魚たちの離宮 (河出文庫 文藝コレクション)

  • 河出書房新社 (1993年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (148ページ) / ISBN・EAN: 9784309403793

みんなの感想まとめ

静謐で幻想的な雰囲気を漂わせる物語は、友人を見舞うために訪れた家での4日間を描いています。主人公は、病床に臥す友人の幽霊のような存在と出会い、彼の生死の境界が曖昧な世界に引き込まれます。美しい着物の描...

感想・レビュー・書評

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  • 夏の初めから病床に臥す友人・夏宿(かおる)を見舞いにきた市郎が、彼の家で過ごす4日間を描いた物語。家には彼ら以外に、夏宿の弟である弥彦、そして弥彦のピアノ講師である諒(まこと)が登場する。
    夏宿の屋敷のふもとにある池には鯉が住い、市郎は夜な夜なその池に降りるたびに夏宿の幽霊らしき白い姿と出会う。弟の弥彦は兄がすでに夏の初めに亡くなったと言い、ある鯉は彼の生まれ変わりだと教える。しかし日が昇れば夏宿は自室におり、床でいつものように本を広げている。
    最後まで夏宿の生死がはっきりしない、彼岸にいるような曖昧な世界観だった。家の周りでは木々が鬱蒼としていて、その環境が余計に外界と断絶されたような幻想的な雰囲気を醸し出している。あと夏宿の家業が紺屋ということもあり、夏宿や弥彦が身に付けている着物の表現が毎回丁寧で美しい。濃厚な藍色から伸びる夏宿の白い肌とのコントラストを想像すると、本当に浮世離れしていてこの世とあの世の境目が分からなくなる。

  • 長野さんが気になり始めた今日この頃。
    なんと私が生まれる以前の作品ですが、古臭さを感じませんでした。

    文字も大きく、わずか100ページほどの詩集のような本ですが、長野さんの世界観が濃縮されていて、流れるような文章が素敵です。

    幽霊がキーワードを握る作品ですが、妖しげな美しさがあり、夏宿の繊細な感じと溶け合って、作品に透明感が生まれていたと思います。

    もっと長野さんの作品を読んでみたいなぁ。。。

  • 盂蘭盆(うらぼん)の奇妙で静かな四日間を描いた不思議なお話。
    フランスの古い物語を読んでいるような、静かで仄暗い世界を美しい文章で心ゆくまで味わえる一冊です。物語がふんわりとしているので読後あれこれと思いを巡らせる事が出来るのも楽しみのひとつ。

  • 8月8日読了
    今読み終えたから☆4、お盆前じゃなかったらまた違ったのかな。
    作品のもつ静かさや夏の夜の冷たさ、ぬかるんだ土の質感を味わい、ストーリー掴みにくさに惹きつけられた。
    が、理解が追いつかなかった。

    弥彦と市郎は鯉たちがそうだったように、夏宿を送り届けたあと池に沈んだのかな。
    どうしてあの夜に市郎は遅れちゃいけなかったのかな?
    埋めたら生まれ変わる鯉ってどういうこと?
    ピアノ教師と弥彦のひそひそ話はなんだったの?
    そしてピアノ教師は何者だったのか…

    この災害レベルの夏に読んでも、ひんやり涼しくなる一冊。怖くてではなく、日本の夏の夜の音や景色や温度がそのまま伝わる文章で心地いい。
    お盆、亡き人を迎えるっていい文化だな。
    他の方の感想読み漁って2度味わおうかな。

  • 再読。主人公・市郎が友人の夏宿の見舞いをする4日間の物語。静かで幻想的な盂蘭盆の風景に、夏宿やその弟の弥彦、謎のピアノ教師の思惑が交錯する感じがミステリアスで惹きつけられた。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 親より噛んだ長野さんの視る幻想の味がします。
    小道具の凝りようが好きでした。

  • すごく輪郭が掴みにくいお話。私はとても好きでした。描写が本当に丁寧、衣擦れの音まで聞こえてきそうなくらい。また暫く経ってから読み直してみたいです。

  • 1993年文庫の初版を購入。めちゃくちゃ久しぶりの再読。
    当時、この小説が好きで、内容を理解したくて何度も何度も読み直したことを思い出した。

  • 幻想的で耽美で、夢のよう。8月が来ると必ず読み返す大切な作品。
    長野先生の語彙が大好き。

  • 市郎は、病気がちな友人・夏宿の見舞いに訪れる。夏宿に懐く彼の弟・弥彦や謎めいたピアノ教師。古びた屋敷を舞台に、少年たちはたった4日間を共に過ごす。

    謎は多く残るが、美しい描写に心奪われる作品。

  • 盂蘭盆.鯉.ピアノ.本
    不気味と妖艶の中間点の様な少年達。

    夏宿(かおる)と言う名前がとても好き。

  • 初期のあの独特な文語体?なんか????とちょい前のオチなんか関係ねえ考えるんじゃねえ感じるんだ!!!!!文法のハイブリッド
    今思えば兄に執着する弟、謎のピアノ教師、絶妙な距離を保つ友人関係、あの人は実はもうとっくに・・・、っていう長野節全開のテーマ・・・この頃からあったんだな・・・

  • 面白かったです。
    お盆の時期は過ぎてしまいましたが、この季節にぴったりで、冷たく澄んだ世界に浸りました。
    夏宿は初めから幽霊だったのだろうし、市郎と弥彦も最後は池へ沈んだのでしょう。
    市郎が終盤まで弥彦に翻弄されていて不憫になると共に、弥彦の不安定さと傲慢さも気になります。でも夏宿の儚さに惹かれます。
    ピアノ教師が不気味でした。
    ほととぎすを鏡暮鳥と書いてあるのは何か意味があるのだろうか…素敵です。

  • 私が生まれるより前の、昔のような雰囲気が静かで美しい。
    儚くなる、という言葉で表したくなるような死だと思った。

  • 夏なので夏っぽい長野まゆみ作品再読しようキャンペーンそのろく。8月が終わるので今年はこれでおしまい。でもお盆の時期に合わせて読めばよかったなあ。
    以前読んだのは10年くらい前なんやけどこれは結構覚えとった。(その代わり、夜啼く鳥は~の話が全然思い出せん。)
    懐かしい雰囲気のファンタジーで、ほんのりホラーテイストで涼しい感じ。
    生死の境界も夢現の境界もあやふやよ。
    ピアノ教師がぜんぜん意味分からんけども。

  • 水辺と死の物語で、「カンパネルラ」「夜啼く鳥は夢を見た」と似た雰囲気だった。
    詳細が明らかにならない結末なのでもやもやしたが、それが幻想的な雰囲気を高めているのかもしれない。
    ピアノ教師は何だったのだろうか…

  • 蛍を夏宿と見るシーンは、死に向き合うようで悲しくなって泣きそうになった…。
    お盆っていうものを改めて考えさせられる作品。

    死と再生を信じきっている弟の存在も切なく愛しい。
    お盆になったら、また。

    結末も本人たちにとっていいものなのか悪いものなのかわからない。

  • ちょっと不思議なファンタジーっぽい雰囲気で、お盆のお話なので時期的にはぴったりでした。
    長野さんらしい古くて綺麗な言葉遣いに癒されました。

  • 何と素晴らしい世界観なのだろうか ノスタルジックで幻想的な風景の中で過ごす少年たちの淡く儚い交流の様子が、繊細で趣深い描写によって綴られている いつまでもこの雰囲気を味わっていたいという気持ちになった

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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