踊ってはいけない国で、踊り続けるために ---風営法問題と社会の変え方
- 河出書房新社 (2013年4月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309246154
作品紹介・あらすじ
「踊りたい!」と立ち上がったダンス業界、表現の自由を求めてスーツを着はじめたオタクたち、レイシストには"しばき隊"が立ち向かい、生活保護バッシングにサラリーマンが意見広告-問題を解決するためにはどう行動すればいいかを示す実践編。
感想・レビュー・書評
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感想
頭ごなしの規制は多様性を失わせる。行き着く先は清潔だが無機質な世界。そんな世界に辿り着かないように踊り続ける人々。戯れているわけではない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここ最近で一番読んで良かったと思う本。人にめちゃくちゃおススメしたい。
クラブという場所に頻繁に行くコミュニティを持ってないから、あまり行けなくて、そこはどうにかしないとなあ、、と思ってるけど、それはさておき、、
クラブと風営法を通して、社会問題を見つめる思考法を知ることができた。
好きなものを社会に認めてもらい存続させるためには、きちんと、考えて行動することが必要だし、好きなことだけ知っていてもダメだということがわかった
この本に書いてあった内容は、短く要約できない。
学生のあいだに、もっと理解を深めておきたい。
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クラブと風営法問題に象徴される日本社会の閉塞感を打開するための案とヒントが詰まった本。風営法問題が話の中心ではあるが在特会や生活保護受給者パッシングなどにも触れられており、多様性を排除して<グレー型>から<モノトーン型>へと変化した日本社会で"踊り続ける"ために何をすればいいかが論じられている。
政策的な運動の目的を設定してそれを即して手段を考えるという事と目的を達成の為に人々が成長していく事。この二つの次元でモノを考える事が重要だと小熊英二氏が説けば、別稿でのいえほいえ氏が「普通のサラリーマンが会社で仕事を進めるのと同じ段取りでやりぬいてやろう」と同じアプローチで運動に取り組んでいる。
<blockquote>「シンプルな目標を設定してそのシンプルな目標を共有した人々がスピード感のある動きを見せれば、各方面からの協力が増え、拡大再生産の流れが出来上がる」</blockquote>
そこらへんのビジネス本が300ページ近く費やしてまどろっこしく書くことを、スパッと1〜2行で書かれているので「社会運動、政治運動は関係ないなぁ」と思っているサラリーマンの方も読まれるがよろし。 -
対談の組み合わせも、インタビューやコラム執筆者の選定も、絶妙なバランスでとても面白かった。
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「踊ってはいけない国、日本」というのが2012年8月に発行され、これは2013年4月にまた、改めて発行されたものになる。この成り行きは編著者である磯部氏の、とても誠実な姿勢のあらわれである。
理論的に正しいコトを言ってそれでおしまいにしてはいけない、と考えた上でのこの2冊目なのだ。それゆえ、この本には風営法にかかわる運動の正当性の主張よりも、どのようにして動いていくべきか、動いていけるかという方法と態度についての議論が主題になっていく。こういった転換に際して方法論の違いから分断される運動も少なくはなかっただろうが、少なくとも本書の中ではそれぞれがそれぞれにできる方法論をとっているだけ、というスタンスで好感が持てる。
官僚機構がある以上、ルールは簡単に自己目的化する。そうした中でルールを自分たちの手に取り戻すための運動は、長期的な関わりが必要でまだまだ続いている。事の次第はそうでなければならなかった風俗文化のあり方の強靭さにかかっている。 -
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風営法問題と社会の変え方とあるが,重きを置かれているのは後者だと思う。誰かが何か社会的な行動を取った場合,批判は付き物である。また,たった一人の行動が社会を劇的に変えることもまずない。ただ,その批判を恐れたり,変わらないからと行って行動しないのでは,何も変わらない。レッツダンスのように,自分が考える問題を解決するために行動する人が増えて欲しい。そして何よりも踊れる国になって欲しい。
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「「子ども」というファクターが入ってくると、人々の反応がすごく複雑になる」