入ったのは朱頴。戦う女。程菁のが、最初は頑張れって思っていたのに途中から朱頴のが好きになった。なんでかなぁ。若さをひけらかす感じが程菁は嫌だったのかも。それにしても、ここまで土地に固執するのは土地はそこにあるし変わらないものだからかなぁ。国家に縛られない最初の方が面白かった。

  • 作者には自分の国がこのように見えているのだろうなあ、極端な経済成長は心を失わせるなあと、とにかく作者の気持ちを感じてしまう本だった。積まないで今すぐ読むべき本。マジックリアリズムなんだけどリアル。

    登場人物にあまり面白味を感じられなくて、でも人が面白くないというのは、極端な上昇志向とか一族の名誉にこだわって自分の人生を棒に振るとか、どうしてわざわざつらい目に遭おうとするのかわからないからだ。そういうのはつまらないってはっきり思うのは昭和の日本を覚えているからで、ということは人間はとにかく一回やらないと気が済まないものなのだろうなと思う。体験から学ぶには失うものがあまりにも大きいのだけれど。

    終わり方がとても好みだったので最後に星が一つ増えた。

  • 地誌を装った章立てで、神話のような文章で書かれる、人間の欲望の卑近でかつ醜い有様の物語だった。

  • 面白いけど 長すぎ特に後半ダラダラ

  • 過剰と不条理の物語。実際には30年程度の話であるのに、炸裂の変わりようはまるで数百年の変遷を眺めているよう。そうした急速な発展を支えるのは常に性や金をめぐる欲望だった。終盤にいたって明亮が投票に敗れたときの、比喩の逆転が感慨深い。入社式の日に読みはじめたのに色いろの本に寄り道をしたせいで二ヶ月もかかってしまった!

  • 序文とあとがきに作者自身が登場するメタフィクション的構造で、
    ある村と一族のクロニクルを市史というかたちではさみ込んだ分厚い本である。
    チャイニーズなマジックリアリズム風で荒唐無稽な、
    作者のいう神実主義にもとづいた物語がひたすら続く。
    本編後の“日本の読者に向けて”“神実主義とは何か”“中国の作家から村上春樹への返信”
    それと“訳者あとがき”。発禁処分となった作品多数な著者の苦悶がうかがえる。

  • 映像が思い浮かぶような作品。キラキラとドロドロが混ざり合って疲れてしまうだろうな。そしてR18指定必須。著者も登場するのが面白い。できればもっと活躍してほしかった(笑)

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著者プロフィール

1958年中国河南省生まれ。80年代から小説を発表。2003年『愉楽』で老舎文学賞受賞。その後、本書を含め多数の作品が発禁扱いとなる。14年フランツ・カフカ賞受賞。ノーベル賞の有力候補と目されている。

「2022年 『太陽が死んだ日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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