現代経済学のエッセンス: 初歩から最新理論まで (河出ブックス)
- 河出書房新社 (2013年10月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309624624
感想・レビュー・書評
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川越先生の一般向け・初心者向けの書籍ですが、非常によくまとまっていて、分量としてもできるだけ最小限で最大限の理解をさせるという、とても難しい構成に成功なさっています
ただ一つ、理解のために諸々の曲線を直線として書いているとのことですが、そこは曲線でも読者の大半に問題ないのではないかと感じました詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
将来も石油はなくならない。価格が上昇すれば需要が減る。
罰金を取っても遅刻はなくならない。罰金を払えば遅刻してもよいと考えるようになる。
パレード効率的とは、相手の利得を下げることなく自分の利得を上げられない状態のこと。
経済厚生学の基本定理=市場均衡は常にパレード効率的だが、所得配分によってはどのような配分もパレード効率的になる。
限界分析、均衡分析、構成分析
マルクス以降、ジェボンズ、メンガー、ワルラスの限界革命によって新古典派経済学が生まれた。
ケインズは市場の価格メカニズムが適切に働かない=価格硬直的のため、財政政策や金融政策が必要とした。
賃金の下方硬直性=最低賃金制など。
IS曲線=所得を横軸、利子率を縦軸、金融政策によってIS曲線が変わらなければ、所得が増える、財政政策によって、IS曲線が右にシフトして所得が増える。
リカードの比較生産費説=条件によらず常に成立する自明ではない法則。
貨幣数量説 MV=PT。貨幣発行量と流通速度の積は、物価と取引量の積に等しい。貨幣の中立性が成り立つはず。実際は貨幣錯覚により成立しない。
ケインズは、流動性選好説で、流動性を選好する度合いに応じて貨幣の需要が決まる、とした。
テイラールール 名目利子率=実質利子率+インフレ率+(インフレ目標との差)+(現実の所得水準と完全雇用時の所得水準との差)
横軸を所得、縦軸に利子率をとってMP曲線が描ける。
利子率が上がれば所得は増える。金融緩和によってMP曲線が右にシフトし、利子率が下がり所得が増える。IS曲線と同じ平面に描ける。
以前はISLMモデルと呼ばれたが、貨幣供給量ではなく名目利子率の操作に基づいているのでISMPモデルと呼ばれるようになった。
ISMPモデルにフィリップス曲線を付加したものがIS-MP-PCモデル。
フィリップス曲線は日本と似た形をしている。
フリードマンは、インフレ率を上げて雇用を増やしても、貨幣錯覚に気づけば長期的には自然失業率になる、とした。
ケインズは、価格の粘着性と不完全競争のためにインフレ率と失業率の逆相関が生じる=ニューケインジアンフィリップス曲線。MP曲線と同じ向き。
金利を下げて完全雇用を実現しようとしても、NKPC曲線によって金利が上がってしまうため制約がる。
情報の非対称性
アカロフ 中古車市場の逆選択。
効率賃金仮説=賃金が高いほうがさぼらない。情報の非対称性を解消するためのプリンシパルエージェント問題。
シグナリング。複数均衡の問題。
スクリーニング。
マイクロファイナンスとグラミン銀行は、グループで連帯保証をすることで、モラルハザードを解消している。
ベルヌーイのサンクトペテルブルグのパラドックス=必ずもうかる賭けでも、ある程度の金額しか出さない。=限界効用逓減の法則。
期待効用理論と非期待効用理論=プロスペクト理論、利益と損失では重みづけが違う。
曖昧性回避=あいまいなことを避ける=自国バイアスなどに現れる。直感に従った曖昧性回避は、期待効用理論に従えば矛盾する=エルズバーグのパラドックス。
曖昧性を回避するのは、最悪のケースを想定するから=マキシミン期待効用理論。
分散が高くなると曖昧性回避行動をとりやすいが、職探しでは逆になる。
ファンチャート=中央銀行の消費者物価指数などの見通し。
正の外部性=ネットワーク外部性
アファーマティブアクション=障がい者を雇用している会社の落札額を有利にする。
負の外部性=公害など。公害を出す会社との直接交渉によって資源配分は効率的に行われる。
コアの極限定理=ゲーム理論の参加者が増えれば、市場均衡に一致する。
マッチング理論=研修医と研修希望の病院をマッチングさせる。
私的価値オークションはどのような形でも収益同値定理で平均的な落札額は同じになる。
共通価値オークションは、求めるものの価値が同じなので競争が激しい分、勝者の呪いが生じやすい。
関連価値オークションは、組み合わせ形にキモがある。
コールオークション=板寄せ、ダブルオークション=ザラ場、ダブルオークションのほうが市場均衡に収れんしやすい。
ナッシュ均衡は複数存在する。どうやって複数均衡を解決するか。交渉した場合、ナッシュ均衡解と呼ばれる。
砂山のパラドックス=砂山から一粒取り除いても砂山である。とすると一粒の砂も砂山と呼ぶことになる。
経済成長の問題
ラムゼイ・キャス・クープマンズモデル=所得を消費と投資にどのように配分すると効用が最大化するかを出発点として、現在と将来の消費に関する割合を決定する。
生産関数、資本貯蓄方程式、人工成長率を勘案した経済成長率を出すと、生産関数が収穫逓減なら国家間の差は収れんするはず。
技術進歩や集約の外部性で、実際には収穫逓増ではないか=内生的経済成長理論。これによると国家間の差は開く。
マルクスは水とダイヤモンドのパラドックスを、労働価値説で説明した=使用価値と交換価値を区別すれば説明できる。
宗教の影響
宗教は民衆のアヘンである=マルクス。宗教のおかげで現実の不満に目を向けなくなる。
マックスウェーバーは宗教の世俗内禁欲が資本の蓄積を生んで資本主義の原動力になった。
正負の外部性では、性の外部性が大きいという結論。
宗教的な人が存在する社会ではパレード行為率的な結果が得られる。宗教を信じる者はたとえ損をしても精神的な利得があるため、協力することを選択する。その結果、協力がパレード効率的になりやすい。
ユダヤ教のタルムードによる破産問題。CG原理=争われた部分を均等配分する。
その場の恣意的なグループを作っても内集団と外集団との区別が生まれる=社会的アイデンティティをコントロールできる。比較制度分析。