民主主義は止まらない

著者 :
制作 : SEALDs 
  • 河出書房新社
3.27
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本棚登録 : 56
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309247632

感想・レビュー・書評

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  • P.24
    小熊:三人とも割と、そういう政治の話を周りの人とするわけですね。これは結構重要なことで、国会前に10万人集まっても、地域や職場では一人だけなら、選挙区での影響は待てない。気軽に周囲と活動や政治の話ができる関係が作れているのは、いいことです。

    P.48
    本間:もっと根本的に言うと、僕自身は「自由」と「民主主義」は普遍的だと思っているけど、今はすごく息苦しい。3・11の前は「新世紀エヴァンゲリオン」が好きでした。「もう息苦しいんだ!!!!」みたいな 、それは僕と同じだな、って思っていました。「僕は多感な少年で、色んな事考えてて、誰もわかってくれないんだけれど、気まずいから誰にも言えない」みたいな。そういう痛みや苦しみの心象風景を、みんなも思春期には持っているんじゃないかな、って思うんです。それを具体的に表現したり、声に出して変えていくのがアートとか政治じゃないかと考えているんですけど、なんで今はこんなに政治のことを、声に出して気軽に言えないんだろう。それは気持ち悪いと思っていて、ここを一番変えたい。
    この前、民進党の党大会で奥田君が「国民の政治離れじゃなくて、政治の国民離れなんじゃないでしょうか」と言っていました。僕ら国民は、なんだか置いてけぼりにされてるし、何か無視されているよねって言う感覚がずっとあります。なので、もうちょっとオープンなものに政治全体が鳴った方がいいんじゃないかと強く思っています。

    P.86
    本間:すべてのものは事後的に解釈されます。その場その場でそのことの意味を分かってる奴なんて一人もいないんじゃないですか。だから、今は半々なんですけど、今生きている自分が、過去に怒ったことをポジティブに評価できるように、生きていかなきゃいけないなという思いはあります。

    P.104
    内田:まだSEALDsができてひと月くらいの時で。学者の会もできたばかりで、まだお互いにできたての組織なんですけれど、既存の政党や、市民運動や労働運動をベースにしている組織は、どうしてもフットワークが悪い。運動に固有の文法みたいなものや、何とも言えない重さがあって、それが佐藤先生は嫌だったらしくて。学者の会はSEALDsと組んで運動を引っ張っていくといわれたので、ずいぶんSEALDsを高く買っているんだなと思いました。

    P.117
    大野:SEALDsとSEALDS KANSAIの違いは、やっぱりSEALDsは東京にあるから、どちらかというと「関東」というよりも全国レベルの運動だということを意識している。それは良くも悪くもなんですけど。運動の背景にある歴史も関東と関西で全然違います。寺田さんから聞いた話ですごく興味深かったのは、たとえば関西は人権教育の蓄積がすごくあるということ。被差別部落問題に関する授業があるんだったよね?

    P.131
    寺田:私もスピーチやる時とか、「政治のこと、そこまでわかってないからできるかな」と思ったんですけど、「それでいい、きっとみんなそうだし、だからこそ、政府にちゃんと納得できる説明をしてほしいってスピーチをすればいいよ」って言われて。だし化にそうやなと思って素直にしゃべってみたら、政治に全然関心ないと思ってた友だちから「私もそう思ってた」って言ってもらえた。政治に対して物申すとか、選挙に関わるとか、すごい遠い世界のことみたいに感じるけど、要は自分たちの生活について自分たちで決める、その代表を選ぶってだけの話で。

    P.143
    内田:SEALDsの運動の基本には、そういう人間の知性に対する根本的な信頼があると思うんですよ。無駄な議論を打ち切って、すぐに決めようという人たちは、長い時間をかけて琴の理非を検証すれば、人間理性は正しい結論に至るということを本当は信じていないんだと思う。それは、激しい言葉を使って、論敵を論破しようとしたり、罵倒したりする人たちもそう。衆人環視の中で人を「馬鹿野郎!」と罵ったり、完膚なきまでに論破しようとする人は、結局、聴衆の知性を信じていないわけです。
    SEALDs KANSAIが今やっている仕事、「困った、困った」と言いながら「あれをやってみよう、これをやってみよう」と次々に試みていることは、すごく迂遠に見えるかもしれないけど、長期的・集団的には人間は大きく判断を過たないという、人間の集合的な知性の働きに対する素朴な信頼が根本にあるような気がする。でも、今の政権ははっきり言って国民の知性に信頼をおいていないでしょう。情報開示しないのも、情報を全部開示すると国民は「間違った推論をする」と思っているからだし、原発や震災の被害状況を明らかにしないのも「パニックになるから」と言う。要するに、「お前たちはまともな判断ができないから、俺たちが変わって琴の是非について判断してやるから、黙っていろ」ということでしょう。だから、代わりに考えてやる、代わりに決めてやるという。SEALDsが提出した宴会の動議の「もうちょっと話しませんか。もうちょっと悩みませんか。もうちょっと困ってみませんか」の根本には、困っているうちに何とかなって、それなりの答えにたどり着くはずだ、と言う知性についての楽観主義があるような気がして、僕はそこにすごく共感するんです。

    P.158
    内田:保守の運動と言ったけれども、SEALDsが主張したのは「保つ、守る」というよりももっと緊急性の高いアピール、「ストップ!」ということだったと思う。昔の学生運動は、とにかく「チェンジ!」だった。体制を変えなければならない。根底的に変えなばならない。それは学生運動では常識だった。でも、SEALDsは、「変えろ!」じゃなくて「変えるな!」と言う。政治家が、あるいはビジネスマンやジャーナリストたちが「チェンジ!」と言っていて、学生たちが「ストップ!」と言っている。これは誠に奇妙な絵柄なんだけれども、僕は学生たちの方がずっと生き物として健全だと思う。だって、実際に「あるべき日本の姿」はもう憲法に書いてある。それを実現すればいいだけの話なわけですよ。だから「対案出せ」とか「ビジョン出せ」とかいう話じゃなくて、やろうよと約束したことをやろうよって話ですよね。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/66794

  • 309.021-ミン 300492055

  • 対談形式の章があったりしてSEALsのことがよくわかる.「惜しくも敗れはしたがその過程がもたらしたものは意義がある..」と言うような表現が散見される,結局,安保法案は可決され野党共闘は敗れ,大阪W選挙ではSEALs KANSAIは維新に負けた.自分たちなりに頑張った気になってるのはわかるがあまりにも反省がなさすぎる.また次もデモをするんだろうか?

  • SEALDsって,個々人の集まりだという事がよくわかった.若くてこんなに真剣に考えている人たちがいることは,日本もきっと大丈夫だと思わせてくれる.

  • かっこよくおしゃれに書いてあるんだけど、うーん、まだ足りない。もっと政治について、わかりやすく面白く教えてくれる人はいないのかなー

  • 新しい時代の新しい市民が産まれました。

  • いくつかのいいコメント、論稿があったけど、最後の牛田くんの後書きは良かった。過去と未来から問われている責任、それを自覚し、何度でも失敗して、また歩むことが自覚的な人なのかもしれない。

  • SEALDsの活動がよくわかる。

  • 今年ほど「民主主義」という言葉を見たり聞いたりしたことはなかったかもしれません。この国で当たり前だと思っていたこの社会システムが、どうもさらりと、誰も文句を言わないから勝手に踏みにじられるような感覚を覚えた人たちが、そうさせまいと声高に叫ぶ時代になりました。

    その代表的なけん引役がSEALDS。政治的無関心だと言われていた若い層が中心となって活動をしている団体ですが、彼ら自身は強制的に集まったわけでもなく、ただ何とかしなければという思いで行動している人たちの集まりで、個人個人の得意分野を活動に活かしています。

    この中心的メンバーと、現政権のやり方に疑問を感じている内田樹氏ら教授たちのやり取りと、メンバーの考え方がまとめられた本。サクッと読める内容です。個人個人の想いは粗削りな表現で分かりにくいものもありましたが、真剣にどうしたらこの国を変えられるのか考えている。今回の参院選で野党共闘に尽力したのも彼らだ。

    本書の中でうまい事言うな~と思ったところがある。

    現政権の決めたことに反対なら対案を出せと言われるが、あるべき日本の姿はもう憲法に書いてある。これを実現すればいいだけのことじゃないか

    という旨のことが書かれていました。

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