経済学に脳と心は必要か?

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309246215

作品紹介・あらすじ

神経経済学、実験経済学、経済思想史から進化心理学、生理心理学、複雑系、科学哲学まで分野を超えて気鋭の論者たちが問う-。経済学とは、いったいどんな科学なのか!?

感想・レビュー・書評

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  • ◆著者
    瀧澤弘和(1960-) (中央大学経済学部教授)ゲーム理論・実験ゲーム理論・比較制度分析・社会科学の哲学。
    下川哲矢(1970-) 経済学博士。(東京理科大学準教授)意思決定論。
    大平英樹(1962-) 医学博士(名大大学院環境学研究科教授)生理心理学・認知神経科学。
    吉田 敬(1972-)(東京電機大/多摩川電機大-非常勤講師)科学哲学・社会科学の哲学・脳神経科学の哲学。
    川越敏司(1970-)  経済学博士。(公立はこだて未来大学・教授)実験経済学・ゲーム理論。まえがき&5章。
    大坪庸介(1971-) 北イリノイ大学(Department of Psychology, Ph.D.course修了。現在、神戸大学院・准教授) 進化心理学・社会心理学。
    http://www.lit.kobe-u.ac.jp/psychology/ohtsubo.htm
    八木紀一郎(1947-) 経済学博士。(摂南大学経済学部教授)経済思想史・社会経済学。
    橋本 敬(1967-) 学術博士。(北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科教授)複雑系科学・進化言語学・進化経済学・知識科学。

    装丁:松田行正+日向麻梨子

    【目次】
    まえがき――いま、経済学の何が問題か(2013年5月 川越敏司) [001-007]
    目次 [008-009]

    行動経済学と神経経済学は標準的経済学を変えるのか(経済理論の立場から)……瀧澤弘和 013
    1 はじめに 015
    2 行動経済学・神経経済学の誕生とその背景 016
    3 行動経済学の二つの流派 018
    4 標準的経済学からの反応 022
    5 この論争から学べること 024
    6 結論 028
    注 029
    読書案内 033

    意思決定モデルの精緻化は何をもたらすのか(神経経済学の立場から)……下川哲矢 035
    概説「本章では、主に神経経済学の観点から、経済学における意思決定モデルを巡る議論の一部を概観する。」
    1 合理性の仮定――なせ経済学は一見非現実的な仮定を受け入れるのか 037
    2 経済学における意思決定モデルを巡る議論――2つの方向性 042
      As if アプローチ/マインドフル経済学論争
    3 意思決定モデルの評価基準 046
      他者との社会的なかかわり/損失回避性、参照点依存性/学習、環境反応
    4 まとめ 053
    注 054
    読書案内 056

    脳と身体の機能が意思決定を規定する(生理心理学と認知神経科学の立場から)……[大平英樹] 059
    概要「……この章では、ダマシオの理論に基づいて、感情を脳と身体的反応の観点から捉え、意思決定における感情の機能について考える。……」
    1 はじめに 061
    2 感情的意思決定 062
    3 不公正な分配の感情的拒否 065
    4 リスク判断に影響する内需要感覚 068
    5 意思決定における搾取と探索 072
    6 意思決定における感情と身体的反応のはたらき 076
    7 おわりに――経済学に脳と心は必要か 077
    注 078
    読書案内 082

    経済学と脳神経科学はどのような関係にあるのか(科学哲学の立場から)……吉田敬 085
     概要「本章の目的は社会科学の哲学の観点から、経済学の自然化の射程と限界について考察することである。」
    1 序論 087
    2 社会科学の哲学における自然主義と解釈主義の対立 089
    3 グルとピーセンドルファーによる神経経済学批判 092
    4 社会科学と脳神経科学の段階的な関係 096
    5 結論 101
    注 102
    読書案内 103

    経済学の「認知革命」はどこまで進んだか(実験経済学の立場から)……川越敏司 105
    概要「脳神経系科学の成果を生かして意思決定時の脳活動を測定・観察し、経済理論の中核をなす効用理論やリスクに対する態度、社会的選好などを調べる神経経済学の研究は、経済学やゲーム理論における「認知革命」と呼応して、経済学研究においてその存在価値を増してきた。……」 
    1 進化心理学と経済学の自然化 108
      ウェイソン4枚カード課題/最後通牒ゲーム/不平等回避の選好
    2 ニューロ・エコノミクスへの道 113
      ムカデ・ゲーム/2つの解釈/戦略的推論の可視化1:美人投票ゲーム/戦略的推論の可視化2:最後通牒ゲームにおける情報探索 
    3 経済学の自然化の検討 121
      経済学者の典型的な反応/経済学の方法論・再考/実験経済学と行動経済学との関係/経済学の自然化の流れ
    4 問題提起 128
      進化心理学への疑問/ニューロ・エコノミクスへの疑問/方法論上の問題
    注 131
    読書案内 132

    “心”抜きの経済学は社会を幸せにできるのか(進化心理学の立場から……大坪庸介 135
    概要「進化心理学とは心理学全般を進化論という理論的な枠踏みでとらえ直そうとする分野である。〔…略…〕 本章では、消費と主観的幸福感を対象とした心理学的研究を例にとり、それがいかに経済学的な問題をを関連するかを議論する。」
    1 進化心理学とは 137
    2 経済学と実証研究 144
    3 顕示的消費から関係拡張的消費へ 149
    4 まとめ 154
    注 155
    読書案内 157

    マックス・ウェーバーと心理学・精神物理学(経済思想史の立場から)……八木紀一郎 159
    概要「……ここでは20世紀初頭のマックス・ウェーバーの社会科学の方法論をとりあげ、それが当時ようやく成果をあげはじめた心理学や精神・神経科学とどのような関連にあるかを考察する。」
    (注:節建て無し)
      マックス・ウェーバー再考/限界効用と精神物理学/精神物理学/ウェーバーの方法論的探究/「客観化」の断念/工業労働調査における精神物理学/文化史における淘汰と適応/現在の時点から見て
    注 179
    読書案内 180

    自然化すれども還元せず(複雑系科学の立場から)……橋本敬 183
    概要「伝統的経済学が依拠してきた人間像を改訂し、認知科学・脳神経科学・進化心理学といった自然科学的方法論により明らかにされつつある人間の社会性に基づいて社会科学を再構築する機運が高まっている。一方、相互作用とダイナミクスを重視する複雑系科学の立場から見るならば、社会には創発的な階層構造があり、また、主体(ミクロ)、制度(メゾ)、社会的帰結(マクロ)の間の循環的因果であるミクロ・メゾ・マクロ・ループによって動いている。そのため、社会の動きを社会的状況における個人の意思決定の集合に還元して理解することはできない。すなわち「自然化すれども還元せず」というスローガンが成り立つ。」
    1 はじめに 185
    2 自然化 186
    3 複雑系 188
    4 経済学の自然化に対する複雑系科学の立場 192
      筆者の立場/社会における創発的階層構造/生物進化と文化進化の接続/志向性の自然化について
    5 終わりに 203
    注 204
    読書案内 206

    あとがき(2013年5月 川越敏司) [207-210]

  • いろいろなアプローチから経済学と他の学問との関わりが書かれていて面白かった。
    記載が少し専門的で難しい感じがした。

  • 経済学で、合理的な人間の仮定を置く理由が今ひとつ分からなかったが、同じような疑問を持つ人もいる人がいて、安心できた。

  • 経済学と神経学の両方からのアプローチを試みていて、あくまでもその間隙は大きく埋めるにはまだはるかな時間を要する
    今のところはカーネマンで満足しておきましょう

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著者プロフィール

公立はこだて未来大学教授

「2021年 『基礎から学ぶマーケット・デザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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