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- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326200429
作品紹介・あらすじ
キリスト教的世界史は、ローマ帝国の滅亡、ルネサンス、地理上の発見、宗教改革、科学革命を経て18世紀まで生きた。これを否定し科学的世界史へと転換したのが、ドイツ啓蒙主義歴史学であった。本書では、この奇跡と功績を明らかにした。
感想・レビュー・書評
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「普遍史」という伝統的キリスト教的歴史思想の消長を追究する研究。初めに、アウグスティヌス以来のキリスト教における歴史思想の概略が描き出される。そこでは、聖書の記述にしたがって歴史がいくつかの時期に区分され、各時期の年数が割り出されていた。それが、ルネサンス以降、ヘロドトスなど古代の文献が再発見され、また中国史の情報がヨーロッパに流入していくにつれ、創造紀元の考え方に重大な問題が孕まれていることが明らかになりだす。普遍史の枠組みを揺るがす歴史的データ・自然科学的知見が増えていくなかで、18世紀後半のドイツでは、ゲッティンゲン大学の教授たちが普遍史の枠組みを再び確立させることを目論んでいた。その一人がガッテラーであるが、彼は聖書の記述とビュフォン以来の「博物誌」的知見とを整合させるべく、クロノロジーの問題に生涯こだわっていたことが明らかにされる。その彼も、最終的に「普遍史」というタイトルを「世界史」に変えざるを得なかった点に、著者は近代的な「世界史」というジャンルの実質的な成立を見ている。そして最後に、カントの一連の歴史哲学についての論考から、普遍史というジャンルの終焉が描き出されている。
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