- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309225234
作品紹介・あらすじ
三輪君逆、穴穂部皇子、物部守屋、蘇我蝦夷・入鹿ら…叛逆の連鎖で葬むられた者。怨霊を御霊として祀り鎮める古代人の心性を探る。御霊信仰は平安以前、すでに飛鳥時代に萌芽する。
感想・レビュー・書評
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怨霊とは本人の意思にかかわらず、それと祀ろうと考える人が作り出したもの。
怨霊の祟りを恐れる者は、すなわちその人に対して引け目を感じている人・場合によっては犯罪者であるとのこと。
各地に存在する神社を起点に歴史を考えるスタイルは新機軸だと思いました。
文献は時の権力者によって改竄できるけれど、神社の由来や祭神、名前はそう簡単には変えられないし…。
乙巳の変で本宗家が滅んだ蘇我氏がスサノオの末裔という考え方は面白いと思いました。
また、蘇我馬子と厩戸皇子がともに「馬」つながりで、聖徳太子の業績は実はほとんどが蘇我馬子のものではないかという考え方もなるほどと思いました。
乙巳の変を起こした天智天皇は今の皇室の直接の祖先と言われているし、もう1人の中臣鎌足は日本史上最も勢力を持った藤原一族の祖。
歴史は勝者のものだから、彼らを正当化するための力が大きく働いていた可能性は大きいと思います。
この本だけを読んだのではダメだけれども、歴史を客観視する目を持つには、なかなか興味深い1冊でした。
ちょっとマニアックではあるけれどもね(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
怨霊となったのは誰なのか?
『日本書紀』や他資料、地理的条件、神社の全国分布や由来を紐解くことで怨霊となった古代史上の人物を解き明かし、さらにその殺人者を探る。
これまで日本史についての本を読むことはあまり無かったのだが、入門書としてもミステリーとしても、とても興味深く読めた。
神祇派と崇仏派の関係、「蘇我」という名付け方や神社の分布から組み立てられていく推察はとてもためになるし、面白い。
古代のしきたりについても勉強になった。
大和朝廷についての本を色々読んでからまた読み直したら、もっと面白くなりそう。