魚たちの離宮 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 988
レビュー : 74
  • Amazon.co.jp ・本 (150ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309403793

感想・レビュー・書評

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  • 夏の初めから病床に臥す友人・夏宿(かおる)を見舞いにきた市郎が、彼の家で過ごす4日間を描いた物語。家には彼ら以外に、夏宿の弟である弥彦、そして弥彦のピアノ講師である諒(まこと)が登場する。
    夏宿の屋敷のふもとにある池には鯉が住い、市郎は夜な夜なその池に降りるたびに夏宿の幽霊らしき白い姿と出会う。弟の弥彦は兄がすでに夏の初めに亡くなったと言い、ある鯉は彼の生まれ変わりだと教える。しかし日が昇れば夏宿は自室におり、床でいつものように本を広げている。
    最後まで夏宿の生死がはっきりしない、彼岸にいるような曖昧な世界観だった。家の周りでは木々が鬱蒼としていて、その環境が余計に外界と断絶されたような幻想的な雰囲気を醸し出している。あと夏宿の家業が紺屋ということもあり、夏宿や弥彦が身に付けている着物の表現が毎回丁寧で美しい。濃厚な藍色から伸びる夏宿の白い肌とのコントラストを想像すると、本当に浮世離れしていてこの世とあの世の境目が分からなくなる。

  • 長野さんが気になり始めた今日この頃。
    なんと私が生まれる以前の作品ですが、古臭さを感じませんでした。

    文字も大きく、わずか100ページほどの詩集のような本ですが、長野さんの世界観が濃縮されていて、流れるような文章が素敵です。

    幽霊がキーワードを握る作品ですが、妖しげな美しさがあり、夏宿の繊細な感じと溶け合って、作品に透明感が生まれていたと思います。

    もっと長野さんの作品を読んでみたいなぁ。。。

  • 市郎は、病気がちな友人・夏宿の見舞いに訪れる。夏宿に懐く彼の弟・弥彦や謎めいたピアノ教師。古びた屋敷を舞台に、少年たちはたった4日間を共に過ごす。

    謎は多く残るが、美しい描写に心奪われる作品。

  • 盂蘭盆.鯉.ピアノ.本
    不気味と妖艶の中間点の様な少年達。

    夏宿(かおる)と言う名前がとても好き。

  • 初期のあの独特な文語体?なんか????とちょい前のオチなんか関係ねえ考えるんじゃねえ感じるんだ!!!!!文法のハイブリッド
    今思えば兄に執着する弟、謎のピアノ教師、絶妙な距離を保つ友人関係、あの人は実はもうとっくに・・・、っていう長野節全開のテーマ・・・この頃からあったんだな・・・

  • 面白かったです。
    お盆の時期は過ぎてしまいましたが、この季節にぴったりで、冷たく澄んだ世界に浸りました。
    夏宿は初めから幽霊だったのだろうし、市郎と弥彦も最後は池へ沈んだのでしょう。
    市郎が終盤まで弥彦に翻弄されていて不憫になると共に、弥彦の不安定さと傲慢さも気になります。でも夏宿の儚さに惹かれます。
    ピアノ教師が不気味でした。
    ほととぎすを鏡暮鳥と書いてあるのは何か意味があるのだろうか…素敵です。

  • 私が生まれるより前の、昔のような雰囲気が静かで美しい。
    儚くなる、という言葉で表したくなるような死だと思った。

  • 夏なので夏っぽい長野まゆみ作品再読しようキャンペーンそのろく。8月が終わるので今年はこれでおしまい。でもお盆の時期に合わせて読めばよかったなあ。
    以前読んだのは10年くらい前なんやけどこれは結構覚えとった。(その代わり、夜啼く鳥は~の話が全然思い出せん。)
    懐かしい雰囲気のファンタジーで、ほんのりホラーテイストで涼しい感じ。
    生死の境界も夢現の境界もあやふやよ。
    ピアノ教師がぜんぜん意味分からんけども。

  • 水辺と死の物語で、「カンパネルラ」「夜啼く鳥は夢を見た」と似た雰囲気だった。
    詳細が明らかにならない結末なのでもやもやしたが、それが幻想的な雰囲気を高めているのかもしれない。
    ピアノ教師は何だったのだろうか…

  • 20160407読了

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)
東京都生まれ。一九八八年『少年アリス』で文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で泉鏡花文学賞、野間文芸賞を受賞。

「2019年 『掌篇歳時記 秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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