山岡鉄舟幕末・維新の仕事人 (光文社新書 50)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334031503

感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしながらこれまで知らなかったが、江戸城無血開城の幕府側のキーマンとして名前を知った。その後は新政府側で廃藩置県に伴う各県の知事を歴任したり、明治天皇の家庭教師などをしている。剣や禅の名人でもあったようだ。評して、『命も要らず、名も要らず、官位も金も要らぬ人は始末に困るもの』、という談があるそうだが、その時代にあってそのような人だからこそ名を残したのかと思う。

  • 素材はいいので時系列で書いてほしかった!

  • 友人に鉄舟の大ファンがいて、あまり興味はなかったが読んでみた。江戸無血開城に大きくかかわった人、禅、書道、剣の達人、生き方は名誉を求めず自分の進むべき道を淡々と歩むような人。

  • [ 内容 ]
    山岡鉄舟と聞いて、どのようなイメージを持つだろうか。
    一般的には禅と書と剣の達人だろう。
    新撰組ファンならば、その前身である浪士隊のエピソードで記憶に残っているかもしれない。
    他に、明治天皇の家庭教師、清水次郎長との交友が知られているところだろう。
    少し歴史に詳しい読者なら、江戸城無血開城における勝海舟・西郷隆盛会談に先立ち、彼が幕府特使として官軍に派遣されたことを思い出すだろうか。
    本書は、新たな資料と取材、そこに若干の想像力を加えて執筆したものである。
    彼は、優れた交渉人、行政マン、経営者であり、危機管理の達人でもあった。
    そんな新たな鉄舟像を軸に、激動の時代を読み解いていく。

    [ 目次 ]
    第1章 江戸の危機を救った男(江戸城無血開城の謎;西郷・勝会談説と欧米圧力説 ほか)
    第2章 ボロ鉄の剣と禅(鉄舟を育てた飛騨高山;四男なのに“鉄太郎” ほか)
    第3章 徳川大リストラ時代の行政官(徳川三百八十万石が駿府七十万石に;彰義隊 ほか)
    第4章 明治天皇の家庭教師(「宮中に入ってもらえますか」;西郷からの依頼 ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 他の鉄舟本にはあまり取り上げられていない、後年のマネジメントの人でもあった彼の姿がコンパクトにまとめられていて、非常に便利。

  • ブログ「内田樹の研究室」にて、メタキャラクターという位置づけで紹介されていた山岡鉄舟について、とりあえず手っ取り早く概要を知るために新書を買ってみた。◆幕末に幕臣の鉄舟が、官軍のただ中を抜けて、西郷隆盛と会い、江戸での決戦をくい止めたらしい。交渉の場を作る能力、交渉をまとめる能力、ともに優れていなければ不可能なことだ。交渉をコミュニケーションと置き換えれば、最近の社会に欠けているものを知ることもできるだろうと思って読んだ。◆著者が鉄舟に心酔しているので、しばしば持ち上げ過ぎではないかと思われる破綻が見受けられるけれども、心酔しているからこそ書けるところもあるだろうと思うことにして読むといい。◆乱世に輝く人だ。もちろん、それだけではない。ただ、歴史上の偉人が、後世の人間から見ると馬鹿じゃないかと思えるような失敗で失墜するというのはよくある話だ。こうすれば良かったのに、と後からならいくらでも言える。それをその時代にやっているのがすごい。◆そういったことを、作者の文章からではなく、事実らしき部分を集めて読むと見えてくる。あまり山岡鉄舟に関する書籍がないので、本書は入門編としてよろしいのではないだろうか。

  • 剣と禅の達人であるが、酒好き、女好きの極貧の旗本、山岡鉄舟(鉄太郎)。
    江戸城無血開城における勝海舟と西郷隆盛の会談に際し、幕府の特使として活躍した鉄舟に関する書は思いのほか少ない。
    著者・佐藤寛は、彼を優れた交渉人、行政マン、経営者、そして危機管理の達人と位置づけて、激動の幕末を読み解く。
    痛快に読み進めることができる良書。

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著者プロフィール

開発社会学舎主宰(アジア経済研究所名誉研究員)
〈主な著書・論文〉
『コンビニからアジアを覗く』(編著)日本評論社、2021/『開発援助と人類学』(編著)明石書店、2011/『開発援助の社会学』(単著)世界思想社、2005/「戦後日本の生活改善運動」『開発学を学ぶ人のために』(菊池京子編)pp.144-163、世界思想社、2001/「日本のODAの存在意義」『国際開発研究』第7巻第2号、pp.9-25、国際開発学会、1998
〈自分にとっての「戦後研究」の意味〉
大学の卒論で『開発社会学序説』を書いた時から「内発的発展論」は私の中で未解決な問題として残っています。そして途上国の発展と開発援助を考える際に、日本の発展の軌跡をどう捉えるか、明治維新と戦後復興を開発の文脈でどう相対化するか、がこの内発的発展論問題を解く鍵を提供してくれるのではないかと思っています。その意味で戦後研究は私の開発社会学研究にとっての「宝の山」なのです。

「2023年 『戦後日本の開発経験』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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