- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309226866
感想・レビュー・書評
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ノンフィクション
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戦後頃であっても、戸籍もなく文盲で、定住せず社会の辺縁で生きていた人々が沢山いたということにまず衝撃を受けた。今では過去のものとなった病気の哀しさとか。
著者の筆致はでも力強く、丹念な調査と考証が素晴らしい。
わからないことも多かったけど、とても勉強になった。 -
日本史の中心には出てこないが、日本の歴史の中にいた存在「サンカ」に興味を持って読んだのだけど、以前読んだ『山に生きる人びと』(宮本常一著)とは違う定義としており、言葉を定義することの難しさを感じる内容だった(どちらが正しいとは私には判断できないが)。
史料が少ない分野なのでいきおい「~であろう」といった記述が多くなり、不確かで不安な気分になるが、ものごとを追及して明らかにする楽しさを感じる。 -
著者が学者ではなくジャーナリスト出身なので、漂泊民たちに対する独特の描写力があり興味深い。ただ、後半から時々顔を出す、名を成した三角寛や宮本常一への批判がルサンチマンぽくてちょっと残念であった。
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知り合いに蔓で細工物をしている作家の知人がいる
「私が若い時には、そんなことせんと、もっと違うことを
しなさい!」と言ってくる人(身内)が何人もおられたそうです。
同じようなことは、竹細工の作家さんからも聞いたことがある。
その背景に、本書に登場する「モノづくり」の民の歴史が見えてくる。
「箕」作りに限らず、猿引き、春駒、獅子舞い等々、日本の伝統芸とも言える、その技術を持つ人々の「これまで」は
もっと、正当に評価され、もっと見直されていくべきだと
著者の筒井功さんに限らず、沖浦和光さん、網野善彦さんの労作に接するたびに思う。
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「本書は、そのようなセブリに的をしぼった報告のつもりで筆をとった。これもまた、わが国の庶民史の一環だと考えたのである。この種の記録が出版されなかったのは、売れ行きの問題もあっただろうが、やっかいな話に巻き込まれたくないという本を出す側の人たちの自主規制も影響していたのではないか」(p202)
詳しい語源、歴史的経緯などは、著者が本文中で薦めているように他著を読むことにしよう。