マンガのあなた SFのわたし 萩尾望都・対談集 1970年代編

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309273075

作品紹介・あらすじ

1970年代に行われた貴重な対話が一冊に。イラスト&解説文も多数掲載。

感想・レビュー・書評

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  • 主に70年代の、萩尾望都さんと錚々たるメンバーとの対談集。手塚治虫、水野英子、美内すずえ、小松左京、石ノ森章太郎、寺山修司、松本零士…とレジェンドばかり!若かりし頃の萩尾さんが初々しい。当時のSF、少女マンガ、アニメの興味深いエピソードが沢山登場し、興奮!レアで貴重なカットも満載です。何しろ70年代の対談ですから、今読むと「……時代だなぁ」と思うところも多々ありますが。
    ラストは羽海野チカとの語り下ろし対談、これが素晴らしい!そういう視点から作品を語るのかと、目から鱗です。特に…ハチクロ好きでもある私は、思いがけない事実を知り驚愕!いや読めてよかったわ~この対談。
    本書きっかけで、自分の中での萩尾ブームが再燃しております。未読作品はとことん読みたいし、既読作品も再読したいし、対談した先生方の作品も気になるし…。この一冊のおかげで、好奇心大いに刺激されました。

  • 萩尾望都 手塚治虫 水野英子 石ノ森章太郎 美内すずえ 寺山修司 小松左京 松本零士 羽海野チカ

    図書館で読んだが、まとめて読み返したくなって。
    人選はもちろんだが、各章の扉に掲載されている各人の写真が嬉しい。
    萩尾望都は漫画や発言を越えて、その顔すら好もしい。

    「百億の昼と千億の夜」連載前後。

    驚いたのは手塚治虫の結構メンドくさいジェンダー発言。
    超啓蒙的な手塚のことだから浅薄に差別と断罪できるほどの強烈さではないが、じんわりじんわりと透けて見える意識。
    性差別ではなく性区別だろという意識の一枚下がじわっと嫌な感じ。
    これが当時は当然だったんだろうな。

    寺山修司は別格に面白い。
    でももっともっと面白くなりそうな、種をバラバラ投げ出された印象で、嬉しいと同時に飢餓感。

    特別編の羽海野チカが、単にファンとミーハーに言うだけでなく、具体的に自作のどこが萩尾の何から影響されているのか、きちっと発言しているのが、凄い。
    萩尾も先人からの影響を具体的に例示できる人なので、同じ水準での会話になっている。
    そうか、はぐみはメリーベルだったのか。
    そして「ゴールデンライラック」を好きな人の話が聞けるのは、とっても嬉しい。

    引用されるコマが適切で、とても勉強になる。

  • これは一度読みかけたのだけど、最初の手塚治虫氏との対談がもう一つで、放り出してしまってた。なーんか「女コドモ」を侮った感じがそこはかとなく漂っているような…。まあ、この対談の時モト様はまだ二十代の娘さんではあるし、私は手塚氏にほとんど思い入れがない分、モト様に肩入れして読むせいかもしれないが、読み返してもその印象は変わらず。

    やっぱり面白いのは、水野英子先生、美内すずえ先生との対談だ。水野先生は少しお姉さん、美内先生は同年代の仲良し、いずれも「同志」という感じで、和気藹々と話がはずんでいて楽しい。

    水野「たぶん、中世でしたら漫画家は魔女だと思われますよ」
    萩尾「ああ、そうですね。あまり強そうじゃありませんけどね(笑)」
    水野「どこか、ぬけてますけどね(笑)」

    (幼い頃の話を、と促されて)
    萩尾「私はね、お人形遊びとか、お絵描きとか、近所の子に交じって縄跳びなんかもしたりしてたな」
    美内「へーっ、すごくまとも!」
    萩尾「ええっ、あなた何やってたの!?」
    美内「ロビンソン・クルーソーごっこ」

    最後の新規の対談は羽海野チカさん。羽海野さんもまた大の萩尾ファンで、「萩尾先生とお話しできて嬉しい!」という気持ちがひしひしと伝わってくる。

    萩尾「(『ハチクロ』を)初めて読んで、すごくかわいい世界で、大好きになりました」
    羽海野「わぁー!わぁー!」

    お二人は、マンガの構図のことやセリフ、背景、ポーズなど、制作上の工夫について熱心に語り合っていて、ここは絵のうまい(あらためてこう言うのも何ですが)人同士のこと、非常に読みごたえがあった。また、はぐちゃんのもとがメリーベルだったとはね。「はぐちゃんの方がかわいいけどね」などと萩尾先生はおっしゃるのである。

    手塚氏との対談時の写真が第1章の扉に載っている。モト様、若いなあ。当たり前だけど。一般に言う美人とは少し違うと思うが、何と言ったらいいか、精神的なお顔で、すごく惹きつけられる。

  • 比較的古いもの中心なので、昔の様子が分かって興味深い。
    今の漫画とは比べ物にならないくらい一般常識が違う中で描いていた人たち。
    歴史があるなぁって思う。
    やはり羽海野さんとの対談くらいになると、なるほどーと分かる事も多くてより楽しい。
    わたなべまさこは意外でした。
    それにしても漫画家さんてすごく考えて漫画を描いているのに
    世間では適当に描いてるんだろくらいに思われてる気がします。
    そんなに甘い職業じゃないよね。
    適当な人は適当故に面白くないのがすぐわかるしね。
    偉大な大先輩の足跡ってことで☆多め。

  • 70年代、80年代と出たら、90年代もあるのかなぁ~

    手塚治虫、水野英子、石ノ森章太郎、美内すずえ、寺山修司、小松左京、松本零士、羽海野チカ

  • 大大大好きな萩尾望都センセの1970年代の対談集。
    相手は手塚治虫氏や美内すずえ氏など7名+ハチクロの羽海野チカ氏。

    1970年代というと、私が生まれる前。
    その時すでに「ポーの一族」や「トーマの心臓」が
    存在しているということが、腑に落ちない。

    だって、今なお新しいし!!

    漫画家同士の対談は、構図がどうの背景がどうのってマニアックな内容。
    そうか、そこまで考えて作り込まれているのか…(当たり前か)。

    さて、望都センセの漫画読み直そうっと。
    1980年代以降の対談も待ってます!!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「今なお新しいし!!」
      うんうん、「ポー」は何度読んでもゾクゾクします。
      対談集80、90年代と出ましたけど2000年代もあるのかなぁ~
      「今なお新しいし!!」
      うんうん、「ポー」は何度読んでもゾクゾクします。
      対談集80、90年代と出ましたけど2000年代もあるのかなぁ~
      2012/12/27
    • みのさん
      90年代の対談相手が、とうとう私がリアルタイムで知っている方々になってきました。
      90年代って、最近だと思っていましたが…実はけっこう昔だっ...
      90年代の対談相手が、とうとう私がリアルタイムで知っている方々になってきました。
      90年代って、最近だと思っていましたが…実はけっこう昔だったんですね…。
      このままいくと2000年代も出るでしょうね。でも、最近すぎるので、2020年代になってからの方が、タイムマシン感があっていいかもしれません(^^)/
      2013/02/13
  • マンガの裏話や、萩尾さんのことが、いろいろ知ることができて、貴重な一冊です。

    本屋で衝動買いして、本当によかった!

  • 涙が出るような帯。このイラストを何度見かえしたことでしょう。「プチコミック」創刊号。1976年。

    • とーまさん
      とても素晴らしいことを教えていただきました。
      感動的な再開に、想像するだけ胸が熱くなりました。
      とても素晴らしいことを教えていただきました。
      感動的な再開に、想像するだけ胸が熱くなりました。
      2012/05/09
    • dahnagntl_Nfree1stさん
      とーまさん、よかったです。望都先生とその作品たちが人生に与えてくれた豊かさをふりかえると、ほんとうに胸がいっぱいになります。大人になったいま...
      とーまさん、よかったです。望都先生とその作品たちが人生に与えてくれた豊かさをふりかえると、ほんとうに胸がいっぱいになります。大人になったいま、エドガーがあのときに、ユーリがあのときに、帰らない過去に思い馳せていた気持ちが少し実感できるようになったかも…
      2012/05/10
  •  1970年代、『百億の昼と千億の夜』連載開始時の対談が多い。
     そのころマニア誌の用語辞典で「萩尾望都:最近は対談に意欲を燃やし、タイダンの妖女と恐れられている」と揶揄されていた。
     引用図版の配置ぶりが適格で、マニアが編集したことがうかがえる。
     巻末の語りおろし、羽海野チカの心酔ぶりが微笑ましい。

  • 1970年代、萩尾望都と手塚治虫、石ノ森章太郎、小松左京らそうそうたる面々の対談はかなり面白い。羽海野チカとの特別対談では、ハチクロの秘密も!!

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著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

萩尾望都の作品

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