現代語訳 古事記 (河出文庫)

制作 : 福永 武彦 
  • 河出書房
3.49
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本棚登録 : 712
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (455ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309406992

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに日本の神話も読んでみようと思い、この本を手にとったのですが、なんともやさしい現代語訳ににんまり(^^♪

    『古事記』はもともと漢文で書かれていて、その読み下しはなかなか大変のようですね。まるで外国古典の翻訳のように、現代語訳者による新たな創造に近い感じもします。戦争中は、『古事記』をたてに様々な言説が流布し、その反動で、戦後は冷遇されたようですが、日本の神話や文学作品として読むと面白いものです。阿刀田高『楽しい古事記』で彼が言うには、「歌って、殺して、まぐわって」。言いえて妙だな~♪

    ***雰囲気はこんな感じです。

    大国主神(オホクニヌシノカミ)には、80人もの母違いの兄弟がいます。みんなは、因幡(いなば、今の鳥取県)の美姫ヤカミヒメを妻にしたくてたまらず、求婚しようと出雲から因幡へいそいそ出かけるのですが、その中に、ちゃっかり大国主神もいました。

    『……こうして一行が気多の岬(鳥取市の西方)までやって来た時に、皮をはがれた赤裸(あかはだか)の兎が一匹、そこの浜辺に哀れな有様で寝ていた。兄弟の神々は、兎を見て言うには、「おまえがもとの身体になろうと思うなら、まず海の水でゆあみして、風の吹くところで乾かして、高い頂で寝ていればいいだろうよ」と教えてやった。これを聞いた兎はすっかり信用し、兄弟の神々から教えられたとおりにして、これで治ると思って寝ていた。ところが塩水がしだいに乾いていくにつれて、赤裸の皮膚は風に吹かれて引き裂かれ、その痛さ、その苦しさに死ぬばかりひいひい泣いて転がっていた。
    ところで、大国主神は、従者のように、一番最後から袋をかついでここまで来たが、泣きわめいている兎をみると、次のように声をかけた。
    「どうしてそんなに泣き泣き寝ているのだ? わけを話してごらん」
    ……中略……
    (大国主神いわく)「さあさあ早く、河の水が海に流れ込む水門のところまで行って、真水でお前の体をよく洗い清めなさい。そのうえで水門に生えている蒲(がま)の花の黄色い花粉を取ってきて、それを地面に敷き散らして、その上をぐるぐるころげまわってみなさい。そうすれば、お前の身体の傷だらけになった皮膚もきっともとのようにきれいに治るはずだから」』

    ***
    ひどい悪さをしたせいで、サメに毛をむしられた兎が、浜辺でしくしく泣きながら、蒲の花粉の上を転げている姿が目に映ります。全身まっ黄色のぼろ雑巾のよう。なんとも可哀そう~でも滑稽で可笑しい~。
    こうして「因幡の白兎」は、大国主神のおかげで傷も癒え、きっとふさふさの毛も生えてきたことでしょう。お礼に、兎は大国主神にめでたいご託宣をだします♪

    712年に書かれた『古事記』は、世界の神話とも相通じるところがあって、個人的にはとても興味深い読み物です。紀元前4000-3000年ころのシュメール神話(『ギルガメシュ叙事詩』)に登場するイナンナ女神とアマテラスはまるで姉妹のようですし、イザナギが恋しいイザナミを冥界から連れ戻そうとする冥界下りは、ギリシャ神話のオルフェイスとエウリディケにそっくり。創造性豊かで生き生きとして、笑えて飽きません。

    因幡の白兎のほかにも、有名なイザナギ・イザナミの国造り=「吾が身は成り成りて、成り合はぬところ一処あり……」(なんと大胆で艶っぽいこと、あとはこっそり楽しんでください…笑)、アマテラスの岩戸隠れ、ヤマトタケルノミコトの物語、山幸・海幸の物語、サホヒメ・サホヒコの物語……面白い話が満載です♪

  • 「撃ちてやましむ」が「撃つぞ 撃つぞ 撃つぞ」に訳出されてて、大分ゴキゲン現代語訳になってた
    あと大国主命の別名が葦原醜男なのを初めて知った ストレートに悪口

  • 私の乏しい知識では古事記のイメージってほぼ上巻ばかり

    覚悟はしてたけどカタカナの羅列に悪戦苦闘
    なんとかとりあえず読み終えました

    最近日本の神様を扱った小説をよく読むので読んでみようと思って

    新しい発見も沢山あったので良かったです

  • 2022-05-28 amazon 882円

  • 古事記の内容を忠実に現代語訳されていると名高い名著。

    古事記自体が名前の描写が多く、読みづらくはあるものの一つ一つのストーリーの描写は示唆に満ちていてその本意を理解することは極めて難しい。しかし、古書ではあるもののその考え方は決して古くはなく現代の我々に欠けているものを補ってくれるものであるとさえ感じる。

  • 231204053

    伊予之二名島である四国は体がひとつで顔が四つであった。神話であり歴史である古事記は面白い。

  • 日本人なら古事記を読め

    と言われるので読んでみたのだが、
    神道信者ではない身からすると、ツッコミどころ多過ぎるわ途中の家系図とか知らんがなって感じで読み飛ばしてしまった。
    ヤマトタケルとかヤマタノオロチの話などは教養としてストーリーくらい知っておいてもいいか

  • 意外とイザナギがえげつない。
    いくら奥さん大好きベタ惚れとはいえ、生まれてきたカグツチをころすのはどうなの(-_-;)
    あと、意外とアマテラスが影薄くて、本当はタカミムスビが皇祖神なんではないかな。

  • 初めて読みました~
    小さい時に読み聞かせてもらったヤマタノオロチ、因幡の白うさぎ、ヤマトタケルの話などなど
    「これか~!」
    と思いながら読み進めました。
    「天皇家の歴史まとめ」の性質があるので、物語として捉えるにはチョット大雑把な気がしますが
    切り取って話を作りたくなるようなネタは満載。

    個人の思想はどうあれ、
    西洋文化の下地に聖書があるように
    日本文化の下地にも古事記に記されているような「物の見方」が流れているように感じます。

    とりあえず名前が多すぎ&似すぎ&読みづらすぎ!(笑)

  • 分厚くて読み通せる自信なし。

  • 2/11は建国記念日
    名訳としても名高い現代語訳と、手に取りやすい文庫版で古典を味わえる一冊を。

  • とても幸せな読書を味わえた。貴重な時間であった。辞書と格闘しながらである。歌謡も情感あり楽しい。数々の発見があった。一例として、「尾張」が何か所も記述あり、「美濃」もあったが、「三河」「駿河」は無かったことである。素晴らしい日本の宝である。現代まで読み継がれてきたことを誇りに思う。

  • 福永武彦の古事記現代語訳本である。宇宙開闢から神話の時代の上巻、神武〜応神天皇までの中巻、仁徳〜推古天皇までの下巻から成る。上巻では、荒唐無稽な説話が語られているが、ギリシャ神話と同じように、妙に神々が人間臭いのが面白い。中巻からは天皇の系譜が語られている。168歳まで生きた崇神天皇、身長が3m余りあった景行天皇(子が80人もいたらしい)など尋常でないスケール感、25代武烈天皇の崩御の後世継ぎがいなくて、15代応神天皇の5世の孫(継体天皇)を担ぎだすなど途絶える危機があった。ひたすら誰々を妻として、子の名前が何々という記述が累々と続き、名付けへの思いが感じられる。改めて稗田阿礼の凄まじい記憶力に驚かされる。

  • 日本書紀と並び称されるが、こちらは本居宣長に見出されるまでは知られていなかったらしい。国造りの神話から始まって、推古までの歴代天皇の系譜・物語まで。性も人殺しも古代らしい率直さで語られていて、神様も天皇も現代的感覚からするとけっこうヒドイやつが多い。天の岩戸、八岐大蛇、因幡の白兎など有名エピソード以外にも面白い神話が多い。個人的にはアメノウズメがイイ感じ。

  • 2017年3月29日購入。
    2018年1月9日読了。

  • いやぁ、名前が長い(笑)途中で誰が誰やら…になりますが。神様が人間だった頃のお話です。

  • [ 内容 ]
    天地開闢から始まり、日本がいかに誕生して、神々や皇室の祖先がいかに活躍し、今の地名がどんな由来で名づけられたかなどを物語るわが国で現存する最古の典籍を、最も分かりやすい現代語訳で全訳した名著。

    [ 目次 ]
    古事記・上巻(宇宙の初め;神世七代;伊邪那岐命と伊邪那美命 ほか)
    古事記・中巻(神武―東への道;神武―征旅の歌;神武―七乙女 ほか)
    古事記・下巻(仁徳―系図;仁徳―嫉み深い大后と黒姫;仁徳―嫉み深い大后と八田若郎女 ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 八百万の神の話は面白いけど、天皇系図からは名前の羅列が多くてちょっと飽きる…。

  • 少しカタカナが多くルビも最初だけなので読みにくいという欠点はあるものの、全体を通してはまぁまぁ分かりやすかったですね。今まで学校で題名しか教えられなかったのでどんなものかと思い読んでみましたが、だいたい漫画とか小説とかってこういう古文書が基になっているのだなと理解しました。

  • 神話は昔よく絵本で読んで読んだなーと懐かしくなりました。
    訳がわかりやすくて読みやすい。
    近親相姦や一夫多妻制など、今とは異なる古代日本人の性の観念も読み取れて興味が持てた。

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