昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫 き 7-7)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 9189
感想 : 758
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309414263

感想・レビュー・書評

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  • 若くして亡くなった夫の家で義父(ギフ)と一緒に住み続けている嫁(テツコ)の話が中心。形容し難い独特のゆったり感の中で物語は、大きな事件もなく静かな波のように進んでいく。死んでしまった人に対する人間の想いを長時間見つめつづけて、どう生きていくのが自分らしさなのかを見つけていく物語なのかなと感じた。人の価値観はそれぞれで、こうであるべきというものではない。安心して体を楽に沈めていける環境に、身を置くべきなんだなと思った。
    焦ることなく納得するまで、自分自身をそこへ寄せていくそんな空気感をこの小説全体から感じた。ドラマも観てみたい。

  • ギフと呼ばれる義父と、亡くなった息子の妻であるテツコは、ギフの家で同居している。揺るぎなく当たり前に。
    初めの登場は微妙な岩井さんが、妙な存在感を発揮し始める。一樹の不在を受け入れた時、この家は岩井さんも受け入れる。ギフとテツコの住むこの家に岩井さんがやってきて、その生活が続くのだろうと思える。
    山ガールの師匠と、ギフのやりとりがとても良い。雪ダルマの人形を飛ばす話が好き。

    ドラマを知らなかったし見てもいないが、ちょっと見たかったかも。

  • 一章が短いからテンポよく読め、それぞれの登場人物の視点によって進んでいきながら徐々に繋がっていく構成。
    人は何かに縋って生きていて、私だけではなく余裕そうに見えるあの人も同じ。
    一寸先がどうなっているか分からない中を過ごしてるのだなと感じた。

  • 脚本家夫婦による初の小説。
    ゆったりとした独特の空気感でゆったり読める。
    ムムムってなんだろう?と興味が湧き読みだしたら止まらない。あ〜なるほどな〜。そうか〜と思える1冊。

  • テツコと亡き夫の父ギフとの生活を中心とした連作短編集。何か大きなことが起こるわけではないヒューマンドラマだが出てくる人々の気持ちに共感できるような優しいお話でした。

  • 夫亡き後も義父と同居なんてどうかしてる、、、
    なんて思いながら読んでみました。
    淡々としつつもコミカルな描写でギフとテツコの周りが語られますがなんと自然なこと、、、。
    2人の距離感が大人で絶妙。キーホルダーや車など鎖のように物語が繋がっていったのも面白かったです。ギフの妻の『生きることは動くこと。動くことは生きること。』という言葉が印象に残りました。それはギフとテツコの暮らしそのものだなとも思います。岩井さんとのあれこれもおもしろく一樹の死を義父もテツコも2人で共に受け入れるのだろうところもかなり切なくも温かい気持ちになりました。

  • テツコとギフ(義父)を中心とした短編集。

    各話ともにテツコ、ギフ(義父)及び、2人に関係する人物の様子を描いている。

    テツコは7年前に夫を亡くしているが、その夫の義父との共同生活は継続しているという一見奇妙な間柄となっている。

    2人はのほほんとした生活を送る一方、
    潜在的には「この生活を続けていいのだろうか」という思いがあり、様々な葛藤を巡らせている。

    過去の出来事に縛られて進めない状況の時など、前に一歩進むための後押しとなる一冊だと思う。

  • 2014年本屋大賞2位
    最近この作品を読んでる人多くて気になった
    特に何か起きるとかじゃなくヒューマンドラマなんだけど、ゆっくり受け入れる感じが自分好みでよかった
    特に山ガールの章の2人の掛け合いが漫才のようで最高だったし、登場人物たちも我慢してる部分はあるけど明るく、読んでても気を病むことなく進めれた
    本の題名はなに??となってたところ、出てくる章は言ってしまえばとても短く終わってしまう 全然物語を作り広げることだって可能だったと思う。でもこの短さが生きてる者に変にしがらみを与えずパッと光って消えるようなイメージで終わらせたのがなんかよかった

    好きなフレーズ引用
    オレくたくたになるまで生きるわ
    師匠の前ではまっさらなピンッとした自分でありたかった
    自分の呼吸の音だけを頼りに一歩一歩進んでいくと何もかもどうでもいいような気持ちになってくる
    無駄ってものがなかったら人は辛くて寂しくてやってられないのかもしれない
    人間関係というのは方程式のようにどんな数字を代入しても成り立つというようなものではない
    一樹もそれでいいと言っている
    動くことは生きること 生きることは動くこと

  • ああ、これは面白い
    登場人物がみんなキャラ立ちしててわかりやすいし、
    文体も読みやすかった。
    テツコとギフと周りの人の話。
    やはり生と死と愛と性がテーマ。大半のものはそうだが…

    どの人も自らの考えがはっきりしてて、
    辛いのだろうけれどその中で楽しんで生きてる感じはした。
    こうありたいなとも思った

    余裕を持って人に優しく行きたいね


    本作は連作短編でした。
    たまにこう人として考えさせられる作品に出会えると嬉しい気持ちになる

  • 温かい本ですなぁ。「世の中、あなたが思っているほど怖くないよ。大丈夫。」は響くねえ。テツコさんもギフさんも、特に岩井さんの印象が大きく変わったです

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著者プロフィール

夫婦脚本家。ドラマ「すいか」で向田邦子賞、「Q10」「しあわせのカタチ~脚本家・木皿泉 創作の“世界”」で2年連続ギャラクシー賞優秀賞。他に「野ブタ。をプロデュース」等。著書『二度寝で番茶』など。

「2020年 『さざなみのよる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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