アイヌ語地名と日本列島人が来た道

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309227122

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  • アイヌの人たちの言葉が、北海道の多くの地名の元になっている。これはアイヌ語の地名を調べ上げることで、アイヌがどこからやって来たのか、どこまで南下したのかを詳細にフィールドワークしたもの。実際に現地へゆき、現地の人に聞き取りをしたこの調査は、学問的価値が高いと思う。
    蝦夷(エミシ)と呼ばれた東北人の中にいたアイヌ、大陸に渡ったアイヌ、九州まで行かされたアイヌなど、思いがけない事実にも行き当る。そして、これまで諸説ある次のことについて、これらを検証して結論づけている。
    アイヌは北上したのではなく、カムチャッカなどから南下した。アイヌの人たちは福島北部よりは南下していない。沖縄とアイヌはつながりがない。等々。
    お互いが平和に共存しているからこそ、地名にアイヌの言葉が残ったのであり、争っていたらどちらか勝った方の地名になっていたであろう、という記述が印象に残った。アイヌ地名が東北に残っていることは、東北の人たちが共存していた証である。
    アイヌが狩猟、東北の人たちが農耕をしていたので、居住地が別であったことが共存の理由であろうという。マタギもまた、アイヌの言葉に由来する。
    もっと知りたくなるようなことがたくさん書いてあったが、ここでは語られなかったことも多くあった。さらに知りたくなる。

  • アイヌの方々がどのように移動し、地域に根付いて行ったのかを、フィールドワークに基づいて記されている。

    複数の文献を引用、紹介しながらで、様々な説を平等に扱ってる。

    素人の、ただのアイヌ好きとしては広く知見を得られて得した気分。

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著者プロフィール

1944年生まれ。民俗研究家。 著書に『サンカの真実 三角寛の虚構』『葬儀の民俗学』『新・忘れられた日本人』『サンカの起源』『猿まわし 被差別の民俗学』など。

「2023年 『漂泊民の居場所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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