- Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309463445
感想・レビュー・書評
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スタージョンを読んで、NOVAの収録作品に納得。
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「輝く断片」と「マエストロを殺せ(旧題「死ね、名演奏家、死ね」)」は魔法のように素晴らしい。恐くて悲しくて不愉快で気持ちいい。
こんなの書けるひとはスタージョンより他に決していないよ!
スタージョン万歳だ! -
笑えるものから切ない怖いものまで、ちょっと不思議で変な物語ばかり短編集。
初めの二作品「取り替え子」「ミドリザルとの情事」はともに奇妙な味わいでちょっと笑える。爽やかな読後感で面白いです。特に後者、予想できない展開から、性同一性障害への偏見に対する皮肉をこめた作品かと納得しかけたら、さらに超展開で一瞬ぽかんとして、オチを確認して、なるほど傑作だと唸った。
後半の三作は、繊細で孤独な男たちの屈折した感情や狂気を、切なく破滅的に描く犯罪小説で、これまた傑作ぞろい。
『マエストロを殺せ』は、今回一番好き。音楽小説で犯罪小説。音楽グループの中で、卑屈な主人公が天才でイケメンで人当たりもいいリーダーであるラッチを殺してしまう。しかし、ラッチを殺してもラッチの影響は消えることがなく。いい人の保護下から抜け出したい主人公のどろどろした感情が小気味よいリズムで語られる。
『ルウェリンの犯罪』ルウェリンは、自分にも実はこっそり悪い秘密があるんだぜということを生きがいにしている善人。自分の悪い秘密が勘違いだったと気づいたとき、彼はワルにならなくてはという強迫観念に落ちていく。いくらがんばっても周りがいい人扱いするのが笑えるけど切ない。
『輝く断片』瀕死の女性を拾い懸命に手当てする男性。「おれ、全部やる」誰かに必要とされたいという思いが彼を偏執的なまでの看病と世話に駆り立てる。やがて来る彼女との別れの時、彼の取る行動は。 -
本のタイトルになっている短篇が切なすぎて痛すぎる犯罪小説集。
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奇妙な世界観と後味の悪さが印象的。訳者の技量の差なのか、もともとがそんな展開なのが気になるところ。
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前半3作品のアップテンポなコメディ色と後半のダークさの違いが大きい。マエストロを殺せが白眉の出来映え。語り口・落ちともにずしんと響く。輝く断片は少し受け付けず。
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『取り替え子』〜『旅する巌』までは(かろうじて)普通のSF短編集として読める。が、『君微笑めば』からいよいよこの短編集の本領といえる「異常心理」の色が強くなり始め、なんだかライトな入り口にまんまとだまされた感じ。緻密で、時に変質的とすらいえる心理描写にはぐっと引き込まれる反面、読後の疲労感もひとしお。良くも悪くも、非常に濃い作品集。
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とにかく前半が辛かった。内容もだけど、訳が合わなかった。
半ばあたりから唐突に文章が入るようになったなと思ってたのだが、丁度別の訳者に代わった話からだった。
よかったのは「マエストロを殺せ」、「輝く断片」。
表題作「輝く断片」は当時は斬新だったと思うが今となってはオチが読めてしまうのが残念。
一方で「マエストロを殺せ」は展開が分からず、ぐいぐい読み進んだ。
以前に読んだ「きみの血を」でもそうだったが、この著者はどうしようもない孤独を抱えた男性を扱うことが多いのだろうか。
彼らが孤独なのは、本質的に愛された経験がないか、もしくは愛されていても自らへの不信感からそれを受け入れられていないからだこういう気持ちはなかなか解消は難しい。特に自分とは真逆の恵まれた人間がいつも傍にいれば余計に。
思春期に自分の存在について多かれ少なかれ悩んだ人は、胸が痛むんじゃないかと思う。
そういう主題部分とは別に、音楽を中心にこの作品を見返した時、「殺人」の部分が気になる。
実際に音楽をしている人はこういう「生き方」についてどう思うんだろう。 -
SF?
「君微笑めば」「マエストロを殺せ」が秀逸。でも後者はSFの範疇なの?