ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034368

作品紹介・あらすじ

二〇世紀の西洋美術を代表する『ゲルニカ』は、描かれた当時、多くの人に衝撃を与えた。この作品は、一九三七年という、ナチズムやロシア社会主義、フランス、ドイツ、イギリスなどの列強の思惑が交錯し、スペインでは内乱が激化するという、ヨーロッパが不安と緊張に包まれた時代に生み出された。しかし、『ゲルニカ』には絵画としての「異質さ」が漂う。そして、これこそが、不安が先鋭化しつつある私たちを今でも虜にする魅力でもあるのだ-。本書では、その製作過程を丹念に追いながら、美術史、歴史画、戦争画などの観点からピカソが直感した「予感」に迫る。さらに、私たちの美術鑑賞のあり方、一枚の絵を見つめるということの本質にまで思いを巡らす。

感想・レビュー・書評

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  • ピカソのゲルニカを様々な角度から見渡すことが出来る本。

    絵画に描かれたモノモノの意味すること、時代の流れの中のゲルニカの位置づけから意味することなどの説明があり、初心者の私でもわかりやすく更に絵画芸術に興味をもたせてくれた。

    人を魅了するゲルニカの不思議な魅力を知ることでより、ゲルニカ、ピカソ、絵画までも魅力的なものに昇華してくれる本。

  • 『ゲルニカ』のみで、しかも新書としての品質も保っての一冊。ゲルニカの製作過程もしっかり分析されているし、筆者の見解も明快で読み応えがあった。この作品は、「いまここにある恐怖」が描かれているからこそ、そして「ものそのもの」であるからこそピカソ芸術の中でも別格の位置を確保し続けているという。
    ピカソ唯一に近い依頼されて作った作品、というのは同書で初めて知った。

  • ピカソの代表作『ゲルニカ』について書かれている。人々を引きつけ続ける戦争画の魅力に迫る。戦争について知って、芸術のあり方と意義について考えさせられる。

  • <u><b>「普遍的」≠「個性的」</b></u>

     ピカソの絵は意味不明なものの代名詞でしかなかったんだけど、
    中学の美術の時間に「ゲルニカ」を見せられた時は、素直に感動(残酷さとか気持ち悪さとかもろもろ含めて)を感じたなぁ。

     本書は、美術史・歴史画・戦争画などの観点から、またピカソの制作過程を通して「ゲルニカ」が語られる。
    かなり面白い。ただし、この本のすばらしさは「ゲルニカ」解説書としての部分ではない。
    筆者の芸術論そのものが一番面白い。


    特に私が一番面白かったのは「オリジナリティ」について言及されている部分。
    「個性」と「普遍」は相反する概念だと思っている人が未だに大勢いるようだけど、それは違うと思う。
    そういう間違ったことを信じ込んだまま、奇を衒っただけのものを作り出して、鼻高々になっているエセ芸術家は多い。
    ピカソやストラヴィンスキーの絵画や音楽が本当に素晴らしいのは、それが「個性」的であるからではなく、「普遍」的であるからだ。


    私がこの2、3年考え続けていることの答えがようやくこの本を読んで見えてきた気がする。

  • 読みが浅かったのだろうか。
    読後感は消化不良というか食い足りない思いがした。
    要再読。

  • 新書って読みやすい。
    今度の台本のために読んだのですが、すごいさくさく読めました。
    ゲルニカが出来上がっていく様を追っていくところが、すごく贅沢でした。
    知らない知識だらけでした。

  • (チラ見!/新書)

  • 本書を読むまで、習作がいろいろあることをはじめて知りました。
    たしかに、よく考えてみれば、そういうこともありえることは想像できます。
    実際に、現物をみてみたいと思いました。

  • [ 内容 ]
    二〇世紀の西洋美術を代表する『ゲルニカ』は、描かれた当時、多くの人に衝撃を与えた。
    この作品は、一九三七年という、ナチズムやロシア社会主義、フランス、ドイツ、イギリスなどの列強の思惑が交錯し、スペインでは内乱が激化するという、ヨーロッパが不安と緊張に包まれた時代に生み出された。
    しかし、『ゲルニカ』には絵画としての「異質さ」が漂う。
    そして、これこそが、不安が先鋭化しつつある私たちを今でも虜にする魅力でもあるのだ----。
    本書では、その制作過程を丹念に追いながら、美術史、歴史画、戦争画などの観点からピカソが直感した「予感」に迫る。
    さらに、私たちの美術鑑賞のあり方、一枚の絵を見つめるということの本質にまで思いを巡らす。

    [ 目次 ]
    第1章 神話的メッセージ
    第2章 制作過程
    第3章 美術史の中の『ゲルニカ』
    第4章 オリジナリティと多層性
    第5章 呪術的な力―歴史画として読む
    第6章 ピカソの予感―「負」の戦争画

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  • ゲルニカが好きだから読んでみたところ、とても楽しかった。

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