TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
4.11
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本棚登録 : 685
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309410821

作品紹介・あらすじ

「東京では1円もかけずに暮らすことができる」-住まいは23区内、総工費0円、生活費0円。釘も電気も全てタダ!?隅田川のブルーシートハウスに住む"都市の達人"鈴木さんに学ぶ、理想の家と生活とは?人間のサイズに心地良い未来の暮らしを提案する、新しいサバイバルの知恵がここに。

感想・レビュー・書評

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  • ホームレスのハウツー本かと思いきや、主旨全く異なる。言いたいことは最後の章。「建築」という概念に留まらず、それぞれの人の生き方に応じて「自然にあるべき形」が「家」であり「生活」なんだろうね。思いがけず感銘受けた本w

  • いわゆるブルーシートの家のお話
    なんていったらいいのか家の作りについての著者独自の視点を元に家についてのことが書かれていた

  • 坂口恭平『TOKYO 0円ハウス 0円生活』(河出文庫、2011)
    『TOKYO 0円ハウス 0円生活』の主役は、「鈴木さん」という隅田川沿いの路上住宅に住むおじさん。いわゆるホームレスなんですが…。鈴木さんの生活は一言でいうと「豊か」です。ライトがあり、テレビがあり、ラジオがある。定価1万五千円の高級鍋もある。簡易な風呂もある。なんでもある。挙句の果てに、一緒に住んでいるパートナーの女性までいる。家にあるものはすべて鈴木さんが拾って集めてきたもの。電気はガソリンスタンドからもらってきた自動車用バッテリーでまかなう。まさに本のタイトルにあるような「0円ハウス」。鈴木さんは「工夫して暮らすことがとてもおもしろいからこの生活をしている」、「コンクリートの家には住みたくない」といいます。著者が鈴木さんと信頼関係を築き、丹念なフィールドワークを重ねて、鈴木さんの快適な「0円ハウス」と豊かな「0円生活」を描き出したのは本当に見事です。この本には僕らが見ておいたほうがいい「もうひとつの日本」が描かれています。

    湘南OPAC : http://sopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1604526

  • 『TOKYO 0円ハウス0円生活』
    2023年12月20日読了

    2023年で一番おもしろい一冊だった。
    0円で家を建て0円で生活する、所謂ホームレスの方々への取材に基づく本。

    ここに登場する鈴木さんとみっちゃんが素敵だ。
    今の暮らしを楽しんでいるのが伝わってくる。調理器具も家具も家電もインフラも家すらも、自分で工夫して作り上げてきたものたちだから、それらに対する自信の持ちようが違う。
    暮らしへの、未来への自信の持ちようが違う。

    今の私たちは、家の中にどんな配線が通っているのか、家電がどのように動いているのかはもちろん、自分が今食べたものだって、何かよくわかっていないのかもしれない。それに会社や組織の枠組みからはぐれたとき、私たちはどのように生きていけるかもわからない。
    だからこそ、自分の暮らしや未来に自信が持てない。

    それに比べて彼らの生活は、どんなにか豊かであることか。自由であることか。


    現在はお金への需要が高まりすぎているように思う。
    お金さえあればなんでも手に入ってしまうから、わたしたち自身で作り上げること、修繕すること、工夫することを忘れてしまった。手間をかけて修理するよりも、新しいものを買った方が楽な時代になってしまった。

    鈴木さんが言っていた「現代の人々は物を捨てすぎる。物を大切にするということができなくなってしまった。」という言葉が胸に突き刺さる。

  • 旅のお共として。最近のお気に入り、坂口恭平さんの初期の作品。つーか、最初に出した路上生活者の写真集を出す前後の顛末をまとめたもの。ほんと0円で家を作るってすごいよな。こないだ防災の展示みたいなので出てた家みたいと思った。すぐに作れてすぐに撤収できる。ホームレスの人も少なくなったと思うけど、この鈴木さん達は今どうしてるんだろうなぁ。坂口さんもこの頃はまだ躁うつ病じゃなかったんだろうなぁ。

  • 建築家志望のみならず、意外かもしれませんがビジネスマンの営業にも役立つヒントを随所で感じ取ることができました。
    日々の営みを豊かにする生活の工夫など、たくさんのヒント、学びの多い本です。

  • 隅田川のブルーシートハウスに暮らしている鈴木さんとみっちゃんの話を著者が聞き出し、自分たちの生活する空間をデザインするような暮らしかたの可能性について考察を展開している本です。

    「解説」を執筆している赤瀬川原平は、「これまでにもホームレスの報告はあったのかもしれないが、あったとしてもそれはたぶん政治的な方向づけをもった上でのものだろうと思う。その場合は好奇心など論外のものとして、外されているだろう。その好奇心を、著者は百パーセント装備している」と述べています。本書のとくに後半では、著者が少年時代からどのようなことに関心をいだいてきたのか、大学の建築科在籍中にどのような体験をしたのか、そしてブルーシートハウスの写真集である『0円ハウス』の刊行後にどのように自分自身の活動内容を人びとに伝えてきたのか、といったことが記されており、著者の「好奇心」が形成されてきたプロセスを知ることができるようになっています。

  • 以前に『独立国家のつくりかた』という本を読んで面白いと思ったので、同じ著者の本を読んでみた。自分語りが多いので、たまに読むのがしんどくなるが、路上生活者の生活は魅力があり、自由について考えるきっかけになる。

  • 人間って本当はこんな生活だってあるんだ。もし災害で家が無くなってどうしようもないとなったら、と思ったら大丈夫なのかもと思えてきました。
    自分で拾ってきて作った家が芸術的。
    この作者の他のも見てみたいです。

  • 建物をもうこれ以上建てるな と言う言葉に非常に納得。
    0円ハウスの成り立ちも面白い、住人(設計者)も面白い。
    面白いだけでなく、都市設計って本来はこういう考えで動くものだと思った。

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著者プロフィール

1978年、熊本県生まれ。料理家、作家、建築家、音楽家、画家。2001年、
早稲田大学理工学部建築学科卒業。2004年、路上生活者の住居を収めた写真
集『0円ハウス』を刊行。2008年、それを元にした『TOKYO 0円ハウス 0円生
活』で文筆家デビュー。2014年『徘徊タクシー』で三島由紀夫賞候補、『幻
年時代』で第35回熊日出版文化賞、2016年『家族の哲学』で第57回熊日文学
賞を受賞。著書に『cook』『自分の薬をつくる』『お金の学校』『ゼロから
始める都市型狩猟採集生活』『現実宿り』『よみぐすり』など。

「2022年 『中学生のためのテストの段取り講座』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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