ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

制作 : 柴田裕之 
  • 河出書房新社
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レビュー : 146
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309227375

感想・レビュー・書評

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  • サピエンス全史からの焼き直しが多いが、今度は人類の未来への思考をメインにしている。
    全体的に、神→人類→? の流れで世界に意味を与える存在について検証している。
    以下、印象に残ったポイント。
    ・人間に行動規範を与える人間にはコントロール不可能な原則に基づく価値体系を宗教とするなら、共産主義も資本主義も民主主義も人間至上主義も全て宗教と言える。
    ・人間至上主義もまた、歴史上いくつも現れた価値体系のうちの一つに過ぎず、絶対の真理ではない。
    ・人間や動物の意識というものの正体は生物学的に明らかにされていない。脳を開いても、自己も魂も意識も見つからなかった。人間至上主義は自己の存在を前提とするため、その根拠が揺らいでいるが、未だこれに代わる体系が現れていない状況にある。
    ・家畜の惨状について改めて説明。通常は自然選択により環境に適合できずに個体として苦しむことになるような形質の遺伝子は生き残れないため、種として何代にもわたって苦しみ続けるということはないはずだが、家畜は、産まれてすぐに母親と引き離されて、太るためだけにえさを食べ、身動きできない狭いゲージの中で横になることもできないまま過ごし、数ヶ月から数年で肉として殺される生活をしており、個体としての苦しみは間違いないが、しかし、人工的に子を産まされることにより、自然選択による苦しむ個体の淘汰が生じないため、次の世代もその次の世代も苦しみ続けることとなる。
    ・テクノロジーの進歩により、サピエンスはコンピュータに支配又は淘汰される種になるか、サピエンスの一部の特権階級がテクノロジーとの融合によって超サピエンスとなって支配階級となり、大多数の無用者階級となった旧来のサピエンスとの階級社会が到来するかといった未来予測。
    ・データ至上主義なるものも紹介されていた。人間の活動は全て人間の満足ではなく、データの充実のために行われるとの思想。これよれば、データ化されない個人の経験は無価値になる。既に、あらゆる主観的経験をSNS等でシェアしないと価値がなくなると考える人が増えてきている。
    ・右脳と左脳は、健常者なら太い神経で繋がることで、一つの人格を形作っているが、てんかん患者で治療のために脳を切り離すケースがあり、彼らに実験したところ、右と左は独立した別々の意識を持っているらしいことが判明しているとのこと。
    ・脳を外部から刺激して、精神状態をコントロールする技術は既に実用化に近づいている。ラットの脳に電極を埋め込んだロボラットは、人間のコントロールによってはしごを上ったりといった行動をするが、ラット自信は自発的に行動したと思ってる。
    ・いずれテクノロジーによって、欲望自体をコントロールできる時代がくる。例えば、勉強したくなるように自在に自分の精神状態をコントロールできるようになる。そうなると、人間至上主義が拠り所としてきた、絶対的な存在であったはずの自己の欲望がコントロール可能な対象になり、価値判断の拠り所を失ってしまう。このときに、とって代わるのが、データではないかとのこと。あらゆるデータが自分よりも自分を喜ばせる術を知っている状況になれば、データ価値判断の拠り所になり、データが神になる。

  • 来年(2020)にもう一度読んでみる。

  • 生命は外部の刺激に応じて反応するアルゴリズムでしかないと見なすこともできる、人間も例外ではない

    人間至上主義は個人の意思(つまり個人のアルゴリズム)を何より尊重していたが、今後は人間よりもAIのアルゴリズムに従うのが合理的になってくる

    これからは個人の意思よりも、大量のデータによって作られた効率の良いアルゴリズムに従う時代になるかもしれない

  • ★★★☆☆

  • 上よりも下の方が面白いと思いましたが、上があってこその下かと。

    人間至上主義も、データ至上主義も、面白い捉え方だと思います。
    そもそも科学は、人間の情緒的な部分、それがたとえ良いものであっても、無味乾燥と言うか、台無しにしてしまう部分があると思っているのですが、データ至上主義は、その最たるもののように思えました。
    こういう極端な思考が、思考の可動域を広げてくれ、新たな可能性の発見につなげてくれるのだと思います。
    そういう意味でも面白い本でした。

    そして、何だかんだ言っても、人間には、物語というか物語性が重要だと思いました。
    その点、これからの人生に役立てたいと思います。

  • 人間至上主義からデータ至上主義へ。

    AIの未来については,「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」では,コンピューターは計算機にすぎず,シンギュラリティはこないとの見解であったので,それと比較しながら,読んでいました。

    ただ,生命がアルゴリズムなら,計算式で表すことができ,シンギュラリティがくる可能性も否定できません。
    それどころか,著者は,そもそも意識は必要ないとすら述べています。

    個人的には,日本において人口減少が避けられないなか,AIやロボットの活躍も期待しています。
    人類とAIが共生できる未来になるよう,意識を向けていく必要があると感じました。

    それと共に,人類も自らの欲望を満たすため,ただひたすら成長を志向するのではなく,まさに今,地球全体の共生を考えるときがきていると思いました。

  • 「サピエンス全史」に次ぐ著者の本。「サピエンス全史」のおさらい的なことから今後の未来を予想する内容。さらっとは読めるが、内容的にはかなり難解。完全に理解できる人がどれくらいいるのか疑問(私も理解できなかった。。。)。要約すると、進化論以来の生物学革命により神聖であった生物というものが単なるアルゴリズムによりデータ処理をしているだけの存在であることが判りコンピュータと変わらないという見地に至った。一方、人間はフランス革命以降の人間至上主義により人間が世界の頂点に君臨し、かつ人間個々は失うべからざる神聖を備えた存在として解釈されるに至った。この神聖化された人類は、科学技術の進化により寿命を延ばし、知力・体力を増強するというアップグレードが可能なところまで来ている。そのような時にインターネット革命が起こり、個人の情報は全てGAFAのような企業に蓄積されはじめ、このままいけば自身よりも自分のことを知っているコンピュータネットワークが出来上がるのも必然的であり、そのようなネットワークは人間の知能では処理しきれない多くのデータを瞬時に処理することにより、結局は人間よりも高度な生命体となり得る。一部の人間のみが自身をアップグレードすることにより同様に高度な生命体になる可能性もあるが、最終的にはコンピュータに勝つことはできず、人類が他生物を支配したようにコンピュータが人類を支配するというマトリックスのような世界が訪れるのではないかという話。ダン・ブラウンの「オリジン」のような結論だが、ハラリの人類史からの普遍的な洞察に支えられているので非常に説得力がある。しかしながら、単なるアルゴリズムが生命体に至るなどということは本当にあるのだろうか?少なくともコンピュータはいくら進化しても哲学のようなデータを効率的に処理するのには何も寄与しないような無駄なことはしないような気がするので、それをアルゴリズムの成せる業と考えるのは無理があるような気がするが、それも人間至上主義に染まった人間の傲慢なのかも知れない。

  • 生物はアルゴリズム 生命活動はデータ処理

  • 人間至上主義からデータ至上主義へ。考察がすごく面白い。当たり前のように存在するシステムがどう成り立ち、今後どうなっていくかに思いを馳せずにいられない。今のシステムの中で生きている中で、自分でも気づけていないことに多く気づかせてくれる。

  • 人間至上主義からデータ教へ。

    ヒトは自然淘汰の結果としての形であり、
    意識は遺伝子によって決まっているものである。(ランダム性を含めて)
    自分の意識より、データの方が自分を知っている。
    うーん。目新しい視点ではないように感じた。
    これだけ長い本にする必要性はないように思う。

    注目を浴びているので期待が大きくなってしまったかな。
    長時間かけた分、ちょっと残念。

    あ、時の流れとともに、
    人間をコンピュータアルゴリズムに置換えが簡単になる理由。
    アルゴリズムの改良だけでなく、
    人間の役割の専門化が進んでいるからという。
    確かに、なるほど、と思った。

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著者プロフィール

ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)
1976年生まれのイスラエル人歴史学者。専門は世界史とマクロ・ヒストリー。
オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、エルサレムのヘブライ大学歴史学部で終身雇用教授として歴史学を教える。軍事史や中世騎士文化についての著書がある。オンライン上での無料講義も行ない、多くの受講者を獲得している。
著書『サピエンス全史』は世界的なベストセラーとなった。2015年にヘブライ語で"Homo Deus: A Brief History of Tomorrow"を出版。その翻訳書『ホモ・デウス』が2018年9月に刊行される。

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