いきどまり鉄道の旅 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 62
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309415598

感想・レビュー・書評

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  • 箸休め的お気楽読書をしようと手に取ったのだけど、意外にも読みごたえがあって、結構熱心に読みふけってしまった。いやもちろん、北尾トロさんなんだから、まったく肩の凝らない書きぶりで、とぼけ加減が絶妙なんだけど。

    どこにもつながっていない「いきどまり鉄道」に乗りに行き、終着駅周辺を見て回る、ただそれだけ。へんにほめたり感傷的になったりせず、感じたままが書かれている。「これが今の日本だ」なんていう決まり文句もない。そこが気持ちいいと思った。何よりいいのは、鉄道旅のルポでありながら、テツ成分が薄いことだ。あとがきに「真摯に『テツ』の道を追求する方々の役にはこれっぽっちも立たないです」とある通り。鉄道の成り立ちとかの説明が、細かい蘊蓄なしのほど良さで、とても読みやすかった。

    登場するのは主に関東のいきどまり鉄道で、ほとんど乗ったことのない路線ばかり。地図帳を前に置いて、「ふむふむ、ここか」と確認しながら読む。こことここをつなげるはずだったんだなあとか、この先が廃線になったのかとか、地図を参照するとよくわかり、より楽しめる。まず今後も行くことはなかろうという地名を見ていると、何だか不思議に旅情めいたものを感じてしまう。

    一番へぇーっと思ったのが、JR鶴見線の支線の終着「海芝浦駅」。テツでないのでまったく知らなかったが、なんと駅から出られないのだと。東芝社員専用の駅だそうだが、そんなものがあるなんて。ちょっと行ってみたくなった。

  • 行き止まりの鉄道路線、いわゆる盲腸線の終点
    を散策する散歩本です。

    鉄道マニアでもない著者が、適当に訪れますが
    それゆえ、最初は何となく「こんなもんか」で
    終わっていますが、だんだんとその街の文化的
    な面などに触れることにより、改めてその街の
    魅力に気づきます。

    また「以前訪れたあの場所と、ここは歴史が似
    ているのだなあ」と感銘を受けたり、内容が充
    実していくのが読んでいても実感してきます。

    やっぱり実際に行ってみないとわからないので
    す。

    そして実際に行ってみると、たまらなく楽しい
    時間を過ごすことができるのです。

    何もないけど何かある。

    旅の魅力が満載の一冊です。

  • そこに何があるというのだろう
    各地の行き止まりになった路線の行き止まり駅の行き止まり具合を確認し、周辺を散策する鉄道旅
    読んでいると行きたくなる

    グーグルマップを見ながら読むと現地の様子が少しわかりました

  • 終着駅がどこともつながらい鉄道。そんな「いきどまり」が主役の旅エッセイ。二十四歳差と親子ほど年の離れた男ふたりで、一日の大半を電車に揺られ、ときに泊まりがけで移動し、あちこちの目的地(=いきどまり)をゆるく語らう様子が十分にマニアック。全体的にコミカルで、コミックでも楽しめそうな本だなと思っていたら、最後に四コマの解説がついていた。現地での食事や休憩が、一種の賭けであるのも読む側としては楽しい。

  • 面白かったー。他の路線の話も聞きたい。

  • 鉄道ファンではない二人組の鉄旅。著者に邪険にされる同行者というのは内田百閒風、路線の選び方は宮脇俊三風。同行者の名前が宮坂と言うのもややこしい。列車に乗っている時には居眠りをし、盲腸線の沿線、終着駅にまつわる地理・歴史などの知識も浅く……というのは恥ずかしながら自分と同じだな~。銚子電鉄が少しだけ紹介されていたが、1章を割くほどでもなかったということか。残念。あと、カレーそばってそんなにメジャーじゃないのかな?

  • 肝心のいきどまりの描写より
    担当の人との会話がメイン
    それがなければ成り立たない
    担当者がいい味だしてる
    ★3にしたけど3に近い2.8だよ

  • <目次>
    第1章  わたらせ渓谷鉄道
    第2章  烏山線~真岡鐡道
    第3章  横須賀線~久留里線
    第4章  水郡線~ひたちなか海浜鐡道湊線
    第5章  名松線、加太線、水間線
    第6章  大井川鐡道
    第7章  吾妻線、信越本線、上信電鉄
    第8章  鶴見線、東武小泉線、秩父鉄道、青梅線、五日市線
    第9章  石勝線
    第10章  東武佐野線
    おまけ  越備北線、長良川鉄道

    <内容>
    鉄道知識やその地域に関する旅の知識も薄い、著者と編集者が「いきどまり線(盲腸線)」を巡る旅。全般に緩い雰囲気が流れている。一つだけ気が付いたのは、「信越本線」は、横川どまりの盲腸線になっているのだ。なんだか寂しい気がします。  

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著者プロフィール

本名、伊藤秀樹。1958年、福岡市生まれ。
小学生の頃は父の仕事の都合で九州各地を転々。東京都立日野高校、法政大学卒。 個人事務所(株)ランブリン代表。NPO法人西荻コム理事長。西荻ブックマークスタッフ。季刊ノンフィクション雑誌「レポ」編集・発行人。

「2011年 『【電子書籍版】昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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