- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309300276
感想・レビュー・書評
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人は綺麗にすればするほど汚さなくなる。
自分がこの本を読んで1番印象に残った言葉だ。
著者、鎌田氏は勤務していた商社を辞めて開園を控えた東京ディズニーランドで働くべく、新聞広告で見たオリエンタルランドの社員募集を見て応募する。
すべては新婚旅行で行ったカリフォルニアのディズニーランドに魅せられからだ。
しかしその後、驚くべきことに書類審査や面接で4回も落とされることになる。
ようやく念願叶って5回目の挑戦で採用となるのだが、配属されたのは清掃部門、しかも夜の清掃、ナイトカストーディアルだった。
鎌田氏は正直、がっかりしたと語っているが、気を取り直して清掃の仕事を学び始める。
そして、その清掃を学ぶ過程でディズニー哲学というべき、仕事を通じて人を幸福にする思想や考えに触れることになる。
ディズニーキャストのサービスの質の高さは今や誰もが知っていることではあるが、彼はその普通の人がディズニーマジックによって接客のプロになる秘密を知ったのだ。
そしてディズニーでも清掃は人々に夢を提供する大事な役割があることを知る。
やがてディズニーキャスト全体を教育する立場に昇格することになった鎌田氏、しかしそれは彼の人生にとっての通過点でしかなかった。
ディズニー哲学を元に人を幸福にする働き方を人々に教えたいと思った鎌田氏は、オリエンタルランドを退社し、ディズニーの教育理念を核とした人材育成や組織の在り方を教えるコンサルタント会社を立ち上げる。
顧客もいない中、旅行代理店と提携して講演会やセミナーを売り込む方法は、ディズニーキャストの働き方に注目が集まっていたこともあって、大当たりした。
順風満帆で成功した人生にもみえる鎌田氏だか、夢を諦めず何度も挑戦したことが幸運を引き寄せた、と自らが分析している。
また、意に沿わない環境だったとしてもそこで全力を尽くせば道が開けてくるのを本書は教えてくれている。
著者のディズニーランドでの清掃の師匠である、チャックボヤージンの言葉、冒頭に紹介した、綺麗にすればするほど〜は、単なる清掃を超えた哲学的真理に聞こえるのは自分だけだろうか?
不遇な環境に置かれた人々、夢と現実は違う、と思っている人に読んでもらいたい一冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本の企業が元気がなくなってきていると感じる中、ディズニー(オリエンタルランド)は変わらず夢の国。
ショーや新しいアトラクション、お土産、スタッフのおもてなしにも感動、熱意を感じる。あれだけ人が往来しているのに園内はキレイ。
社員が会社、ディズニーが好きだからディズニーの哲学がきちんと継承されていくのか。。?
ディズニーの清掃は専門部署になっていて、
食堂の排水溝の掃除は現場に責任において掃除するルールがあるが、どうしても忙しくて手が回らない時は清掃が手伝うようになっているようだ。
ただそれが当たり前になってくると清掃担当も自分達は下働きではないというプライドがあり違和感が出てくる。
どの企業にでもある問題がオリエンタルランドにもあり、この会社にますます興味が出てきます。