100の思考実験

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314010917

作品紹介・あらすじ

列車の暴走で40人が死にそうなとき、5人だけ死ぬほうにレバーを切り替えられるとしたらどうするか?身体と脳・生命倫理・言語・宗教・芸術・環境・格差…「ハーバード白熱教室」で取り上げられた「トロッコ問題」をはじめ、哲学・倫理学の100の難問。

感想・レビュー・書評

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  • 紙とペンを持ち出して徹底的に考えたくなる本。
    「苦しんでいる患者を殺すために多量の麻酔を投与するのはダメなのに、苦痛を緩和するために多量の麻酔を投与して結果として患者が死ぬことは道徳的に許される。この差はなんだろう?」というのが個人的にすごく興味深かった。
    100問も集めただけあって内容がほとんど被っているものや、あまり興味をそそられないものもあったが、それでも全ての問題で完全な解決が示されておらず考える余地が残っている点が良かった。

  • 考えないと脳が物足りないから時々読んでる。
    トロッコ問題がきっかけだったな〜

    こういうのが友人たちとの間で話せると面白いのだが。

  • 哲学・倫理学・論理学100の難問!一つの章が短く読みやすい。が、読んだ後ずぅっと考えてしまう。“思考実験”に挑戦しよう!

    Try the difficult puzzles of philosophy, ethics and logic!

  • 100話の例え話が面白い。 しかし、前後すると結構同じような例え話が並ぶ。 思考的にはやはり西洋風であった。 75話まで読破。

  • ありえないことを考えて、これから起こるかもしれないありえること、もしくはほんとうにありえないと思っていたことがありえてしまった時に備える、ということについて、考える。

    まあ毎日生きてるってそういうことなのか、とざっくりまとめてしまえばそれで仕舞いだが、たとえばこういう本を読んで、大仰な設定をゆっくり噛み砕いていくのも時には楽しいなあ、と思う。

    で、これは売り手としての感想なんだけれど、ツイッターなどで、この本のひとつひとつの設問について「答え合わせ」(とは言っても「正しい答え」がある質問などひとつもないが)ができるような仕掛けを作ったら面白いのでは、と思ったりもした。

    ハッシュタグで設問ごとに括って、おなじものを読んでいるのにも関わらず答えが(いやまあ、答えが140字で書けるような質問がないけど、だからそうねえ、感想が)違うのかあ、ってそれぞれに読者が感じたりできたら、本という装置を使った体験の、とても有益なやつを手軽にできるんじゃないかなあ、と。

    そうか、細かく章立てされていて、これっていう答えがないからこそ、面白い、っていう意味ではこの本はうってつけ、なのか?

    まあいいや、でもほんとうに、この問いに対して他のひとはどう思っているのだろう、とは、思う。

  • 面白いけど飽きた

  • トロッコ問題、マリーの部屋、中国語の部屋など、古典的な思考実験から現代的な思考実験まで、100の思考実験が紹介されています。各思考実験には、著者による解説が付いており、思考実験がどのように哲学や倫理学の問題に関係しているかを説明しています。

    本書はあくまでも、哲学や倫理学を学ぶための入門書です。思考実験は、難しい哲学の問題を理解し、議論するためのとっかかりとしては非常に優れたものだと感じました。そんな実験を通して、人々が自分の価値観や信念について考えさせられる内容にもなっています。
    哲学や倫理学を学ぶことに興味のある人ならぜひ手に取ってみて欲しい一冊です。

  • 理性を伴わない想像力はただの空想だが、想像力を伴わない理性は無味乾燥である。

  • 心に残った実験は下記3点↓
    ---------------------------
    07「勝者なしの場合」
    →結果がよければ何をしてもいいのか?
    ⇒相手を処罰するのが自分の場合と、自分以外の誰かの場合、しかもその処罰の内容が女性に乱暴すること…自分がやる方が手心が加わるのでましなのか?しかし罪は罪である。ならば断わるか?

    86「芸術のための芸術」
    →見る人のいない芸術作品は芸術か?
    ⇒確実に埋まっている超有名作家の世紀の傑作だが、空気に触れると破損するので埋めたままにしておく。それは芸術作品なのか?別の項と混ざってるかもですが、贋作は贋作とバレなければ賛美されるのだから作品としてはすばらしいのでは?問題に通じる。芸術は作者関係なくそれ自体を評価すべきなのは自明の理なのに、評価対象が埋まっていても傑作と呼べるのか?

    99「経験機械」
    →約束された幸福は幸福だろうか?
    ⇒現実の平凡な人生を生きるのか、バーチャルの約束されたすばらしい未来を生きるのか?
    ⇒つまり『マトリックス』状態なのだが、ほぼ皆さん現実を選ぶと思うんですよね。バーチャル状態でも肉体があんな状態であることを考えたら。

    本書にあるように『つまり、わたしたちは、自分にとって何が最善かを考えるとき、ただ幸福になりさえすればいいと思っているわけではない』。ここがハッと感じました。幸せ至上と思ってたから。

    人間って複雑ですねえ。


  • 『時間の観念から解き放たれないと向き合えない戯れのような存在』
    残念ながら、我慢して読んでいたが断念。
    それは、難しいという表現はあたらない。
    「読み進める意欲を醸し出してくれない」
    大学時代の授業でこういう感覚を味わったのを思い出した。高名な教授で受講生も多いのだけど、まったく授業に惹きつけられない。単位も欲しいし、必修だからなおさら辛かった。
    あの感覚。
    100のテーマ自体(特に副題)には惹きつけられるけど、【設問】を読んで、【解説】となると、なんか雲を掴むような感覚。この感覚を楽しめというのか、この感覚の奥にあるものを探り当てろというのか?【設問】立ち上げた問いを、蹴散らされて、取り乱されて、再度新たな問いを浴びせられた感じがすることが何度かあった。新たな問いを与えられるのは読書の喜びのひとつだけど、地に足がついていない状態で更に、大きな風船

  • 今まで聞いたことのある有名な哲学の話もあるが、それらもアレンジを加えて面白く書いてあってとてもいい。
    たぶんこれは一人で読むより、みんなで議論した方が面白い本。気に入った話を伝え合うのも良いかもしれない。

  • まず、変わった装丁に惹かれた。
    そして、著者が選んだ100題の哲学的問題の一つひとつが、
    それぞれ洒落たタイトルで、分厚いのに、通勤電車内での
    楽しみのためにカバンに忍ばせたい気分にさせてくれる。

    読み進んでいくと、一見シンプルながら、実は深い思考能力を
    試されるような問いに出くわし、納得できる解説に思わず膝を
    打ったり、中途半端に置いてきぼりにされたり。
    ただ、ジレンマの渦に楽しく巻き込まれていたら、おなじみの
    トロッコ問題でドキリとする主張に遭遇したり、格差原理の
    本質について改めて考えさせられたりと、自分の薄っぺらい
    思考に活など入れられてしまった。

  • サンデル教授の白熱教室にも出てきたトロッコ問題=「このままトロッコが進めば乗っている40人が死んでしまう、進行方向を切り替えることができるが、そうすると別の5人を轢き殺してしまう、どうすべきか?」を始めとした、どっちも微妙ですな~という問題を100も集めた本。

    『これは「読む」本ではありません。「考える」本です。』のキャッチコピーの通り、当然答えは書いていない。

    最近、どっちも微妙ですな~という問題を判断することが多く、何かのキッカケにできればと思って読みました。

    しかし、似たような話も多く、正直、100も要らない気が…というのと、通読するよりは自分に興味のあるものだけ読む方が楽しめるかも。

    最後はちょっと飽きてしまった。。。

  • それぞれの問題に対して簡単な解説があるが答えは書いていないので、答えを知りたい人にとってはフラストレーションが溜まりそう。

    100個もあるので、面白いと思った問題をメモしておくと自分が興味を持つ対象の傾向が見えてくる。自分はヒュームの問いに関心があるようだ。

    問題によっては、関心がわかないものや自分にとっては答えが明らかに思えるものもある。そういう問題こそ、自分が気づいていない視点や問題意識があったり、自分と違う考え方の人もいるのだと気づくきっかけになるのだと思う。

  • 他の思考実験の本に比べきちんとそれぞれの事例について解説があったし、100ちゃんと揃えてあるのが◎。トロッコ問題だけで10カウントするような本も多いので…

  • これは年単位でずっと読んでます。何度読んでも面白い。1個1個話が違うから、隙間時間に読みやすい。けど、考え始めると止まらない。なぜならこれといった答えは無いから。人と一緒に考え、共有するとよりよさそう。

  • 香美市図書館

  • いわゆるトロッコ問題などの倫理的なジレンマや、砂山のパラドックスに代表されるな言語哲学の領域まで、思考実験の形で問いが提供され、著者なりの考えが記述されているが、正解があるわけではないから、読み手が一緒に考えていける入門的な一冊。
    個人的には、色がそれぞれの人にどう見えているのか実は誰も知りようがないというのは考えたことがあったが、「痛み」というような言葉の裏側、個人の内側にあるもの、著者の言葉を借りれば「主観的経験」という箱の内側も実は誰にも分かりようがない、ということも同一線上にあり、改めて言葉の曖昧さや、言葉が指し示すものに話し手がどんな風に共通項を見出し「暗黙の同意」の上にコミュニケーションをとっているのか、再度思いをめぐらせた。
    一人の人間の同一性に向けられた疑問というのも、なるほど改めて考えてみれば、生物学的にどんどん細胞が更新されていって、考え方も嗜好も変わっていくのに、数年前の自分と今の自分の同一性というのは、「記憶がある」というあたりに根拠を置くしかないのかと面白く読んだ。
    脳と心の関係、自己という概念、宗教や芸術についての考え方など、深堀りすればキリがない話満載だから、ちょっとずつ考えては次に進み、軽いテンポで読み進むのが楽。

  • 考える本
    トロッコ問題に代表される思考問題をもとに物事を多角的に見ていく
    オチや正解があるわけではない

  • 150

  • 私自身、あまり理解できなかった。
    難しい…。

  • 私が思考実験にハマるきっかけになった本。
    ベタな「トロッコ問題」や「テセウスの船」だけではなく、著者自身が考えたユニークなものも入っていて面白い。
    たくさんの問いかけをしておきながら答えは全く書いていない。しかし、読者が自分で答えを考える方が楽しいと思うので、むしろそれで良いとおもう。

  • とても考えさせられるような疑問をひたすらに投げかけておきながら、回収しない。本当に自分で考えるための本。何も考えずに日々を過ごしている中で、ふと違和感を感じた時にまた広げたくなる一冊。考えることへのリハビリに。

  • 【電子ブックへのリンク先】
    https://kinoden.kinokuniya.co.jp/muroran-it/bookdetail/p/KP00018134/
    学外からのアクセス方法は
    https://www.lib.muroran-it.ac.jp/searches/searches_eb.html#kinoden
    を参照してください。

  • 「読む」のではなく「考える」本とあるように100の思考実験が書かれていて、それぞれに対して作者の見解が述べられていました。
    思考実験だけで考えさせられるようなこともあれば作者であるジュリアンさんの見解に対してさらに思考の幅が広がったりと哲学の本として読みやすいように思いました。

    特に私が面白かったのは「感覚と感受性」というところでのギャラフレイ星人の話です。

    人間と同じとされる彼らには人間が視覚で捉える光を匂いとして、聴覚として捉える音を見て、味覚として捉えるものを目で味わい、思考を聞くことができるのです。
    最初聞いてもイメージしにくかったのですが、人間が青色として捉える光は柑橘系の香りに感じることや第九が息を呑むほど美しい光として見ることができるという記述で理解することが出来ました。

    本当にそんな感覚を持った宇宙人がいて奇跡的に言葉が通じるのなら、自然遺産になるような世界の絶景はどんな匂いがするのかとか、J-POPはどんな風に見えるのか星空はどんな味がするのか聞いてみたいことが山ほど浮かびます。




    また、彼らは触覚のかわりに人間にはない「まるる」という感覚を持ちます。他人の動きを関節を通して知覚するというものです。これがあれば運動能力が低い人でも高い人の動きをそのまま真似することができて便利だと感じました。柔軟性や元々持っている手足の長さや身体の特徴でも完全に同じようにはできなくても相手の感覚をエンパスのように知覚するのはやってみたいものです。

    私が取上げたのはギャラフレイ星人の話ですが、他にも他人の家のWiFiを持ち主に害が及ばない範囲で使い続ける「ただ乗り」いう話や責任の所在についての「わたしを責めないで」、全く異なる動機から2人の人物が良い行いをする「心と頭」という話は自分が同じ立場だったらどうするか、なぜそうするのかより深堀して考えやすいテーマでした。

  • 一つ一つの説明は少ないけれど、その分浅く広く紹介されているので、初心者にはとっても優しい

  • ビーガンの人は生物の残虐な殺され方に嫌悪感を覚える人と、生き物を殺して食べることに抵抗のある人がいる。

    平等は貧しい人を不幸にすることもある。
    効率の悪いこともある

    浮気は、妻をセックス対象として用無しと認定した時おこる。問題を先延ばしにしている?

    多くの芸術家は作品を生み出す時点でそれがどのように古さびているのか考慮して作っている。
    芸術家は永遠の形を追求してきた??(人間は有限ってわかってるから?)

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著者プロフィール

イギリスの哲学誌「THE PHILOSOPHES」編集長。各紙誌への寄稿、テレビ出演などを通して哲学をわかりやすく一般に解説する。訳書に『100の思考実験』『哲学者は何を考えているのか』などがある。

「2020年 『哲学の技法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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