- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784320114708
作品紹介・あらすじ
数学を専門とはしないが必要とする学生向けの微分積分学の教科書。計算の仕方だけではなく,「これから何をやろうとしているのか,これは何のためにやるのか,それはなぜ成り立つのか,それはどのようなことに応用されるのか」といった点について,分かりやすく解説していくことを目標とした。
各節の構成としては,まず,その節で身につけてほしい内容をPointとして簡潔に述べ,次にそれを用いた例題を掲げた。このスタイルは,その節でどのようなことをやろうとしているのかを予め概観し,その上で詳しい内容を学ぶ方が理解しやすいとの考えに基づいたものである。ところどころ,節の最後に「これをやったらアウト!」というコラムも入れた。これは著者達の経験に基づき,学生諸君の犯しやすい誤りを掲げたものである。また,冒頭に述べた本書の対象者に鑑み,ε-δ論法は採用しなかった。様々な定理の証明も「厳密さ」より「どのようにして示すか」が理解しやすいように述べることを目標とした。あえて証明を省略した定理もある。
付録として高等学校までに学習している初等関数の基本的な性質やグラフなどを,復習を兼ねて掲げた。本文も,特に高校における「数学III」を未履修のまま理工系学部に入学してくる学生の増加を考慮して,高校で履修すべき内容も復習を兼ねて,その意味が伝わることを目指して論述した。
※本書は2018年8月に(有)牧野書店から刊行された『例からはじめる微分積分』を共立出版(株)が継承し発行するものです。
感想・レビュー・書評
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本書の目的としては、精緻に厳密に数学を行うことではなく、数学を必要とする学生がその基礎を例題等を糸口に身につけることである。そのため、イプシロン-デルタ論法などの難解な証明でつまづいてしまう数学初学者の入門書として優れているだろう。数学的説明のみならず感覚的に理解できる日本語の説明が付されているのも理解を助ける。加えて、微分の入り口からTaylor展開までの道筋がレイアウトも含め綺麗に整備されており非常にわかりやすい。一方で、実数の完備性など一部重要事項の証明が割愛されており厳密性には欠けるため、より厳密に数学を学ぶためには他の書籍を参照する必要がある点が玉に瑕である。しかし、人文科学徒でも数学的素養を身につける必要性が高まっている今、数学が苦手な人の最初の一冊には適しているのではないか。
(文科二類・2年)(5)
【学内URL】
https://kinoden.kinokuniya.co.jp/u-tokyo/bookdetail/p/KP00066081
【学外からの利用方法】
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus -
請求記号 413.3/B 12