サピエンス全史 下: 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309467894

感想・レビュー・書評

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  •  上巻と合わせて約一週間で一気に読んだ。単行本は読んでいたのだが、一回読んだだけではこの本の本当の凄さはわからないことを実感した。
     D・E・リーバーマンの人体600万年史を読んだ時に認知革命の前に「共感革命」があるじゃないか、それに触れてないのはどーなの?なんて思ったのであるが、再読してみると、その事にはあえて触れてないことがわかる。それというのも著者の興味は「サピエンスの未来」にシフトしているのだ!
     ホモデウスも再読することにしたいです。

  • 人類の統一(上巻から続き)
    宗教という超人間的秩序/
    歴史の必然と謎めいた選択
    科学革命
    無知の発見と近代科学の成立/科学と帝国の融合/
    拡大するパイという資本主義のマジック/
    産業の推進力/
    国家と市場経済がもたらした世界平和/
    文明は人間を幸福にしたのか/
    超ホモ・サピエンスの時代へ

    より良いもの、より強いものが生き残ってきた地球上の歴史。サピエンスも時々の選択を経て「今」があり、これからがあるのだろう。
    明るい未来へ続くのか、暗い未来へ続くのか………

  • 素晴らしいまとめ方。単なる人類史で終わるのかと思っていたが、最後の19章、20章で核心に触れてくる。長い歴史のなかで、狩猟採集時代から産業革命、IT革命、生物工学などを経て人類は様々な進歩を遂げてきたが、人々は「いったい何がしたいのか」という問いを読者へ問いかけている。

    幸せを求めて政治政策や革命を興してきた人類だが、「果たして中世の農民よりも現代のビジネスマンが幸せだと言えるのか」という問いに対し本書のははっきりとNoと言っている。なぜなら幸せというものは、物質の豊かさは関係なく、セロトニンやドーパミン、オキシトシンへの脳科学的な反応であり、いくら社会が進歩したからと言って人々の脳内のセロトニン濃度が高まるわけではないからだ。

    また、ここで仏教の考え方を持ってくるところも秀逸。人は快感を幸せと感じるが、それは長続きしない。本質的な幸せとは、寄せては返す感情の波に抗うことでも、返す波を引き留めることでもなく、ただその波を眺めることで得られる。

    ただし、これからの未来についての見解は壮大な物語を予見している。AIと人間の融合によって、これからの人類はネアンデルタール人とホモサピエンスとの差以上に進化していくかもしれない。

    人々はどこにいくのか。何がしたいのか。ネアンデルタール人の知能では私たちホモサピエンスの意識レベルを想像できないように、私達も未来の人類がどのような世界を生きているのか想像できないであろう。もしも物質=エネルギーであれば、私達もエネルギーの集合体であり、巡り巡って新人類に生まれ変わるかもしれない。その時まで想像を巡らし楽しみにこの世界を満喫すればよい。

  • 世界的ベストセラーと言われているほどの面白さはなかったかもしれない、、
    ただこういう本は読み手側の問題もあるだろうとは思う。

    『暇と退屈の倫理学』を読んでいたので農業革命付近までは納得しながら読んだが、それ以降は世界史の知識が乏しいこともあって飛ばし読み、アダム・スミスが出てくるところぐらいからようやく知識が追いついてきた感じ

    読んでいるとなぜかところどころ漫画のワンピースを思い出しました

  • 取るに足らない動物の一種だった人類がいかにして世界の覇者になったのか、そして、未来は現在より豊かになるというあくなき欲求のために、拡大してきた資本主義。イデオロギーの解説から科学的生物学的にも人類史を振り返らせてくれる名著であった。
    私たちは何を望みたいのか、筆者が文庫版の後書きにも書いた言葉。生物学的に言えば、私たちに存在しているニューロンが何を望んでおり、AIが発展してきている今こそ、この問いを真剣に考えることが幸せに繋がるように思えた。

  • 短い通勤時だけで読みすすめたので、2か月くらいかかったが、それはそれで良い時間を過ごせた。

    宗教とか資本主義とか文明とかが歴史として語られてきたときには、今まで仕組みとか表面しか見てこなかったことを痛感させられた。それらの深いところ、または大きく見たときに感じるべきことがあることにものすごく驚いた。
    そして、2014年に書かれてから、この10年での世界の大きな変化をどう感じるのかという疑問にも文庫版あとがきでお答えいただき、その内容にも感服。

    とは言え、理解できていないところもあるので、なんなども捲りかえしたい。

  • たまたま地球の王様となったサピエンスの歴史について追っていく内容。

    認知革命のくだりが面白かった。サピエンスが虚構をつくり、それを信じるようになったからサピエンスは世界の王様になった。

    最後の話はワクワクした。サピエンスがこれから幸福を本当に享受するにはどうすれば良いのか、、個人的には「足るを知る」ことをサピエンスが習得する必要があるのではないかと思う。

  • サピエンスの歴史を振り返る続き。
    大航海時代、産業革命、科学革命(イマココ)。

    隣り合う大地から海を越えた地域の征服、熱を動力に変換した自動化、自らを滅ぼしかねない力の獲得(核、サイボーグ、AI)。

    加速度的に未知の領域を自分たちのフィールドに変えていく快進撃の道半ばの今、サピエンスの幸福について言及しているところが本書らしく大変興味深い。

    生物化学を、歴史研究を哲学に結びつける瞬間を見せてくれる。

    幸福ホルモンが出る生活を求めるのがサピエンスの目指す道なのか。
    ただし薬物投与は避ける。なぜ?
    幸せは誰が決めるだろう。

    仏教的な悟りに今のところ穏やかな幸せの可能性があるようだったが、自分自身の経験を思うと、なかなか同意しかねる。

    確かに渇望は免れたが、何にも期待しない日常に面白みはないように思われた。

    期待しない。
    自分に、相手に、環境に、未来に・・

    ただ生きている。
    全て受け入れ流れゆくまま。

    刹那主義が解決だとは思わないが、希望のない未来に生きる気力は到底湧き得なかった。

    まだ仏陀の領域にはほど遠いということだろうか。

    構わない。
    自分は一度、幸せホルモン噴出を目指して奔走してみようと思う。

    希望が努力を助け、嬉しさを育み、次の希望と努力を生み出す。

    100年の人生をかけて喜び悲しみを積み上げることが、それほど浅はかなことだろうか。

    どうしてもそうは思えなくて、
    私は幸福を追求してみたい。

    「欲望には際限がない」ということを知っているだけでも、一度陥った希望のない日々の経験と掛け合わせて、頭でっかちな幸福人生に近づけるのではないか。
    乞うご期待。

    最後に、翻訳が大変読みやすかったことに感謝。
    それだけに訳者解説が本書の要約のみだったのが残念である。
    苦労話や思い入れなど伺いたかった。

    それとも今どきの翻訳本は、これくらいの読みやすさが当たり前なのか?
    自分自身の常識革命も必要だ。

  • 認知革命、農業革命、科学革命。
    ホモ・サピエンスは、認知革命において「虚構」を獲得したことで、唯一のサピエンス種に、そして地球上生物において支配的なポジションを確立した。
    狩猟民は定住を始め、富の貯蓄が可能な農業革命を迎えることで、種としての繁殖数が爆発的に伸びた。貨幣、帝国、宗教(イデオロギー)と結びつき、サピエンスの繁栄は勢いを増す。そして、大航海時代や宗教革命の到来により、神の文脈では説明できない事柄が明るみに出てきた。この時において、無知を前提とする科学革命が起こる。これまで、テクノロジーが国家と結びつくことはなかったが、帝国とテクノロジー、そしてこの時代に萌芽した資本主義が結びつき正のフィードバックシステムが作られたことで、科学技術はそれまでとは比べ物にならないスピードで発展していった。
    科学発展の産物として、人類はその歴史を終わらせることができる力を持ち得ることになった。しかし、その力の行使は集団自殺を意味し、これまでの所、地球規模に及ぶ心中は起きていない。(勿論、その日が明日である可能性はまだある)
    そして、その発展は地球史上、また人類史上のこれまでの進化とは全く別の次元に到達しつつある。
    これまでは、人類が生物種に影響を与えられる範囲としては、種の絶滅か交配選択による進化圧の加速程度であり、生物のコードであるDNAを随意に操作することはできなかった。しかし、ゲノム解析技術、サイボーグ技術、そしてコンピューティング技術の発展によって、新しい生命の創造、そして人類を超越する知能の創造が可能となった。
    技術の発展は必ずしも幸福と相関があるわけでは無い。人類とは全く別次元の存在を生み出したことが、未来にどのような影響を与えるのかは分からない、分かるはずもない。(チンパンジーは自分達が、将来、あるチンパンジーの肖像画が印刷された紙をありがたがって持つ世界を想像できないのと同様に。)

    我々人類に残された、向き合うべき問いは「私たちは何を望みたいのか?」であろう。

    また、個人的に長年の疑問であった「幸せホルモンに浸かれば幸福なのか」に対する答えというかヒントが得られた。ホメオスタシスにより、幸福ホルモンに永続的に浸かることを良しとして作られていないらしい。そして、その気持ち悪さが描かれた作品も知れたので、読んでみようと思う。

  • 歴史すげ〜
    人類はどうなっちゃうんだ⁉️

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著者プロフィール

歴史学者、哲学者。1976年イスラエル生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻し博士号を取得。現在、ヘブライ大学で歴史学を教授。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』。

「2020年 『「サピエンス全史」「ホモ・デウス」期間限定特装セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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