オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334032661

感想・レビュー・書評

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  • 男女雇用機会均等法なんかもありますし、今や女性もバリバリ働く時代ですけれども、男性と女性の身体の仕組みは違いますし、その辺無視してると身体に無理がきまっせ。というお話です。昔の人は生理の処置をどうしてたか?なんておもしろかったです。

  • このところ、見た目も心もあまりにも!あまりにも酷使というか、女性から遠ざかっていて…、ふと鏡を見た時に、思った。
    「このまま年齢を重ねるのが、怖い」

    というわけで、少しでも女性としての力を取り戻すべく、たまには小説以外にも触れてみよう、と買ってみた。

    まるごと、鵜呑みにしてはいけないとは思うけど、これから先、生きていく時間のほうが長いはずだから…、女性としての自分も、大事にしよう、と思う1冊だった。

  • 気づきがあった。
    買っておきたい。

  • 『身体知』という言葉は前から気になっていて、ちょうど仕事場にあったので読んでみた。単に『日本がオニババ化する』という極論はいただけないが、この本の言わんとすることは『身体知』なんだなと思った。そこは単純におもしろい内容だった。だから昔は良かったとか、今の女性がダメというのではないと思うが、知っておいて損はない話。いろんな事を知った上で、今後の『女性』の動向を見ていくのはおもしろいんだろうな・・・と思った。

  • 「オニババ化」とは何とも挑発的なタイトルですが、わざと煽って
    いるようであまり好きではありません。出版された時、結構な話題
    になったことは知っていながら、あえてこれまで読もうとしなかっ
    たのもそのためです。しかし、妻に以前から薦められていたことに
    加え、久しぶりに会った後輩の女性が本書を読んだことをきっかけ
    に生き方を変えたというので、読んでみようと思ったのです。

    「オニババ」というのは、昔話に出てくるオニババや山姥のことで
    すが、著者は、性と生殖に関わるエネルギーが満たされないと、女
    性はオニババになってしまう、という話から始めます。だから、身
    体が求めるものに正直になり、ちゃんとお産やセックスをして、子
    どもを育て、自分の世代が受け継いできたことを、次の世代に伝承
    していく。そうやって、からだと向き合って、気持ちよく生きてい
    れば、オニババになることなく、スッと枯れることができて、満た
    された一生を送ることができる。そういう人生を送らないと女も男
    もダメになってしまう。それが本書を通じての著者の主張です。

    男性がこんなこと書いたら社会から抹殺されること必至ですが、女
    性の健康のあり方を研究し、国際協力等の分野で実践されてきた方
    だからこそ、許される言葉なのでしょう。それでも、子どもを産ま
    ない、或いは産みたくても産めないという事情を抱えた方々には、
    反発を買うかもしれません。実際、「さすがにここまで言い切るの
    はどうか」と思う箇所も多々あります。

    ただ、根底にある、自己や他者との関係のあり方を、身体のレベル
    から捉え直そうという考え方、そして、この世に生を受けた限り、
    連綿と続く生の歴史に自覚的になり、自らが知り得たことを次代に
    もきちんと伝えていこう、という考え方には、全面的に共感します。
    お産や女性の身体のことばかりを取り上げているように見えますが、
    著者が一番伝えたいのは、受け継ぎ、受け継がれていく生命への敬
    慕の念であり、そんな生命をきちんと受け止めることに対する責任
    感なのだと思います。それは、女性も男性もなく、この世に生を受
    けた存在である我々全てがもっと自覚すべきものです。

    そういう意味では、本書は、月経もお産も経験できない男性にこそ
    読んで頂きたい一冊です。自分の身体だけでなく、パートナーとの
    向き合い方や触れ合い方について考え直すいいきっかけになると思
    います。また、お産や子育てのことはさておき、月経との付き合い
    方という意味で、女性にも得るところが多いでしょう。全ての方に
    無条件でおすすめできる一冊ではないのですが、興味をもてた方は
    読んでみてください。

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    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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    今の95歳以上の女性は、月経血をある程度コントロールすることが
    できたといいます。(…)月経中は、ある程度自分で膣口を締めて
    月経血を止めることができたというのです。しかしこの身体技法は、その下の世代にはまったく伝えられていません。

    「おひし」というのは、女性性器をあらわす美しい上方言葉です。
    ひな祭りの菱餅は、「おひし」の菱なのだそうです。(…)わたし
    たちの文化は、こんなに美しい言葉を持っていたのだな、とあらた
    めて思います。

    1920年、30年、40年代はまだほとんど自宅出産で、産婆さんが取
    り上げていた時代です。それが、60年代ぐらいからちょうど半々に
    なったあと、急激に施設化の波が進んで、今はもうほとんどのお産
    は施設で行なわれています。

    出産で本質的な身体経験をした人は、「何をやっていても、何があ
    っても、私はこの経験に戻っていく」というようなことを書きます。
    自分のからだの経験でこれが一番いい状態だったのだ、ということ
    がわかるということが、自分にとって根を持つような経験になるわ
    けです。

    このような、「しっかりとからだに向き合ったお産」のときに感じ
    る宇宙とつながったような経験を、私は「原身体経験」と言ってい
    ます。人間の根っこになるような経験です。自分は一人ではなくて、誰かとつながっている、また、自然、宇宙ともつながっていて、つながっているところから力が出てくる、そういう経験です。

    本質的な経験というものは、自分がその経験をしなくても、「本当
    はこういうものだ」ということを知ることで、逆に自分を癒すこと
    になるようなものではないでしょうか。ですから、たとえ出産しな
    くても、出産の本質とはどういうことかを知る。またたとえば、ひ
    どい、つらい出産をしたとしても、本来の出産とはこういうものだ、とうのを知っておく、ということが重要で、それを次の世代に伝えていくということがさらに大切でしょう。

    お産以外にも「変革に関わるような」経験はどこにでもありうるの
    です。お産だけがそのような人間の変革をもたらすわけではありま
    せん。

    出産のところで原身体経験という言葉を使っていますが、じつはあ
    れはセックスでも同じように得られるものだと思っています。非常
    にいいセックスの経験というのは、自分の境界がなくなるような、
    宇宙を感じるような経験ですので、そういう経験をすることによっ
    て、やっぱり自分のレベルが上がっていくというか、自分があまり
    細かいことにこだわらなくなるというか、自分が落ち着いていく先
    を見つけることができるのだと思うのです。

    一人一人が本当に自分のからだの中心を持って、自分のからだを大
    事にして、セクシャルな相手を大切にして、子どもを育てることを
    いとおしむようになったら…、そういうことができるような近代産
    業社会というのが、どんなふうに存在するのか、というのが、私た
    ちはまだわかっていないのです。

    月経前に起こる「月経前緊張症」というものもありますが、これは
    「卵子の悲しみ」が伝わってくるのではないかと思っています。せ
    っかく排卵したのに、全然精子に出会えなくて、むなしく死んでい
    く卵子が毎月毎月いるわけです。

    私たちにできることというのは、今ここに持ってきているからだを
    使い、自分たちのからだを大切にして、からだの声を受けとめて、
    自分の選んできた生を受け止める、ということだけなのです。

    家族というものは、セクシャルな関係を核にした、知恵の伝承機構
    だと思っています。知恵の伝承というのは、気づいていない方も多
    いと思いますが、とても楽しいことです。

    子供がいる場合はわかりやすいのですが、子供がいなかったとして
    も、地域の子供、あるいは次の世代全般に対して、自分たちの責任
    について伝承していくということが家族の機能だったと思うのです。

    自分の人生というのはもうここで終わりだ、と思うと、すごく空し
    いものですが、自分は次に伝えていく存在なのだ、と思えば、救わ
    れた気持ちにもなります。

    自分が結婚していなくても、近所の子どもたちに対して斜めの関係
    になって、親が教えられないようなことを伝えていけるというのは、楽しいことではないでしょうか。

    しっかりとふれられていないと、「受けとめられている」という経
    験を持てなくなります。

    私たちは本当はもう、もともと受けとめられているのです。生まれ
    てきたということだけで十分に受けとめられている存在なのです。

    基本的に男性というのは、女の人に助けられればいいのではないか、と思っています。ゲーテも『ファウスト』の中で「永遠の女性なるもの、われらを高く導く」と言っていますが、男性は本当に女性に導かれていくというところが強くあると思います。女性にゆだねる勇気を持つのがいいのではないでしょうか。女性の側も、ゆだねられるだけの度量をもともと持っていたわけです。

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    ●[2]編集後記

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    今日はお休みを頂いて、家族で温泉浴&森林浴に来ています。ここ
    のところなんだかバタバタと過ごしてきたので、たった一泊ですが、久しぶりに家族水入らずでのんびりと過ごし、心身の澱を洗い流そうという計画です。

    紅葉は、カラマツを残すだけで、あとは見事に散っています。でも、そのぶん、落ち葉が凄くて、よくもまあこれだけ積もったものだというくらい森の中は落ち葉の堆積ができています。錦の絨毯というほど美しくはないですが、寝転がってみたら、ふかふかして、あったかくて、とても気持ちが良かったです。娘も、落ち葉の山に大喜びでした。

    娘を連れて森に来るたび、自然は本当に人の心を開くものだなぁ、
    と感心します。最初はテンションが低くても、森の中を散策するう
    ち、いつもどんどん娘は元気になっていくからです。たぶん、森の
    中に満ちる生命のエネルギーみたいなものを受け取っていくのでし
    ょう。それは大人も一緒で、汗をかくのとは別の火照りが身体の中
    に熾火のように広がってくるのを感じます。一緒に歩く妻の顔もど
    んどん晴れ晴れとしてくるのがわかります。

    ふとみたら、葉を落とし、枯れ木のようになった木の枝の先には、
    びっしりと冬芽がついていました。葉を落としたばかりなのに、も
    う来年の準備をしているんですね。こぶしの芽を摘んで剥いてみた
    ら折り畳まれた花の原型と共に、思いがけず強い芳香が漂ってきま
    した。眠っているようで、こんなに強いエネルギーを秘めている。
    生命の力強さとしたたかさを感じさせられた瞬間でした。

  • とても良書。読みながら、あーこれは反発する人多いだろうな、と思った。でもそういうところが好きだし、人がいいにくくて、オブラートに包んで包んで、言えない、でも言ったほうがいい事をきちんとこの人が言ってくれている。「早く結婚しなさい」が個人の選択の尊重のために、本当に言いにくい、そして理解がある故に、言わない大人がとっても多くなったけれど、言ってくれるのは良い事だったんだな。仕事仕事といって、大した仕事してない人が多いんじゃないか、というのは本当に同感。
    ま、大した仕事を本当にしている人であっても、女性にとって、それは、単に仕事でしかないし、医者になって多くの人を助けようが、世界をまたにかけた仕事をしようが、出産子育てに比べたら、大したことないよ。

  • 強固に「出産」を推していたが
    一部は説得力があり、なるほどなーと思った。

    出産は女性が宇宙とのつながりを感じることのできる
    非常に恵まれた体験。
    それをみすみす捨てるのはもったいないね。

    でも何でもいいから結婚しなさい、っていうのはちょっと頷けない・・・

  • 月経や出産など、女の性に関する逸話があれこれと。本来女性も持っていたはずのエネルギーがどこかへ行ってしまい、現代人が(は)自分を(で)コントロールできなくなっている。
    ひとつの知識・考え方として読んでおく必要は充分にありそう。

    題のつけ方はおもしろいなぁと思います。これはちょっと興味をひかれる。
    内容も「なるほど、そうかも!」と思う部分もたくさんありました。でも「え、そんな断言されても、それってどうなのよ……」という部分もあり。
    私が買ったときには“抱腹絶倒の目ウロコ本”という紹介が帯でされていたけど、どこに笑える要素があったっけ?と思った。

  • 筆者の意見がストレートに書かれていて、極論も多いので共感できない所は多々・・。でも、現代社会での生活や文化が、人間の身体的なあるべき本能の姿と相反する事で生じる「ゆがみ」ってきっとあるなと思う。普段仕事が忙しかったり、生活に埋もれていると気づけない所を考えさせられました☆

  • [ 内容 ]
    行き場を失ったエネルギーが男も女も不幸にする?
    女性のからだについて、思春期、月経、性、出産という、もっとも本質的なことについて再考する。

    [ 目次 ]
    はじめに オニババ化とは何か
    第1章 身体の知恵はどこへいってしまったのか
    第2章 月経を「やり過ごして」よいのか
    第3章 出産によって取り戻す身体性
    第4章 女性はなぜオニババになるのか
    第5章 世代をつなぐ楽しみを生きる

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    [ 参考となる書評 ]

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著者プロフィール

1958年山口県生まれ。兵庫県西宮市で育つ。京都薬科大学卒業。ロンドン大学PhD(疫学)。作家、疫学者。津田塾大学多文化・国際協力学科教授。専門は疫学、母子保健。著書に、『オニババ化する女たち』(光文社新書)、『死にゆく人のかたわらで』(幻冬舎)、『女が女になること』(藤原書店)、『自分と他人の許し方、あるいは愛し方』(ミシマ社)、『女に産土はいらない』(春秋社)、『セルタンとリトラル』(弦書房)、『ケアリング・ストーリー』(ミツイパブリッシング)など、きものについては『きものは、からだにとてもいい』(講談社+α文庫)がある。編著に『赤ちゃんにおむつはいらない』(勁草書房)、共著に『気はやさしくて力持ち』(内田樹、晶文社)、『ヒトはどこからきたのか』(伊谷原一、亜紀書房)、訳書にフレイレ『被抑圧者の教育学』(亜紀書房)などがある。

「2024年 『六〇代は、きものに誘われて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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