ビールの自然誌

  • 勁草書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326750566

作品紹介・あらすじ

ビールという扉の先に、こんな豊穣な世界が広がっていたなんて。人も動物も歴史も自然科学も泡まみれにして惹きつけるビールに乾杯!

切っても切れない関係の人類とビール。もはやビールは普遍的な文化そのものなのだ。古代の醸造法へ、人気のクラフトビールへ、著者二人があるときは史料を読みこみ、あるときは世界中を旅して迫っていく。ビールのことなら人類誕生前から現代社会まで、科学的解説とともにお届けする、面白くて意外なお話たちのはじまりはじまり。

感想・レビュー・書評

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  • 4月23日は地ビールの日選考委員会が制定した地ビールの日。ドイツではビールの日である。1516年4月23日にバイエルン国王ウィルヘルム4世が「ビール純粋令」を発布しビールの原材料が定められたことに由来する。 - 日本食糧新聞電子版
    https://news.nissyoku.co.jp/today/638769

    ビールの自然誌 ロブ・デサール、イアン・タッターソル著 - 日本経済新聞(2020年4月4日 会員限定記事)
    https://www.nikkei.com/article/DGXKZO57624100T00C20A4MY6000/

    あとがきたちよみ/『ビールの自然誌』 - けいそうビブリオフィル
    https://keisobiblio.com/2020/01/24/atogakitachiyomi_beernoshizenshi/

    ビールの自然誌 - 株式会社 勁草書房
    https://www.keisoshobo.co.jp/book/b496478.html

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    ビールと言えばチェコなので、、、、

    チェコ共和国オフィシャルブログ閉鎖のお知らせ - チェコ共和国 オフィシャルブログ 見る、知る、チェコ(2024年4月19日)
    https://czechrepublic.jp/sneak-peak/closure/

    淋しいお知らせでした。。。

  • ビールの過去から未来まで,味から音まで,ありとあらゆる事象を網羅する.系統分析などデータマイニングの面白さもさることながら,温故知新の観点から今後のビールのあり方を予想し,文化としての嗜好品が生き物に他ならないことをまざまざと明文化していることに共感すると共に,これまで整理されていなかったビールの楽しみ方を会得した感がある.

  • 系統進化生物学の研究者である著者ふたりが、独自の視点でビールの歴史に迫った一冊。生物学と化学と学術的な系統分類によってビールとビールにまつわる人体のリアクションなどが解説されており、いわゆるふつうのビール本とはひと味違う感じ。

    それだけに咀嚼するのになかなか骨が折れるが、必要なところを抜き出して現場ですり合わせればとても役に立ちそう。ホップについてもまるまる一節20頁ほどさかれており、ためになる。

    一杯のビールをながめながら、そこに秘められた歴史に思いをはせ、化学的、生物学的な視座に立った分析的な視点を持てば、ビールという醸造酒は無限の可能性がある。

    日本にも少なくとも500社、アメリカにも5000社を超える醸造所があるというが、それぞれがどの視座に立ってものづくりをしているかはなんとなくわかってきたような気がする。

    個人的にはファッション、カルチャーとしてのビールではなく、化学、生物学の視点から農産加工品としての多様性、原材料の長を引き出そうとチャレンジしているブリュワリーにシンパシーを感じるし、そういうモノづくりに憧れるが、マーケティングやブランディんが不要かといえば、もちろんそうではない。

    アメリカでクラフトビール文化が花開いた理由には、もちろんインディペンデントな国民性があるのだが、歴史的な文脈でいえば、禁酒法によってたくさんの醸造所が駆逐され、大手資本による寡占が進んだ市場に対するカウンターカルチャーとして勃興した背景がある。そもそも禁酒法がなければ、今の百花繚乱、高品質なクラフト文化が生まれなかったと思えば、禁酒法もあながち悪ではなった(禁酒してもムダ、ということがわかったので)。

    一方、コロナ渦によって世界は社交としての飲酒文化を忘れつつあり、酒造業界も大きな影響を受けている。かつての禁酒法時代とその後に続く大量生産ビールの寡占時代のように、一度失われた文化をもう一度やり直すには長い時間がかかる。

    税法と感染症に振り回されるのは、いつの時代も酒業界の常。次はどちらへ行こうかと、身軽な方がしたたかに生き残っていくのだろう。

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    p.219
    アメリカのクラフトビール運動の出発点は、工業的なビール造りの拒絶だった。そして永遠の原点回帰までは望まずとも、いにしえの手仕事を探求したいという思いは工業化の反発と相通じるものがある。だれか太古のビールの再現を試みるのも時間の問題であった。

    p.236
    大東亜の反対側では、一九七〇年代の状況はまったくちがったものだった。合衆国には復活させるべき伝統が最初からないのだし、禁酒法とその後遺症が破壊したのは地元の醸造所にとどまらなった。かつてはビアホールや居酒屋で行われていた社交の一環としてビールを飲む習慣までが消えてしまった。取って代わったのは自宅の冷蔵庫から出してすぐ飲む極端に冷やした大量生産ビールだった。

    p.238
    大手のラガーと真っ向からぶつかっても勝ち目はない。それなら風味の豊かなエールとポーターでニッチな市場をつくりだそう。そう考えたマコーリフは、料理と合わせて行儀よく楽しめるビールを売りこんだ。

    p.249
    ビール造りはというのは単なる醸造ではなく、原材料の加工から副原料の利用に至るまで料理を作るような自由度があり、これがビールの多様化を許容してきた重要な要素になっている

  • ふむ

  • 生物進化学の方が書いてあることもあり詳しく深い。ビールの歴史や、素材ごとの原論検討、酔いの検討なと多角的にビールについて研究している。内容濃いめの本厚め。腰を据えて読みたい一冊。

  • 自然誌というか、博物誌であった。ビールって言っているが、クラフトビール。楽しかった。

  • 第1部は楽しく読んだが、第2部に入って主成分分析が出てきたところで急に分からなくなった。それはともかく、ビールに使うのはホップの実ではなくで花だと聞いて感心した覚えがあるが、「毬果」と書いてあれば実だと思うのも無理はない。国際苦味単位(IBU)などというものがあるとは、初めて知った。第3部第11章の「…脳にビールの塩辛さ、甘さ、苦さ、酸っぱさ(将来はもしかしたら「うまみ」の量も)の情報を投げつける。」(155ページ)という文を読んで、将来もしかしなくても、鰹節を使ったビールならもうあるぞと思っていたら、解説にも同じ趣旨のことが書いてあった。その章の扉に、昔バンベルクで買って飲んだAecht Schlenkerla Rauchbierのラベルが描いてある。「これはドイツ中部のフランケン地方の傑作「スモークビール」といって…」と紹介されているが、「スモークビール」などと言われると、何か別の飲み物のようだ。エールとラガー、どちらが上面発酵でどちらが下面発酵か、何度聞いても覚えられなかったが、今度は大丈夫かもしれない。ニキリンコ・三中信宏訳。2020年1月25日第1版第1刷発行。定価(本体2200円+税)。日経サイエンス2020年4月号「新刊Guide」。
    収録作品:「ビールの自然誌」、「解説 枝葉を広げるクラフトビール――ドレスデンの街角から」(吉澤和徳)

  • アメリカの分子統計学者と古生物学者の2名による共著。ビールが辿った歴史とビール産業の動向、そしてビールの原料や製法、五感に与える影響の科学的考察、といった内容。

    歴史の章はとても興味深かったが、科学的考察の章は自分にとっては内容がむずかし過ぎて、ほとんどの部分を読み飛ばしてしまった。ビールの系統樹を作るという視点は面白いが、もう少しわかりやすい図解を加えてほしかった。

    本作でも紹介されている通り、クラフトビールは世界的にブームを迎えており、手軽に様々な種類のビールが飲めるようになった。小規模ブルワリーに大手の資本が入り、価格が下がるのは良い事ではあるが、味の個性だけは失わないでほしいと思う。

  • OPACへのリンク:https://op.lib.kobe-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2002265460【推薦コメント:あなたがいつも何気なく飲んでいるビール その裏にはとんでもない長さの歴史があったのだ。科学的解説を交えつつ、ビールが歩んだ歴史に迫る!是非、一杯やりながら読んでください】

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50225299

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著者プロフィール

ロブ・デサール(Rob DeSalle) 
分子系統学者。アメリカ自然史博物館サックラー比較生物研究所の学芸員で、微生物学研究のプログラムを担当している。邦訳書に『マイクロバイオームの世界:あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち』(紀伊國屋書店)。イアン・タッターソルとの共著に「ワインの博物誌」、「脳:ビッグバン、行動、信念」がある。ニューヨーク市在住。

「2020年 『ビールの自然誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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