- Amazon.co.jp ・本 (139ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309762104
感想・レビュー・書評
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次はアレクサンドロス大王。
ここ最近読んだ歴史ガイド本の中で一番面白かった。著者(インドア派)がアレクサンドロスの実際に進んだ行軍路を探るために虎も熊もでる山中を何日も実際歩いて…って。写真で載ってる熊の足跡デカすぎだし!
これまで古代メソポタミア・ペルシアと読んできて、戦っては滅ぼされまた復興して、と繰り返してきて既に歴史的に有名だった都市の数々を次々に征服してくのがなんかもう快感というかちょっと違うような。圧倒的すぎる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
写真資料が豊富で、まさに図説としての有用性が高い。
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アレキサンドロス3世の東方遠征の様子が、写真からイメージできる。
果てしない砂漠、恐ろしい崖地など
ダレイオス3世の最期までは詳しい
でも、やっぱり戦闘場面がもう一つ想像しにくい。
他の物語チックな本のガイドとして見てほしいなぁ -
フィリッポス
アレクサンダーの父親
前338年カイロネイアの会戦
マケドニア対ギリシアの最終決戦
マケドニア勝利。
150年前、ペルシア戦争でギリシア負けたので、それを大義名分としてマケドニアは東方遠征開始。
しかし、フィリッポスは娘のクレオパトラの結婚式で暗殺される。
→アレクサンダーがマケドニア王即位
ただし、20歳で若いため、征服された民族などが反乱し、それを鎮圧。約3年
→前334東方遠征開始
グラニコスの会戦《小アジア突入の戦》
前333イッソスの会戦
ダレイオス3世率いるペルシアに勝利
→ダレイオスの家族捕虜
前332エジプト遠征
シリアとフェニキア征服後、ペルシア支配されたばかりなので、ペルシアからの解放ということで簡単に征服。
→アレクサンドリアという大都市建設
前331ガウガメラの戦い
ペルシア軍に勝利
→バビロンやスーサの主要都市を無血開城。
前330
ペルセポリス侵攻
→ダレイオスはハマダーンに逃げる
《部下に暗殺》 -
コラムがとても面白い本なのです(後述)が、
ハイライトはなんといっても「ザグロス山脈を越えて」でしょう。
写真家の鈴木革さんは1956年生まれ
東京理科大卒業後コンピューターエンジニアになるものの30歳目前にリタイア。
その後途上国や秘境の歴史文化、自然を中心に撮影。
2005年よりアレクサンドロスの足跡をたどる撮影を行っています。
著者はこの鈴木革さんと同い年の大学教授森谷公俊さん。
私は先月森谷教授の『興亡の世界史アレクサンドロスの征服と神話』を文庫本で読みました。
文庫化される少し前の2011年~2013年、登山経験の無い森谷教授は経験豊富な鈴木さんと一緒に「イランにおけるアレクサンドロス遠征経路の実施調査」を行いました。
その成果が「ザクロス山脈を越えて」なのです。
高山病にかかったり嫌がらせを受けたり、大変。
しかし現在の政治情勢では欧米の研究者がイランで実施調査をすることは事実上不可能
日本人だから可能だったのです。
とはいえ、一般の日本人が思いつきで行くのはぜったい無理。
森谷教授お疲れさまでした。
13個あるコラムもとても面白かった。
考えたこともなかった「遠征軍の様子」が見えて。
たとえば計算によると、遠征軍の行進で、先頭が歩き始めてから
最後尾が動き出すまでに二時間位要する!
兵士たちは戦闘が終わるたびに仲間の死を悼み、
歩哨の際やテントの中で、あるいは行進しながら、
亡き戦友たちの思い出を語り合ったと思われる。
数万人もの軍隊の移動は、一個の都市が丸ごと動くのと同じ。
戦闘員のほかに、兵士の世話をする召使、兵士目当てに品物を売り込む商人、捕虜を奴隷として購入する奴隷商人、さらに娼婦達もいるー
この娼婦たち…考えてしまいました。
彼女たちは自分の意思で参加しているのでしょうか?
歴史本を読むとよく出てくるのが
「男は全員殺され、女と子どもは奴隷にされた」。
もしかしたら、この奴隷にされた女性たちが娼婦として参加させられているのではないでしょうか?(=従軍慰安婦?)
彼女たちの気持ちはどんなだったのだろう。