- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309225852
作品紹介・あらすじ
日本人の風習には、なぜか怖いものが多い。それ自体が「そこはかとなく不気味」なものもあれば、ルーツに恐ろしい逸話が隠されているものもある。では、われわれは、なぜ"恐ろしい風習"を連綿と受け継いできたのだろうか?年中行事、タブー、昔話、遊び…に潜む恐怖の謎解きをしながら、日本人のメンタリティを読み解く書。
感想・レビュー・書評
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風習や年中行事、童話についての起源や変遷をまとめた本。
面白いし読みやすかった。
☆4
<もくじ>
日本人の風習に隠された「恐怖」を読み解くーまえがき
1章 奇妙で不可思議な「しきたり・タブー」の謎を解く
◎たとえば「葬式には黒装束で参加する」わけとは
葬式には「黒装束」で参列する○死者が白装束なのに、参列者は.黒一負という謎
友引の日には葬儀を避ける○やはり「親しい友達を、あの世に引っ張っていく」からか
饅頭やぼたもちを神仏へ供える○「朱色信仰」と邪気払いの食べ物・小豆が結びついた
夜に口笛を吹いてはならない○神聖だからこそタブー視されてきた行為
夜に爪を切ってはならない○なぜ「親の死に目にあえない」といわれるのか
寝言に返事をしてはならない○就寝中は、魂が抜ける」から戻れなくなる?
神社に毛髪を奉納する○髪の毛は、なぜかくも特異な存在だったのか
2章 身近な「年中行事」に秘められたミステリーとは
◎たとえば「お彼岸」は、怨霊を鎮めるために始まった
獅子舞○恐ろしい獅子頭は、何を意味しているか
七草粥○厄災を恐れ、一年の無事を祈る大事な日だった
節分○妙った豆と焼いた鰯が魔除けに効くとされたわけ
針供養○「もったいない」という言葉に秘められた古人の恐れとは
事八日○”崇るべき人間"を探して妖怪がさまよう日だった
初午○身近な「お稲荷さん」にまつわる恐ろしい話とは
お彼岸○怨霊の崇りから逃れるために始められた
雛祭り○女と水と蛇との深い関係とは
花見○花に託された人類を貫く「死」のイメージ
鎮花祭○美しい桜の散り際が、かくも恐れられたわけ
端午の節供○重要な喫の日で、ショウブと女性が主役だった
河童まつり○河童とは何者だったのか
夏越の祓○祓のアイテム・茅の輪にまつわる恐ろしい話とは
山開き○山神の領域を侵すと何が起こるか
川開き○もとは、多数の死者の魂を弔うためだった
七タ○キュウリの馬とナスの牛は、動物の"位牌"
孟蘭盆会(お盆)○語源は、仏弟子の母が地獄で逆さ吊りにされたことから
施餓鬼○餓鬼に呪われた弟子を、ブッダはいかに救ったか
重陽の節供○古人が月の神に託した「よみがえり」の願い
誓文払い○裏切りのために処刑された男が誓文返しの神となったわけ
酉の市○「三の酉には火事が多い」とされるのは
煤払い○清めの行事は、厄払いの祈疇でもあった
3章「子どもの遊び・わらべ唄」のルーツをたどって見えた恐怖
◎たとえば「かごめかごめ」は、屋外式こっくりさんか
えんがちょ○なぜ、私たちはあの「しぐさ」をするのか
指切りげんまん○もとは互いの命をかけた約束だった
てるてる坊主浄○あらかじめ「首を吊られている」意味とは
通りゃんせ○最強にして最恐の物語に裏打ちされた唄
かごめかごめ○意味不明な歌詞に秘められた意図とは
花いちもんめ○貧しい時代のむごい現実をとどめた唄か
4章 本当に恐ろしい「昔話」はいかに編まれたか
◎たとえば、人魚伝説と「浦島太郎」に共通するタブーとは
かちかち山○本来のストーリーに隠された恐怖
八百比丘尼伝説○人魚伝説と「浦島太郎」に共通するタブーとは
米福粟福○いじめたら、恐ろしい報復が待っている
小泉小太郎○タブーを冒した人間はどこへ行くか詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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とても楽しく読めました!
あの言葉や儀式にはこんな意味があったのか!というような発見が多く、すごく勉強になりました。
1回では覚えきらなかったので、また読み直したいです。
図書館で借りましたが、購入を検討中。
言葉の成り立ちや、四季折々の儀式に興味のある方にオススメです。 -
迷信、言い伝え、風習と言われるものの背景を探る本。深掘りできているものとそうでないものの差が大きいが、元文献の差でもあろうと思うのでいたしかたなし。何かお話しを書く時のネタになりそうなものが幾つかあったので、参考図書にしたい。
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◆知って納得!日本の風習の謎◆
書名に「知れば恐ろしい」とありますが、実は「読めばためになる」ことがたくさん書いてあります。例えば「葬式には黒装束で参列する」「友引の日には葬儀を避ける」「夜に爪を切ってはならない」といった、古くからの風習の謎をひとつひとつ検証。また「夏越の祓」(なごしのはらえ)、「重陽の節供」(ちょうようのせっく)といった、日本の年中行事に秘められたミステリーについてもわかりやすく説明しています。読めば「なるほど!」と納得できます。 -
おばあちゃんの知恵的なものも大切ですな。
(前書きより)
私たちは、根拠が曖昧な直感よりも、推敲を重ねた理性的判断の方がはるかに頼りになると”直感”するあまり、人類が何万年にもわたって育み、蓄積してきた本能的感情を軽視してはいないだろうか。 -
「知れば恐ろしい」と言われているのに知りたくなってしまう、人間なら誰でもそうでしょう。
こわごわ読んでみました。
今でこそ、喪服といえば黒が当たり前ですが、古来、日本の喪服は白かったそうです。
基本的に日本人は、仏教伝来以前から性善説に近い思想を持っており、魂を本来的に汚れのない清廉な存在と認めるからだとのこと。
アジアでは喪服は白いのだそうです。
確かに、お遍路さんなどの白装束は、死装束。死んだ人も見送る人も白い服を着ていたのでしょう。
それがなぜ黒になったかというと、明治維新による欧化政策として、西洋の葬祭儀礼にならってのだそう。
そこまで合わせなくても、と思いますが、手入れの簡単さもあって広まったそうです。
自分のご先祖様が、今の葬式を見たら驚くのだろうなあと思います。
盆踊りは、死者の再来を喜ぶものだと思っていましたが、正確には読経により地獄の扉が開き、大勢の死霊たちが喜んで地獄から出てきた様子が、両手を上げて踊っているような盆踊りの形式となったとのこと。
死者の真似をしているわけだと外国人に説明したら、不思議な風習だと思われることでしょう。
「友引」は、もともと「共引」であり、この日に葬式をしても友を引っ張るという意味は特にないとのこと。
また「仏滅」は、もともと「物滅」だったそうです。
時代を経て、字は変わっていくものなんですね。
よく会話では出てきても、はっきり意味がわかっていなかった「えんがちょ」。
これは「縁をちょん切る」という意味だそうです。
また、「指きりげんまん」の「げんまん」とは、「拳骨一万発」のことだとか。
そんなに暴力的で恐ろしい言葉だったとは。
また、「花いちもんめ」の「もんめ」も、意味がわからずにいましたが、これは一匁(3.75g)という単位のことだとか。
子どもを取り合うあの歌は、口減らしのために売られた子の話かと著者は推測していました。
『怖い絵』ほどサスペンス味のある怖さではありませんでしたが、死と生がもっと隣り合わせだった昔の頃の慣習が、言葉に封じ込められて、今でも使われているということに気付かされました。
ただ、著者の推測による意味付けも多かったため、もう少し立証的なデータに基づいたものであればなおよかったです。 -
この手のタイトルには、あまりにもテキトーな本が多い中、珍しく、内容の筋が通っていて、しっかりしている。
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「本当は恐ろしいグリム童話」(だっけ?)とかのようにワイドショー的好奇心を刺激するタイプの本ではないです。
俗っぽくなく真面目な作風。
ゆえにワクワク感を持って読めなかった。
大学の卒論のテーマを探してる人が読むと参考になるんだろうな~という感じ