白い薔薇の淵まで (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.98
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本棚登録 : 1412
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309418445

感想・レビュー・書評

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  •  「その本、買わないんですか?」
    の声がけから出会った2人の女性の恋愛。

     作者のあとがきに書かれていた
    “気が狂うような美しい小説を書きたい”
    という思いは、最初から最後まで散りばめられていたように思う。
    あまり得意ではない性描写を、しっとり、すんなり受け入れ、2人の求め合う衝動の激しさを感じ取れた。

     『白い薔薇の淵まで』のタイトルも良い。
    作品の中で、キーワードになっている。

     また、熱い気持ちになったり、うっとりするほどの恋愛小説を読みたくなったら読み返したいと思う。


     「その本、買わないんですか?」

  • 著者・作品の知識なく読み始めた
    恋愛モノはあまり好みではないのだが、思いっきり!!恋愛モノだった
    詳しく紹介するのを躊躇ってしまうほど性描写が何度も繰り返される百合小説であった
    しかし、それほどいやらしさは感じない

    穏やかでストレートの綺麗な平凡なOLと、性格が破綻していてわがままな売れない女流作家の阿修羅の恋
    二人の女性の激しい愛
    傷つけ合いながらも離れる事が出来ずに、修羅場を繰り返して行く__

    また東南アジアの国々が後半出て来るが、情景描写がリアル
    自分がそこにいるのではないかと思われる程

    作品のラストはどう解釈していいのかわからない程、謎が多い
    女流作家はいつ死んだんだろう、猫はどこに行ってしまったんだろう。。。
    古巻氏がキーマンなんだろうけど
    結末から冒頭へと繋がって行くのだろうが
    解釈は読者に委ねられ、二人の愛以外何も要らないと言われている様な気にもなる

    万人受けする作品ではないかもしれないが、出会えて良かったかも

  • 体を熱くしてしまうめくるめく展開 そして翻弄される快感 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/711627

    今こそ読んでほしい「20年前の恋愛小説」。とんでもない作品に出合った...。 『白い薔薇の淵まで』 | BOOKウォッチ
    https://books.j-cast.com/topics/2021/09/27016127.html

    今月の新刊ちょっと立ち読みコーナー
    集英社文庫
    http://bunko.shueisha.co.jp/yomi/0310_2.html

    白い薔薇の淵まで :中山 可穂|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309418445/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      本屋大賞の仕掛け人が「宝の山」から勧める、20年経ってもすごい本:丸善丸の内本店 高頭佐和子さん|じんぶん堂
      https://book.as...
      本屋大賞の仕掛け人が「宝の山」から勧める、20年経ってもすごい本:丸善丸の内本店 高頭佐和子さん|じんぶん堂
      https://book.asahi.com/jinbun/article/14497178
      2021/12/14
  • 若くて焦って焦らされて。そんな作品だった。
    私もこういう恋とか愛とか死とか運命とかそういう良くわからないものに翻弄されつつそれを超越してしまうような恋愛がしたい。相手が同性であっても、異性であっても、LGBTQであっても。

  • 濃密な恋愛小説

    こんなに実直であり破滅的な恋愛をピュアの一言で片付けられないよ。
    殴られて、目の前がチカチカした星の様な光を
    綺麗だなぁ
    って思った感じ…違うかな…
    暴力的な美しさを感じた作品。

    素晴らしい

  • 感想としては、こんな綺麗な恋愛小説を読んだことを、心から嬉しかった! そう感じました。ありがちな感想で申し訳ないですが。中山さんの実体験?かと思ってしまうほどリアリティが溢れていました。近年ニュースで取り上げられている「LGBT」問題
    この作品を通してそういった問題を考えるキッカケになったと思います。

  • 図書館で借りた本。同性愛の物語。初めての領域でドキドキしました。ジェンダーレスな最近の風潮に合致してるのかなぁ、描写が切なくて、少し暴力的で、そういう魅力も文章にはあるんだ〜と驚きでした。前向きで綺麗ばかりじゃない世界。
    物事の捉え方は多面的に、を意識しようと思います。

  • この作品を読んでいて、2人が付き合うにつれて、心身共に傷つけ合い、私生活までもが破滅していくようになってしまっているのならば、別れればいいのになんて思っていたが、中盤終盤まで読んだ後には、そこには当人たちにしか分かり合えない感情があり、他人の干渉の余地などない事に気がつかされた。

    また、同性愛という特別視されがちで、場合によっては差別をうける形ではあるかもしれないが、こんなにもお互いが求め合い、「どんな人間にもたったひとり、片割れがいるなら、私の片割れは塁だった。」・「塁と生きなければ、これからの私の人生は、喪失し続けるだけの人生になってしまう。」などと思えるくらい愛し合える関係性に憧れをすごく抱いた。

    もっとそういった作品を沢山読みたい。


  • 尾崎さんがテレビでおすすめしていてずっと気になっていた1冊。
    特に抵抗も偏見もなかったけれど、女性同士の恋愛小説を読んだのは初めてだった。

    濃密で、破滅的な恋愛。
    愛しすぎるあまりに互いを深く傷付けてしまう。好きすぎて、幸福が去ることを予感して不安になる。幸せなのに悲しくて涙が出てくる。
    二人でいたらどんどん闇に沈んでしまう。
    離れたいのに離れられない。
    二人でいたいのにいられない。
    そんな、真逆のぎりぎりの気持ちがひりひりと伝わる、切実な小説だった。

    本当に忘れられない相手がいる人、とてつもなく愛したことのある相手がいる人、その相手を失ったことのある人には、突き刺さるものがあるんじゃないかな。

  • これほどまでにいやらしさのないレズビアン小説はないと思います。クーチと塁の情念を感じる恋愛小説
    ラストシーンが人それぞれの、解釈をしてしまうミステリーな終わり方だと思います。この作品を読んで深く考えて下さい。悩んで下さい。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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